【2023年4月刊】『ゼクシィ』研究、中国のリアル、『精神の生態学』新装版……デサイロが注目したい人文・社会科学の新刊10冊
「いま私たちはどんな時代を生きているのか」──人文/社会科学領域の研究者とともにこの問いを探り、研究のなかで立ち現れるアイデアや概念の社会化を目指すアカデミックインキュベーター「デサイロ(De-Silo)」。
2023年4月に刊行(予定)の人文・社会科学領域の新刊書の中から、デサイロとして注目したい10冊をピックアップしました。
気になるタイトルがあれば、読書リストにぜひ加えてみてください。
1.小宮友根/黒嶋智美『実践の論理を描く: 相互行為のなかの知識・身体・こころ』
概要(版元ウェブサイトより)
人が知識、身体、こころを持った存在であることの理解は、さまざまな相互行為上の実践を通して可能になる。エスノメソドロジー・会話分析が示してきたその洞察を、社会学、言語学、哲学といった異なるバックグラウンドを持つ執筆者たちがそれぞれに引き受け、実践の論理を描く相互行為分析の豊かさをデモンストレートする。
[目次]
第I部 相互行為のなかの知識
第1章 質問に対する2つ(以上)の応答――応える権利・義務の諸相[早野薫]
第2章 職業訓練活動における雑談の組織化――利用者と支援者による話題展開と参加のプロセス[岩田夏穂]
第3章 合意形成における経験,知識,権利――住民座談会の事例をもとにして[黒嶋智美]
第4章 「科学」について実践学的に考える――論理文法分析を道標として[中村和生・水川喜文・五十嵐素子]
第5章 計画はいかにして修正されるのか――放射線量の可視化と空間の構造化[須永将史]
第6章 診療におけるアジェンダの協働的産出――大学病院における全人的医療の実践[串田秀也]
コラム 言語学とEMCA[早野薫]
第II部 相互行為のなかの身体
第7章 再現身体と仮想身体――裁判員裁判の評議における身体の構造化実践[小宮友根]
第8章 サッカー指導場面での「身体的実演」に見られるコーチと選手の相互行為[林誠・安井永子]
第9章 「学習の達成」に志向した教示作業のデザイン[五十嵐素子]
第10章 同一性と身体性――インストラクションとインストラクションを模倣すること[荒野侑甫]
コラム 哲学と実践の論理[山田圭一]
第III部 相互行為のなかのこころ
第11章 インターホンに対応する――救命救急センター病棟における知覚の編成[前田泰樹]
第12章 レッスンのなかで見るということ――哲学とエスノメソドロジーの交差点[山田圭一]
第13章 意思決定過程における感情表出について[川島理恵]
第14章 地域精神医療の実践の論理――カンファレンスの検討から[浦野茂]
第15章 「もうゲームはおしまいなんだけど」――定型発達児と自閉スペクトラム症のある子どもによる定式化の交渉[高木智世]
コラム 社会学と実践の論理[前田泰樹]
おわりに[黒嶋智美]
著者
小宮友根(こみや・ともね)(編集)
東北学院大学経済学部准教授.博士(社会学).専門は社会学,エスノメソドロジー/会話分析,ジェンダー論.単著に『実践の中のジェンダー』(新曜社,2011),編著書に『概念分析の社会学2』(ナカニシヤ出版,2016)ほか.
黒嶋智美(くろしま・さとみ)(編集)
玉川大学ELFセンター准教授.Ph.D.(Applied Linguistics).専門は会話分析,エスノメソドロジー,応用言語学.共著に『外界と対峙する』(ひつじ書房,2022),OKAY across Languages : Toward a Comparative Approach to its Use in Talk-in-Interaction(John Benjamins, 2023),論文に When a request turn is segmented :Managing the deontic authority via early compliance. Discourse Studies 25(1)(単著,2023)ほか.
