【3月30日開催】人文科学研究者としてのキャリアをどう築く?アカデミアの外側にある可能性を考える:磯野真穂 × 藤嶋陽子 × 岡田弘太郎 × 岡原正幸
慶應義塾大学大学院社会学研究科と一般社団法人デサイロの共催により、人文科学研究者のキャリアの可能性を考えるトークイベントが開催。
人文・社会科学の領域は、研究者が大学の常勤職員であることが前提となってデザインされており、アカデミックポストに就けなければ、研究者としてのキャリアを持続可能にすることが難しい側面があります。
一方で、いま人文・社会科学系研究者のなかでも、新しい実践を始めている方々がいます。研究知を活かした起業や、大学から独立した在野での研究など、大学のポストにとらわれない実践が増えていますが、そうした大学外で活動する研究者のキャリアを支える新しい仕組みやビジネスモデルは、いまなお模索中と言えるでしょう。
今回、慶應義塾大学大学院社会学研究科と、人文・社会科学領域の研究者を支援するアカデミックインキュベーターとして活動する一般社団法人デサイロの共催により、研究者のキャリアの可能性を考えるイベントを開催。
登壇するのは、次の4名。国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より独立研究者として活動する人類学者であり、デサイロの理事も務める磯野真穂さん。ファッション研究者として明治大学商学部特任講師として教鞭をとりながら、スペキュラティブファッションラボラトリーであるSynflux株式会社で執行役員COOを務める藤嶋陽子さん。デサイロ代表理事/編集者で、慶應義塾大学の卒業生でもある岡田弘太郎。そして、慶應義塾大学教授/大学院社会学研究科委員長の岡原正幸さん。
研究と社会のオルタナティブな接点をつくろうとしている登壇者の皆さんと一緒に、人文系研究者のキャリアのこれからについて考えていきます。
登壇者プロフィール
磯野真穂(いその・まほ)
人類学者。専門は文化人類学・医療人類学。博士(文学)。早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授を経て2020年より独立。身体と社会の繋がりを考えるメディア「からだのシューレ」にてワークショップ、読書会、新しい学びの可能性を探るメディア「FILTR」にて人類学のオンライン講座を開講。著書に『他者と生きるーリスク・病い・死をめぐる人類学』(集英社新書)『なぜふつうに食べられないのか――拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『医療者が語る答えなき世界――「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)、『ダイエット幻想――やせること、愛されること』(ちくまプリマ―新書)、宮野真生子との共著に『急に具合が悪くなる』(晶文社)などがある。(オフィシャルサイト:www.mahoisono.com )
藤嶋陽子(ふじしま・ようこ)
1988年生まれ。ファッション研究者。東京大学大学院学際情報学府博士課程満期退学。University of the Arts London(Central Saint Martins)にてファッションデザインを学んだ後、ファッションとメディア、日本のファッション産業史を専門に研究。 2019年に株式会社ZOZOテクノロジーズ入社。ZOZO研究所リサーチサイエンティストを経て、「Fashion Tech News」編集長に就任。経済産業省「これからのファッションを考える研究会 ファッション未来研究会」委員。2022年よりSynfluxに参画、明治大学商学部特任講師、理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員を兼務。編著に『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ』(フィルムアート社、2022)、共著に『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、2021)、共訳に『ファッションと哲学』(フィルムアート、2018)など。
岡田弘太郎(おかだ・こうたろう)
編集者。一般社団法人デサイロ(De-Silo)代表理事。『WIRED』日本版エディター。クリエイティブ集団「PARTY」パートナー。「GRAZE GATHERING」編集統括。スタートアップを中心とした複数の企業の編集パートナーを務める。研究者やアーティスト、クリエイター、起業家などの新しい価値をつくる人々と協働し、様々なプロジェクトを展開。そうした人々と社会をつなげるための発信支援や、資金調達のモデル構築に取り組む。1994年東京生まれ。慶應義塾大学にてサービスデザインを専攻。Twitter: @ktrokd
岡原正幸(おかはら・まさゆき)
1957年生まれ。慶應義塾大学文学部教授、大学院社会学研究科委員長、3月31日に慶應義塾大学を定年退職。専門は、感情社会学、障害学、アートベース・リサーチで、パフォーマンスアーティストとしても活動。2006-2013年には「三田の家」というコモンハウスを三田キャンパス付近で運営、2015年からはKeio ABRというラボを大学院研究室で主宰、2021年からは博士人材育成プログラム(Keio Spring)としてアート、コミュニティデザイン、映像制作のワークショップを13研究科博士院生に提供、2022年からは「協生カフェ(三田キャンパスにLGBTQの人も安心できる居場所)」WGとしても活動。退職後はABRによるレジリエンス、エンパワーメントをゴールにする社会実装系の法人を設立。著書として『生の技法 家と施設を出て暮らす障害者の社会学』『ホモ・アフェクトス』『黒板とワイン もうひとつの学び場〈三田の家〉』『感情資本主義に生まれて』『アート・ライフ・社会学』などがある。
イベント詳細
日時:
2023年3月30日(木)17:00-18:30
場所:
慶應義塾大学 三田キャンパス 東館6階 G-Lab
※ZOOMウェビナーを利用したオンライン配信も実施
参加費:
無料
申し込み方法:
こちらのフォームより参加申込をお願いいたします。
主催:
慶應義塾大学大学院社会学研究科、一般社団法人デサイロ
デサイロでは引き続き、ニュースレターやTwitter、Instagramなどを利用して、プロジェクトに関わる情報を継続的に発信していきます。また、Discordを用いて研究者の方々が集うコミュニティをつくっていければと考えています。ご興味のある方はニュースレターの登録やフォロー、あるいはDiscordに参加いただき、この実験にお付き合いいただければと思います。
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■バックナンバー:
“ありのまま“ではいられない私たち。「理想の身体」への欲望から見えてくるもの──人類学者・磯野真穂