【2023年6月刊】「選択的シングル」、死と後世、『科学革命の構造』新版……デサイロが注目したい人文・社会科学の新刊10冊
「いま私たちはどんな時代を生きているのか」──人文/社会科学領域の研究者とともにこの問いを探り、研究のなかで立ち現れるアイデアや概念の社会化を目指すアカデミックインキュベーター「デサイロ(De-Silo)」。
2023年6月に刊行(予定)の人文・社会科学領域の新刊書の中から、デサイロとして注目したい10冊をピックアップしました。
気になるタイトルがあれば、読書リストにぜひ加えてみてください。
1.佐久間寛ほか『負債と信用の人類学 人間経済の現在』
概要(版元ウェブサイトより引用)
2020年に急逝した文化人類学者デヴィッド・グレーバー。その思考の意義は、未だ汲み尽くされぬ魅力と価値に溢れている。日本でも『価値論』『負債論』『官僚制のユートピア』『アナーキスト人類学のための断章』(以文社)、『ブルシット・ジョブ』(岩波書店)などをはじめとするその著作は、現代社会を鋭く批評し、専門分野をこえてさまざまな議論がなされてきた。
とりわけ、2011年(日本語訳は2016年)に刊行された『負債論』は、貨幣と負債の秘密を5000年の人類史から読み解き、同時代の金融危機の記憶と影響とあいまって、人々に大きな衝撃をもたらす、世界的なベストセラーとなった。
本書は、グレーバーの「人間経済 human economy」の概念を手がかりに、『負債論』で提起された経済や政治をめぐる思考を、さらに先へと推し広げていくべく編まれた論文集である。
新型コロナウイルスの流行、ウクライナ危機と連動した世界的な不況が広がる今日、「他者を信じ、他者に追う」営みによって新たな社会関係と価値を創造する「人間経済」の可能性とは何か、文化人類学的視座から考察していく。
※本書は、2021年に開催された文化人類学公開シンポジウム「人類学からみる現代世界の信用と負債ーー「人間経済」に向けて」の成果に基づく登壇者による論考をまとめた第Ⅰ部、グレーバーの著作の翻訳を多く手掛ける酒井隆史氏による特別寄稿論文、グレーバー本人の未翻訳論文、グレーバーが『負債論』執筆にあたって大きな影響を受けた経済人類学者キース・ハートによる、『負債論』の書評論文を追加収録した第Ⅱ部、そして第Ⅰ部の執筆陣(シンポジウム登壇者)による本書の総括である座談会を掲載した第Ⅲ部からなる。
著者
佐久間 寛(さくま・ゆたか)(編集)
明治大学政治経済学部准教授,専攻は文化人類学,アフリカ地域研究.主要著作に,Présence Africaine: Index alphabétque par auteurs 1947-2016 (Présence Africaine, 2021),『ガーロコイレ――ニジェール西部農村社会をめぐるモラルと叛乱の民族誌』(平凡社,2013年),主な訳書に,カール・ポランニー『経済と自由――文明の転換』(共訳,筑摩書房,2015年),クロード・レヴィ=ストロース『構造人類学ゼロ』(共訳,中央公論新社,近刊)がある.