発売予定日
2023年4月1日
版元
勁草書房
2.彭永成『『ゼクシィ』のメディア史 花嫁たちのプラットフォーム』
概要(版元ウェブサイトより)
圧倒的な情報量と存在感から抜群の知名度と影響力を誇る結婚情報誌『ゼクシィ』。
デジタル社会、雑誌不況といわれる現在においても紙の雑誌が売れ続け、「ゼクシィ=結婚」という記号を成立させるほどの社会的認知度を獲得し、コロナ禍による不況を経た後もブライダル業界から絶対的信頼を寄せられている。『ゼクシィ』は、いかにして「結婚式のバイブル」となったのか。
そして、誌上で描かれる「花嫁」のイメージはどのように変化してきたのか。
業界では常に「ひとり勝ち」といわれる『ゼクシィ』の絶対的地位を支える「ゼクシィ神話」成立の秘密と、恋愛情報雑誌としてスタートした『ゼクシィ』がブライダル情報に特化し、幾多の可能性のなかから花嫁たちをそれぞれの結婚式へと送り出す「プラットフォーム型雑誌」になるまでのメディア史を、同類他誌や地方版、海外版、ウェブサイトなどと比較しながら多角的に分析する。
著者
彭永成(ほう・えいせい)(著/文)
1993年、中国湖南省生まれ、『ゼクシィ』と同い年。2015年武漢大学新聞と伝播学部卒業。湖南衛視テレビ局の実習ディレクターや地元の外国語高校の日本語教師を経て、2017年4月京都大学教育学研究科に入学し、2022年3月博士号(教育学)を取得。2023年4月から桃山学院大学社会学部講師。
論文:「『ゼクシィ』における理想的な結婚イメージの創出-結婚情報誌からブライダル情報誌へ」(『マス・コミュニケーション研究』第97号)「ブライダル情報誌から見る30代花嫁の理想像の構築――「大人ゼクシィ」の分析を中心に」(『出版研究』第51号)など。
発売予定日
2023年4月5日
版元
創元社
3.澤田直/岩野卓司『はじまりのバタイユ: 贈与・共同体・アナキズム』
概要(版元ウェブサイトより)
文学、哲学、宗教学、経済、人類学など多岐にわたる分野で決定的な足跡を残した20世紀の思想家ジョルジュ・バタイユ。その思想の中核に位置する贈与と共同体の主題に焦点を当て、現代における自然と人間の関係、財産、所有、家族などの問題を論じ、さらにはアナキズムの倫理と衝突させることで、来るべきバタイユ像を描き出す。第一線の論者たちによって結晶化した、刺激的な手引き書。
[目次]
資料1
バタイユの考古学 【中沢新一×岩野卓司】
グノーシスの考古学 【岩野卓司】
資料2
バタイユにおけるメディアと贈与──『ドキュマン』から『至高性』へ 【酒井健】
雑誌という共同性の場 【江澤健一郎】
そうさ、いまこそアドベンチャー!──バタイユのアナキズム思想 【栗原康】
自由に書くということ──大杉栄=栗原康にならって 【澤田直】
生を与える──家族と共同体 【澤田直】
白いインクで書くとすれば 【横田祐美子】
笑いの感染──「留保なきヘーゲル主義」以後、デリダはバタイユとどう付き合ったか? 【鵜飼哲】
思索の全般経済へ向けて 【酒井健】
資料3
青空論──終わらない物語について 【陣野俊史】
窓の外の青い空、転落と飛翔 【福島勲】
舞台、経験、〈文学〉──ラクー=ラバルトにおけるバタイユ 【郷原佳以】
供犠、悲喜劇的経験としての 【井岡詩子】
全般経済学と純粋アナーキー原理 【山田広昭】
モラルとしてのアナキズム 【石川学】
逸脱していく贈与──モースとレヴィ=ストロースを危険に読むバタイユ 【岩野卓司】
贈与の危険は引き金であり安全装置である──「逸脱していく贈与」の余白に 【大森晋輔】
資料4
バタイユ頌
著者
澤田直(さわだ・なお)(編集)
⽴教⼤学教授。著書:『〈呼びかけ〉の経験──サルトルのモラル論』(⼈⽂書院)、『ジャン=リュック・ナンシー』(⽩⽔社)、『サルトルのプリズム──⼆⼗世紀フランス⽂学・思想論』(法政⼤学出版局)、訳書:サルトル『真理と実存』『⾔葉』(以上、⼈⽂書院)、ペソア『新編不穏の書、断章』(平凡社)など。
岩野卓司(いわの・たくじ)(編集)
明治大学教養デザイン研究科・法学部教授。著書:『贈与論──資本主義を突き抜けるための哲学』(青土社)、『贈与の哲学』(明治大学出版会)、『ジョルジュ・バタイユ』(水声社)、共訳書:バタイユ『バタイユ書簡集 1917–1962年』(水声社)など。
発売予定日
2023年4月10日
版元
法政大学出版局
4.高増明/中本義貴/齋藤宗昭『ポピュラー音楽の社会経済学 [第2版]』
概要(版元ウェブサイトより)
音楽産業の現状と問題点、サブスクリプション、アナログの復権、著作権ビジネス、ロックの歴史とJ-Popの構造、K-Popの躍進…
ポピュラー音楽の現状を総合的に解説する決定版
著者
高増明(著/文)
