人文・社会科学の学知とともに、次なる社会を形づくる思想やアイデアを生み出す【一般社団法人デサイロ:2025年活動報告】
2025年、デサイロは多様なセクターとのコラボレーションプロジェクトの創出に取り組んできました。
大学の学知の社会実装プロジェクトの企画/運営、食に関する探索的レクチャープログラムの実施、「声」を題材に「未来の人間らしさ」「心の豊かさ」を探るクロスダイアローグの運営、「故郷とアイデンティティ」をテーマとした探索/アート作品の制作、「惑星規模のコンピュテーション」をテーマとした国際シンポジウムの開催……多面的な試みを通して、「人文・社会科学の学知」と「イノベーション/社会変革」の接点を探った一年でした。
活動に関わっていただいた皆さま、各種イベントや研究会、シンポジウムにご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
今回は年内最後のニュースレターとして、デサイロの2025年をトピックごとに振り返っていきます。
◼︎FoodScopes 第1期・第2期の開催
デサイロと株式会社UnlocXは、2025年1月より「FoodScopes: 人文・社会科学の視点から、新たな『食の価値循環』を探求するプログラム」を開講しました。1月〜3月の第1期、7月〜10月の第2期ともに、おかげさまで大盛況のうちに幕を閉じました。
現代の「食」を取り巻く社会システムは、歴史的にどのような変遷をたどり、今に至るのか。過去の人類は、いかなる背景から意思決定を積み重ねてきたのか。いまの社会や人々の「深層」を捉え直す「Scope(レンズ・視点)」のもと、社会や人々の「深層」を捉え直し、人類社会に不可欠な「食」という営みを、参加いただいたビジネスパーソンの皆様と未来に向けて問い直す貴重な時間となりました。
◼︎Goldwin Field Research Lab.と実施した「故郷とアイデンティティ」リサーチプロジェクト
スポーツ、アウトドアアパレルメーカーであるゴールドウインが運営する「Goldwin Field Research Lab.(FRL.)」にて、デサイロは「故郷とアイデンティティ」をテーマとした共同プロジェクトに取り組んできました。
本プロジェクトでは、共同リサーチャーとして、哲学・宗教思想を専門とする関西学院大学准教授の柳澤田実さんとデジタルメディアを複合的に用いた美術作品の表現を追求してきたアーティスト/多摩美術大学美術学部准教授の谷口暁彦さんを迎え、研究者とアーティストという異なる視点から、得られた知見を作品と論考という形でまとめていく約1年間の調査を実施しました。その成果を、柳澤さんが論考に、谷口さんが映像作品にまとめました。
9月5日〜9日に開催されたFRL.の1周年記念イベント「Field Report #001」では、「故郷とアイデンティティ」をテーマとした展示/ワークショップ/トークイベント/作品上映会を実施しました。トークセッションとワークショップ合わせて100名弱の方にご参加いただき、盛会となりました。
柳澤さんの論考および谷口さんの映像作品はGoldwin Field Research Lab.のウェブサイトで公開されております。ご参加いただけなかった方も是非チェックしてみてくださいね。
■Antikythera Tokyoの日本初開催
10月11日には、技術哲学/スペキュラティブデザイン研究者のベンジャミン・ブラットン氏が主宰するシンクタンク「Antikythera」によるシンポジウム「Antikythera Tokyo」を、デサイロとの共催により日本で初めて開催しました。
「”Artificial” 生命、知能、惑星の人工化」をテーマに、ブラットン氏とGoogle バイスプレジデント兼フェローのブレイス・アグエラ・ヤルカス氏による「人工化とは何か?」「知能とは何か」を問い直す基調講演の後、人工生命、人工知能、ロボット工学、建築、デザイン、哲学、人文学など、分野を横断する実践者/研究者が集うトークセッションが行われました。
■慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)との新たな研究プロジェクトの始動
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)は、2050年における家族・パートナーシップ・つながりの多様化を研究テーマとした新組織「ネクストファミリー研究センター(仮称)」設立に向けた活動及び、「システミックデザイン」の方法論を活用し、社会性と経済性を両立する21世紀型企業へのシフトを支援する「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」の設立に向けた活動を開始。デサイロは立ち上げの支援を実施してきました。