発売予定日
2023年6月1日
版元
以文社
2.スーザン・バンディズ『法と感情の哲学』
概要(版元ウェブサイトより引用)
「法」の世界から「感情」は排されなければならないのか?「法と感情」研究という新たな分野を確立した記念碑的論文集。
「法=理性」か、「感情」か。この二項対立から脱却し、「法と感情」研究が生まれた。本書は法と感情が相互浸透する関係性に照準を定め、ヌスバウム、ソロモン、ポズナー、ミノウといった錚々たる論客が、怒り、嫌悪、羞恥心、復讐心、ロマンティック・ラブなどの感情を多角的に考察する。法と感情の関わりを探究するための必読書。
【原著】Susan Bandes ed., The Passions of Law(New York University Press,1999)
著者
スーザン・バンディズ(Susan Bandes)(編集)
デポール大学名誉教授。刑法、刑事手続、公民権。「法と感情」研究のパイオニアとして知られる。Research Handbook on Law and Emotion (Edward Elgar, 2021)の編者の1人。1976年から法実務にたずさわり、1980年にはアメリカ自由人権協会(ACLU)イリノイ支部で各種の公民権関連訴訟に取り組む。1984年からデポール大学で教鞭をとり、数々の論文を公表。
橋本 祐子(はしもと・ゆうこ)(監訳)
龍谷大学法学部教授。同志社大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(法学)。専門は法哲学。主な業績に『リバタリアニズムと最小福祉国家――制度的ミニマリズムをめざして』(勁草書房、2008年)ほか。
小林 史明(こばやし・ふみあき)(翻訳)
明治大学法学部准教授。明治大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。専門は法哲学。主な業績に『法と文学――歴史と可能性の探究』(勁草書房、2020年)ほか。
池田 弘乃(いけだ・ひろの)(翻訳)
山形大学人文社会科学部教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得満期退学。専門は法哲学。主な業績に『ケアへの法哲学――フェミニズム法理論との対話』(ナカニシヤ出版、2022年)ほか。
発売予定日
2023年6月1日
版元
勁草書房
3.小野瀬慶子『フィッティングルーム: 〈わたし〉とファッションの社会的世界』
概要(版元ウェブサイトより引用)
〈ファッションをつくる〉人びとの、生の呼吸。
手応え、喜び、信頼、希望。あるいは違和感、憤り、怒り、絶望――。ファッションの社会的世界に足を踏み入れてから、自ら創業した会社を離れるまでの30年間、〈わたし〉はファッションに何を求め、何をつくり出そうとしてきたのだろう。そこから見えてくる、〈もうひとつの創造〉の可能性とは? ファッションを支配するシステムへの葛藤と挑戦をつぶさに描き、個人的な経験を43の光景(ザ・シーン)によって世界にひらく、オートエスノグラフィー。
「フィッティングルームから出てきた女性の頰が、ピンク色に高揚する瞬間に出会ったことある? ほんとうに、最高なの」(シーン19より)
著者
小野瀬慶子(おのせ・けいこ)(著/文)
慶應義塾大学商学部、文化服装学院ファッション工科専門課程アパレルデザイン科卒業。伊藤忠ファッションシステム、ユナイテッドアローズを経て、2006年にYOUR SANCTUARYを設立。翌年「ザ シークレットクロゼット」1号店をオープンし、国内外のブランドと自社コレクションを販売。16-17年秋冬シーズンよりウィメンズコレクション「シクラス」を立ち上げ、パリのショールームを拠点に世界各地の小売店に販売。パリ・ファッションウィーク公式メンバーとして、18-19年秋冬シーズンよりプレゼンテーションを、19-20年秋冬シーズンにショーを行う。19年、同社代表取締役を退任。22年、慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。現在、同後期博士課程在籍。専門はファッションの社会/人類学。
発売予定日
2023年6月5日
版元
アダチプレス
4.エルヤキム・キスレフ『「選択的シングル」の時代 30カ国以上のデータが示す「結婚神話」の真実と「新しい生き方」』
概要(版元ウェブサイトより引用)
「シングルの存在は、『社会問題』ではない。『未来への可能性』だ。」
BBC、CNN、ワシントン・ポスト...名だたる世界メディアが注目!
世界7言語で刊行決定!
一人一人が納得のいく人生を送るためには?
誰もが幸せに生きられる社会を作るためには?
30カ国以上のデータ分析や膨大なインタビュー調査に基づく
世界の「シングル」事情を知れば、新しい「これからの生き方」「これからの社会」が見えてくる。
結婚だけが「正解」じゃないこの時代に、名門コロンビア大出身・気鋭の社会学者が贈る、
自分の意志で人生を選びとるための処方箋。
【データでみる世界の「今」と「これから」】
・欧米諸国では40〜60%が離婚する
・アメリカの新生児の約1/4は生涯未婚
・北欧諸国の約40%はシングル世帯
・2030年までに世界の独身者の割合は20%増加
・結婚による幸福感は2年しか続かないーー結婚がもたらす「孤独」と「長期的リスク」
・シングル人口増加の背後にある8つのメカニズム
・社会的プレッシャーと「独身差別」に立ち向かうための5つの戦略
・「幸せなシングルたち」が実践している6つのワーク・ライフ・バランス戦略
ほか
著者
エルヤキム・キスレフ(著/文)