京都大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。京都大学経済学博士。著書に『ネオリカーディアンの貿易理論』(創文社、1991年)『国際経済学:理論と現実』(共著)(ナカニシヤ出版、1997年)『アナリティカル・マルキシズム』(共著)(ナカニシヤ出版、1999年)『経済学者に騙されないための経済学入門』(共著)(ナカニシヤ出版、2004年)などがある。1991年にOSU-DMF Recordsを設立、現在まで経営を続けている。
中本義貴(著/文)
関西大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は、音楽社会学。論文に「1980年代サフ゛カルチャー音楽文化の研究」(『関西大学大学院人間科学 : 社会学・心理学研究』75号、2012年)などがある。
齋藤宗昭(著/文)
関西大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。専門は文化社会学、文化の社会経済学分析。論文に「ヴィジュアル系ロックの歴史――誕生からブーム終焉まで」(『関西大学大学院人間科学 : 社会学・心理学研究』75号、2012年)などがある。
発売予定日
2023年4月14日
版元
ナカニシヤ出版
5.アンドレアス・レクヴィッツ『幻想の終わりに: 後期近代の政治・経済・文化』
概要(版元ウェブサイトより)
「独自性」を追い求める社会は、私たちに何をもたらすのか
社会はより良く進歩しているという「幻想」が潰えた後期近代。生産のオートメーション化、デジタル革命、単純サービス業の増加等、産業構造の転換によって新しい階級社会が誕生している。リベラルでエコロジカル、グローバル志向の新たな中産階級が影響力を振るい、個々人は「独自性」を競い合う。世界規模で起こっているこの変化は、私たちの生活に何をもたらすのだろうか。欧米の最新文献を網羅しながら現代社会の矛盾や両義性を鮮やかに描く、ドイツ発の新たな社会理論。
「公的な議論は、確固たる楽観的な進歩主義からディストピアやノスタルジーへと、すなわち、ある選択的な見方から別の見方へと転換した。だからといって、現代社会の構造を理解し、それに対処することが以前より簡単になったわけではない。とはいえ、幻想の終わりが画一的な悲観主義に行き着く必要はない。幻想がないということは、冷静なリアリズムを可能にし、分析のための空間を開くような美徳でありえるのだ」(本書より)
著者
アンドレアス・レクヴィッツ(著/文)
Andreas Reckwitz/1970年、ドイツ・ヴィッテン生まれ。社会学者、文化理論家。フンボルト大学ベルリン社会科学研究所教授。主著にDie Erfindung der Kreativität. Zum Prozess gesellschaftlicher Ästhetisierung (Suhrkamp, Berlin 2012)、Die Gesellschaft der Singularitäten. Zum Strukturwandel der Moderne (Suhrkamp, Berlin 2017)など。近年の主な受賞歴として、DFG(ドイツ研究振興協会)のゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞(2019年)、ハイデルベルク科学アカデミーによる表彰(2021年)など。
橋本 紘樹(はしもと・ひろき)(翻訳)
1992年、滋賀県生まれ。専門は、47年グループやフランクフルト学派を中心とする現代ドイツ文学・思想。九州大学大学院言語文化研究院助教。松山大学経済学部特任講師を経て、2023年度より現職。訳書に『新たな極右主義の諸側面』(堀之内出版、2020年)、『アーレント=ショーレム往復書簡集』(岩波書店、2019年、共訳)など。主要論文に「アドルノにおけるハイネ講演、あるいは文化批判と社会」日本独文学会機関誌『ドイツ文学』第156号(第59回ドイツ語学文学振興会奨励賞受賞)。
林 英哉(はやし・ひでや)(翻訳)
1989年、北海道生まれ。専門はヘルダーリンをはじめとする近現代ドイツ文学。三重大学人文学部特任准教授。京都大学非常勤講師などを経て、2022年度より現職。主著に„Lang ist die Zeit, es ereignet sich aber das Wahre“. Hölderlins Poetik des ‚Ereignisses‘ (readbox unipress in der readbox publishing, Dortmund 2021)、„War sie nicht mein […]?“ Die Rhetorik der Melancholie in Hölderlins „Hyperion“, In: Neue Beiträge zur Germanistik 149(第55回ドイツ語学文学振興会奨励賞受賞)。
発売予定日
2023年4月17日
版元
人文書院
6.國分功一郎『目的への抵抗―シリーズ哲学講話―』
概要(版元ウェブサイトより)
自由は目的を超える――。『暇と退屈の倫理学』の議論がより深化、危機の時代に哲学の役割を問う!