活動の第一弾として、12月4日にはセミナーイベント「『ネクストファミリー』の時代の価値創造を考える」が、12月10日には「気候変動 × 都市」をテーマに、システミックデザインの手法を活用して新しいビジネス機会を考えるワークショップが、それぞれ開催されました。
◼︎声遊楽クロスダイアローグの開催
デサイロが運営支援を行う、JT D-LAB「心の豊かさ」研究のプロジェクト「声遊楽」。その一環として、声をめぐる問いについて、研究者・企業人・表現者が対話を重ねるシリーズ「声遊楽クロスダイアローグ」を開催してきました。
人文社会系・理工系の研究者、声を届ける表現者、声による価値提供を目指す企業人など、多種多様なゲストをお迎えし、2025年は第1回から第5回までを開催しました。「声」を題材に、「未来の人間らしさ」「心の豊かさ」について多角的な視点から問いを深めています。
見逃した方は、配信アーカイブをぜひ声遊楽HPからご覧ください。
https://seiyugaku.jp/
来年以降も、下記の日程で引き続き開催を予定しています。詳細はニュースレターや声遊楽HPでご確認ください。
第6回
「声を聞く」とはどのような行為か?声と聞き手の関係を探求する
日時:2026/1/30(金) 18:00 - 19:30
登壇者:上村卓也、田中章浩、堀内彩虹
第7回
声の「何を」「どのように」保存すべきか?ボイスアーカイブのあり方を考える
日時:2026/2/17(火) 18:00 - 19:30
登壇者:高道慎之介、三原鉄也、山川道子
第8回
音声技術をめぐる倫理的・法的・社会的課題
日時:2026/3/29(日) 15:00 - 17:00
登壇者:小岩井ことり、標葉隆馬、中村泰貴、森勢将雅
◼︎レクチャーシリーズ「Academic Insights」の開催
人文・社会科学分野の知を頼りに、いま私たちが生きている時代や社会について考えを深めていくレクチャーシリーズ「Academic Insights」。2025年は通常回14回の開催に加え、「アメリカン・ダイナミズムの精神史」と題した特別回7回の、計21回を開催いたしました。
多くの方々にご参加いただき、ご登壇いただいた研究者の方々との議論はもちろん、参加者間でも大変有意義な対話が数多く生まれました。知を深め合う場にご参加いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
◼︎知と文化のインキュベーション拠点づくり
2026年2月の開業に向けて、知と文化のインキュベーション拠点Unknown Unknownの立ち上げ準備を行なってきました。イベントスペース、ギャラリー、バー、ライブラリーからなる100㎡弱の複合施設で、さまざまな分野の方々が集うことで、「知の創造と流通」に取り組んでいく拠点となります。詳細は年明けにお知らせさせていただきます。
◼︎Forbes Japanでの連載企画
昨年から引き続き、ビジネス誌「Forbes JAPAN」とデサイロの共同連載、今年は3本の記事が掲載されました。
内2本の記事は「Forbes JAPAN」のWebでも公開されております。下記リンクよりぜひご覧ください。
SNSの悪口は現実化する?有害な言語を「ホープスピーチ」へ | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
「働く母」のしんどさ。いま必要なのは「ケアする人のフェミニズム」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
◼︎各種イベントへの登壇
本年も、さまざまなイベントへの登壇の機会をいただきました。後述の一般向けイベントのほか、企業内や研究会での講演の機会もいただき、デサイロの活動をご紹介しました。
登壇イベント一覧
レポート記事
◼︎その他の活動
その他、施設開発のプロジェクトや、慶應義塾大学や立命館大学での「人文・社会科学分野の修士・博士課程の方向けのキャリア検討ワークショップの実施」、「人と社会の探索」に関わるインハウスリサーチャー向けのコミュニティ立ち上げ準備など、非公開のものも含めてさまざまなプロジェクトを推進してきました。
■2026年の展望
2026年は、今年と同様に企業・大学とのコラボレーションプロジェクトを推進しつつ、神保町にて知と文化のインキュベーション拠点「Unknown Unknown」を開設し、フィジカルな場の運営を通じて、新たなる知の創造と流通に取り組んでいく予定です。
拠点の詳細は年始にお知らせしますので、またチェックいただければ幸いです。それでは来年も、一層のご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。










