イスラエル・ヘブライ大学の公共政策・政府学部で教鞭を執る。マイノリティー、社会政策、シングル研究が専門。米国コロンビア大学で社会学の博士号を取得したほか、カウンセリング、公共政策、社会学の3つの修士号を有する。リーダーシップ、移住、社会・教育政策、エスニック・マイノリティー、グループ・セラピー、シングルなどのテーマで、多くの記事・書籍を執筆・編纂している。
舩山むつみ(翻訳)
東北大学文学部(フランス文学専攻)、慶應義塾大学法学部(政治学専攻)卒業。日経国際ニュースセンター、在日スイス大使館科学技術部などを経て、翻訳者。訳書に『ジャック・マーの生声』『2000年前からローマの哲人は知っていた 選ばれる方法』(ともに文響社)『7つの階級――英国階級調査報告』(東洋経済新報社)など。全国通訳案内士(英語・中国語・フランス語)。
発売予定日
2023年6月8日
版元
文響社
5.岸政彦/梶谷懐『所有とは何か-ヒト・社会・資本主義の根源』
概要
本やスマホ、土地や家屋、雇用や資産。自分のモノとして持っていることが「所有」であり、衣食住や商品取引、資本主義の原点である。こんにちシェアやサブスクがあるのに、ヒトは所有せずにいられない。他方でヒトの生存を守る所有権が、富の偏在を生む元凶となっている。なぜだろうか? 経済学や社会学、人類学の第一線の研究者6人が、所有(権)の謎をひもとき、人間の本性や社会の成立過程、資本主義の矛盾を根底から捉えなおす。
著者
岸政彦(きし・まさひこ) (著/文 | 編集)
1967年生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。社会学者・作家。専門は沖縄、生活史、社会調査方法論。著書に『同化と他者化――戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、紀伊國屋じんぶん大賞2016)、『ビニール傘』(新潮社)、『はじめての沖縄』(新曜社)、『マンゴーと手榴弾』(勁草書房)、『リリアン』(新潮社、第38回織田作之助賞)など。編著書に『東京の生活史』(筑摩書房、紀伊國屋じんぶん大賞2022・第76回毎日出版文化賞)、『生活史論集』(ナカニシヤ出版)、『沖縄の生活史』(みすず書房)。共著に『質的社会調査の方法』(有斐閣)、『地元を生きる』(ナカニシヤ出版)など。
梶谷懐(かじたに・かい) (著/文 | 編集)
1970年生まれ。神戸大学大学院経済学研究科教授。専門は現代中国経済。神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学)。博士課程在籍中に中国人民大学に留学(財政金融学院)。神戸学院大学経済学部准教授などを経て、現職。著書に『「壁と卵」の現代中国論』(人文書院)、『現代中国の財政金融システム』(名古屋大学出版会、第29回大平正芳記念賞)、『日本と中国、「脱近代」の誘惑』(太田出版)、『日本と中国経済』(ちくま新書)、『中国経済講義』(中公新書)。共著に『幸福な監視国家・中国』(NHK出版新書)など。
発売予定日
2023年6月8日
版元
中央公論新社
6.ベンジャミン・ホー『信頼の経済学:人類の繁栄を支えるメカニズム』
概要(版元ウェブサイトより引用)
・人類はいかにして互いを信頼するようになったか
・市場・法の支配から科学・気候問題まで
人類の文明の物語は、互いにいかにして信頼するようになったかという物語である!
人間が少人数の集まりから巨大な社会を築く根底には「信頼」のメカニズムが働いている。市場、法、貨幣から医学、科学技術、気候問題まで「信頼」なくしては存立しない。
「謝罪の経済学」というユニークな分野を開拓した気鋭の経済学者による骨太な一冊。
著者
ベンジャミン・ホー(Benjamin Ho)(著/文)
ヴァッサー大学行動経済学教授。マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学、数学、コンピュータ科学の学士号、同大学で電子工学とコンピュータ科学の工学修士号を取得。スタンフォード大学大学院で政治学と教育学の修士号を取得後、2006年に経済学の博士号を取得。またモルガン・スタンレーのアナリストやホワイトハウスの経済諮問委員会のエコノミストなどアカデミアの外での経験もある。
庭田よう子(にわた・ようこ)(翻訳)
翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。訳書に、ヤーデン・カッツ『AI と白人至上主義─人工知能をめぐるイデオロギー』(左右社)、ブルック・ハリントン『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番─世界トップ1%の資産防衛』(みすず書房)、ヨラム・ハゾニー『ナショナリズムの美徳』(東洋経済新報社)などがある。
発売予定日
2023年6月9日
版元
慶應義塾大学出版会
7.サミュエル・シェフラー『死と後世』
概要
われわれの死後も人類が存続するであろうこと、それは想像以上に人の生を支えている。二つのシナリオをもとに倫理の根源に迫った講義。
自分自身の死から30日後、地球に巨大小惑星が衝突する。あるいは、人間は不妊化し、地球上の人々は次第に死に絶えていく……。2つのシナリオの先にあるのは人類の消滅だ。それはわれわれの思考や感情にどのような変化を引き起こすのか。3つの講義を通して著者は、人間の生が自らの死後も生き続けるであろう人々の存在に想像されるよりも強く依存していることを示し、哲学史に新しい領域を切り開いた。この講義への4人の哲学者による批判と著者の応答も加わり、議論はさらなる深まりを見せる。デレク・パーフィットは本書を「真にすばらしく、極めて重要な書物」と絶賛した。本邦初訳。
著者
サミュエル・シェフラー(Samuel Scheffler)(著/文)