自由は目的に抵抗する。そこにこそ人間の自由がある。にもかかわらず我々は「目的」に縛られ、大切なものを見失いつつあるのではないか――。コロナ危機以降の世界に対して覚えた違和感、その正体に哲学者が迫る。ソクラテスやアガンベン、アーレントらの議論をふまえ、消費と贅沢、自由と目的、行政権力と民主主義の相克などを考察、現代社会における哲学の役割を問う。名著『暇と退屈の倫理学』をより深化させた革新的論考。
著者
國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
1974(昭和49)年生れ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専攻は哲学。2017年、『中動態の世界』で小林秀雄賞を受賞。『暇と退屈の倫理学 増補新版』、『ドゥルーズの哲学原理』、『近代政治哲学』、『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』、『〈責任〉の生成―中動態と当事者研究』(熊谷晋一郎と共著)など著書多数。
発売予定日
2023年4月17日
版元
新潮社
7.グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学へ(上)』
概要(版元ウェブサイトより)
現象に内在する精神とは? 精神のエコロジーとは? 科学と哲学をつなぐ基底的な知の探究を続けたベイトソンの集大成。その生涯にわたる思索の足取りをたどる。上巻はメタローグ・人類学篇。頭をほぐす父娘の対話から、隠喩と類比を信頼する思考の方法、集団間の緊張を高める「分裂生成」の型とそれを回避する「プラトー」の概念まで。
著者
グレゴリー・ベイトソン(著/文)
アメリカ合衆国の人類学者、社会科学者、言語学者、映像人類学者、サイバネティシスト。(1904 - 1980)
佐藤良明(さとう・よしあき)(翻訳)
1950年生まれ。東京大学教養学部教授。専門はアメリカ文学、ポピュラー音楽文化論、メディア文化論。現代アメリカの文学・文化・音楽を起点にした研究・評論を行う一方、大学の英語の授業改革に取り組んできた。著書に『ラバーソウルの弾みかた——ビートルズと60年代文化のゆくえ』(平凡社ライブラリー)、『J-POP進化論』(平凡社新書)、『これが東大の授業ですか。』(研究社)など。訳書にジョン・レノン『らりるれレノン』(筑摩書房)、トマス・ピンチョン『ヴァインランド』(新潮社)、グレゴリー・ベイトソン『精神の生態学』『精神と自然』(以上、新思索社)ほか。
発売予定日
2023年4月18日
版元
岩波書店
8.兪敏浩『中国のリアル 人々は何を悩み,何を追い求めているのか』
概要(版元ウェブサイトより)
等身大の中国人を映し出す
国家権力、政治体制など構造的な問題にも目を配りつつ、女性、LGBTQ+、クリスチャン、少数民族、外国人居住者、留守児童、大学生、ボランティア、中小企業主、退役軍人など、現代中国を生きる「人々」の物語に注目した、斬新な入門書。
第Ⅰ部 移り変わる中国のリアル
第1章 改革開放時代の中国を生きる (日野 みどり)
――2つの世代のライフヒストリー
第2章 中国人は日本をどう見ているのか? (兪 敏浩)
――中国人の日本観における二重構造とその変化
第Ⅱ部 国家と社会的少数派
第3章 中国における女性の地位 (李 彦銘)
――「男女対立」の虚と実
第4章 LGBTQ+は中国でどう生きているのか (鈴木 賢)
――生存空間を模索する当事者たちの姿
第5章 プロテスタント教会 (上野 正弥)
――共産党政権下での信仰生活
第6章 多民族国家中国の社会構造と民族問題 (星野 昌裕)
第7章 中国の大都市に現われた外国人街 (趙 貴花)
――上海と北京の事例
第Ⅲ部 社会を生きる人々のリアル
第8章 留守児童の現状と課題 (武 小燕)
――親と暮らしたい子どもたち
第9章 大学という世界 (有澤 雄毅)
――中国における大学生の生活と価値観
第10章 ボランティア (史 邁)
――社会生活を支える篤志家たちと現代中国のボランタリズム
第11章 中国の中小企業主 (竇 少杰)