1951年生まれ。ニューヨーク大学哲学科教授。ハーヴァード大学卒業後、プリンストン大学にて博士号を取得。主な研究部門は道徳哲学、政治哲学、価値理論。アメリカ学士院会員。著書にThe Rejection of Consequentialism(1982/1994), Human Morality(1992), Boundaries and Allegiances(2001), Equality and Tradition(2010), Why Worry about Future Generations?(2018)がある。
森村 進(もりむら・すすむ)(翻訳)
1955年生まれ。東京大学法学部卒業。法学博士(一橋大学)。一橋大学名誉教授。専門は法哲学。
発売予定日
2023年6月12日
版元
筑摩書房
8.トマス・S・クーン『科学革命の構造 新版』
概要(版元ウェブサイトより引用)
待望の日本語版新版(原著第IV版、50周年記念版の全訳)。
科学とは何か、知識の進歩とは何かについての固定観念を抜本的に塗り替え、「20世紀の最も影響力の偉大な本」に数えられる名著である。新版は半世紀ぶりの〈新訳〉であり、クーンの論述が細部まで丹念に掬い上げられた。また、新しい読者への案内としてI・ハッキングによる「序説━━五十周年記念版に寄せて」が巻頭に加わっている。
「通常科学」から「危機」へ、そして新しい「パラダイム」へ──世界観の変わり方をダイナミックかつ周到に語って世界を変えたクーンのヴィジョンが、21世紀的な解像度の訳文でよみがえる。
著者
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
トマス・S・クーン(Thomas S. Kuhn)(著/文)
1922–1996。アメリカのオハイオ州でドイツ系ユダヤ人の土木技師の家に生まれる。ハーバード大学で物理学を学び、1949年に同校でPh.D.(物理学)を取得。ハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン大学などで科学史および科学哲学の教鞭をとる。1969年-1970年には米国科学史学会会長を務めた。1979年から没年まで、マサチューセッツエ科大学(MIT)言語学・哲学部門ローレンス・ロックフェラー教授。ほかの著作に、The Copernican Revolution(Harvard University Press, 1957)〔常石敬一訳『コペルニクス革命』講談社学術文庫、1989〕、The Essential Tension(University of Chicago Press, 1977)〔安孫子誠也・佐野正博訳『科学革命における本質的緊張』みすず書房、全2巻 1987/92、のち、合本 1998)、The Road since Structure, ed. by James Conant and John Haugeland(University of Chicago Press, 2000)〔佐々木力訳『構造以来の道』みすず書房、2008〕、The Last Writings of Thomas S. Kuhn, ed. by Bojana Mladenović(University of Chicago Press, 2022)など。
イアン・ハッキング(Ian Hacking)(文)
1936年カナダ、バンクーバー生まれ。トロント大学哲学部門教授。2023年没。The Emergence of Probability(Cambridge University Press, 1975, 2006)〔広田すみれ・森元良太訳『確率の出現』(慶応義塾大学出版会、2013〕、Representing and Intervening(Cambridge University Press, 1983)〔渡辺博訳『表現と介入』ちくま学芸文庫、2015〕、The Social Construction of What?(Harvard University Press, 1999)〔出口康夫・久米暁訳『何が社会的に構成されるのか』岩波書店、2006〕をはじめ、著書・編著多数。
青木薫(あおき・かおる)(翻訳)
翻訳家。1956年、山形県生まれ。Ph.D.(物理学)。著書に『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』(講談社現代新書、2013)。訳書に、S・シン『フェルマーの最終定理』(新潮文庫、2006)、ハイゼンベルク他『物理学に生きて』(ちくま学芸文庫、2008)、J・スタチェル編『アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文』(ちくま学芸文庫、2011)など多数。2007年、数学普及への貢献により日本数学会出版賞受賞。
発売予定日
2023年6月13日
版元
みすず書房
9.ヤコブ・トーメ『ザ・キルスコア 資本主義とサステナビリティーのジレンマ』
概要(版元ウェブサイトより引用)
キルスコアとは:
先進国が選択してきた経済成長と豊かなライフスタイルがもたらした
気候変動 廃棄物 過重労働 分断と孤独 紛争 を要因として失われる人命の数
大量生産・大量消費の時代に終わりが来ていると誰もが理解してはいるが、「持続可能(サステナブル)な社会」を謳ったとて、現実には多くのジレンマや矛盾、欺瞞がつきまとう――結局は皆、「より豊かな生活」をしたいのだから。
欧州拠点の独立系金融シンクタンクの共同創設者で、日本の金融庁や各国中央銀行のアドバイザーも務めた著者が、資本主義が生む膨大な犠牲と社会の致命的結末をあらゆるリソースを用いて「キルスコア」として数値化。
「消費とサステナビリティーの両立」という究極の難題に真正面から向き合い、私たちの姿勢を問う。
私たちは、どうすれば存続できるのか?
希望は、どこにあるのか――?
「キルスコアは、サステナビリティーの欺瞞を我々に突きつける。
だがそこにこそ、持続可能な社会実現の可能性が見えてくる。」
著者
ヤコブ・トーメ(Jakob Thomä)(著/文)
1989年ベルリン生まれ。ロンドン、ニューヨーク、パリ、ベルリンを拠点とする独立系非営利金融シンクタンク、2°インベストメント・イニシアチブ(2DII)の共同創設者。ロンドン大学SOAS(東洋アジア研究学院)特任教授として教鞭を執る。日本の金融庁、イングランド銀行、ドイツ連邦銀行など各国中央銀行、EU機関のアドバイザーを歴任。金融システムのグリーン化のための世界的研究ネットワークINSPIREの諮問委員会メンバー。持続可能な金融ビジネス・政策の専門家として、Forbesドイツ誌の「30アンダー30(世界を変える30歳未満の30人)」に選ばれたほか、国際会議での講演も多数。ロンドン大学卒業後、北京大学で修士号を、フランス国立工芸院で博士号を取得。
発売予定日
2023年6月19日
版元
日経ナショナル ジオグラフィック
10.遠藤薫ほか『災禍の時代の社会学: コロナ・パンデミックと民主主義』
概要(版元ウェブサイトより引用)
コロナ・パンデミックをはじめとする災禍の時代。露わになる格差の拡大、社会の分断、民主主義の危機などに、私たちはどのように立ち向かうのか。社会学理論の知見やデータをもとに、第一線の社会学者たちが未来へ向けて発信する市民へのメッセージ。
【主要目次】
I 災禍が拡大した格差と孤立
1.コロナ・パンデミックと雇用格差(有田 伸)
2.コロナ・パンデミックとジェンダー格差(筒井淳也)
3.コロナ・パンデミックと教育政策(中村高康)
4.コロナ・パンデミックと住宅問題(村上あかね)
5.コロナ・パンデミックと日本の自殺(江頭太蔵)
Ⅱ 民主主義社会のゆらぎと危機
6.コロナ禍は民主主義国への評価を低下させたか(園田茂人)
7.新しい介入主義に市民社会はどう対峙するか(町村敬志)
8.危機に瀕する民主主義:ヴァイマル共和国の歴史から考える(友枝敏雄)
9.民主主義の二つのかたちと日本の選択:教育から考える価値観と市民像(渡邉雅子)
10.社会のゆらぎと社会理論のゆくえ(山田真茂留)
11.文化戦争と文系学問の危機(盛山和夫)
Ⅲ 未来をどのように創るか
12.〈生〉を包摂する社会へ:ケアとジェンダーの視点から(落合恵美子)
13.モビリティーズと〈共〉の社会理論(吉原直樹)
14.持続可能な民主主義へ向けて(今田高俊)
15.ウィズコロナ、ウィズAI時代の民主主義と社会学5.0(佐藤嘉倫)
16.災禍の時代を超えて:孤立から語り合う世界へ(遠藤 薫)
著者
遠藤 薫(えんどう・かおる)(編集)
学習院大学名誉教授
山田 真茂留(やまだ・まもる)(編集)
早稲田大学文学学術院教授
有田 伸(ありた・しん)(編集)
東京大学社会科学研究所教授
筒井 淳也(つつい・じゅんや)(編集)
立命館大学産業社会学部教授
発売予定日
2023年6月21日
版元
東京大学出版会
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