――「百年企業」の実現を目指して
第12章 中国社会における退役軍人 (弓野 正宏)
――政治と経済の構造変化に翻弄される特殊な人々
著者
兪敏浩(ゆ・びんこう)(編集)
名古屋商科大学国際学部教授
発売予定日
2023年4月20日
版元
晃洋書房
9.河合優子『日本の人種主義: トランスナショナルな視点からの入門書』
概要(版元ウェブサイトより)
アメリカでの黒人への暴力事件と抗議運動、ヨーロッパでの移民排斥、コロナ禍におけるアジア人への差別などがクローズアップされ、海外の問題と思われがちな人種主義や人種差別だが、日本でも歴史的に、そして現在でも深刻な問題であり続けている。
欧米の人種概念と人種主義の歴史的・社会的な背景、基本的な知識を押さえたうえで、日本の人種概念を捉え直し、近代から現代まで、日本で人種主義が展開してきた足跡をたどりながら、トランスナショナルな視点から日本の人種主義の特徴を整理する。そして、アジア地域の植民地支配をはじめとする日本の歴史的背景や「日本人とは誰か」という問いと結び付きながら、日本社会に意識的・無意識的に根づいている人種主義の現状を具体的な事例をもとに明らかにする。差別、偏見とステレオタイプ、アイデンティティなどの視点から、個人の日常的な意識や振る舞いに人種主義が否応なく結び付いていることも浮き彫りにする。
国際的・領域横断的に蓄積されてきた人種主義に関する議論をまとめ、「私たちの問題」として日本の人種主義を考える視点を提供する入門書。
著者
河合優子(かわい・ゆうこ)(著/文)
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。専攻は異文化コミュニケーション研究。著書にA Transnational Critique of Japaneseness: Cultural Nationalism, Racism, and Multiculturalism in Japan(Lexington Books)、編著に『交錯する多文化社会――異文化コミュニケーションを捉え直す』(ナカニシヤ出版)、共著に『多様性との対話――ダイバーシティ推進が見えなくするもの』(青弓社)、『グローバル社会における異文化コミュニケーション――身近な「異」から考える』(三修社)など。
発売予定日
2023年4月25日
版元
青弓社
10.アンドリュー・ニューバーグ『神経神学: 科学は霊性にいかに光を当てるか』
概要(版元ウェブサイトより)
科学と宗教は対立するものではなく互恵的なものである。神経神学はこの仮定の下,人間の科学性と宗教性を活用し,自己や世界をよりよく理解することを目的とする。認知神経科学,心理学,哲学,医学等多様な領域と結びつき,また各領域の発展へ寄与する可能性を持つ学問――その全容を一望し,人の本質に潜む霊性の洞察へ。
[原著]Newberg, A.(2018). Neurotheology: How Science Can Enlighten Us About Spirituality. Columbia University Press.
著者
アンドリュー・ニューバーグ(著/文)
1966年生まれ。ハーバード大学で化学の学士取得後,ペンシルバニア大学医学部を卒業。内科学会専門医,核医学専門医取得後,霊的・宗教的現象の神経学的研究に従事した。
現在,トーマス・ジェファーソン大学放射線医学教授,および統合医療・栄養科学部門教授,マーカス統合医療研究所研究部長。
貝谷久宣(かいや・ひさのぶ)(翻訳)
1943年名古屋生まれ。
名古屋市立大学医学部卒業,岐阜大学医学部にて医学博士号受領,マックスプランク精神医学研究所留学,岐阜大学助教授,自衛隊中央病院神経科部長を経て,1993年開院。
現在,京都府立医科大学客員教授,岐阜大学医学部臨床教授,医療法人和楽会理事長,東京マインドフルネスセンター名誉センター長。
発売予定日
2023年4月26日
版元
北大路書房
デサイロでは継続的に人文・社会科学分野の新刊を紹介予定です。新刊に関する情報は、下記からご連絡ください。
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