知と文化のインキュベーション拠点Unknown Unknownで多様な活動が行われた一ヶ月【一般社団法人デサイロ活動報告:2026年4月】
「AIナラティブ」から、声遊楽クロスダイアローグ2年目始動まで。一般社団法人デサイロにおける2026年4月の活動報告と、5月の活動についてお知らせします。
■コラム
最近、「一緒に考える人」として、イベント登壇や取材のお声掛けをいただく機会が増えています。自分は専門家ではなく、知の媒介者という立場から議論に参加し、横断的な視点から新しい論点やアイデアを探ったりするのですが、先日は「立ち止まれる社会」についてのイベントに登壇し、今月から来月にかけても複数のイベントが控えています。事業活動のなかで「一緒に考える人」を探している方はぜひお声掛けください。
2月にオープンした知と文化のインキュベーション拠点Unknown Unknownも、いまの時代と社会について考えていく場としての機能を有しており、4月からイベントシリーズ「Academic Insights」を再始動しました。2020年代において最も重要だと感じているテーマを設定し、研究者や実務家の方とともに議論しています。5月は「アフォーダブル住宅」を、その次は「防衛テックの倫理」をテーマとして扱う予定です。ぜひ皆さまも議論に参加していただければ幸いです。(一般社団法人デサイロ代表理事・岡田弘太郎)
■4月の活動
声遊楽のこれまでとこれから——林大輔、岡田弘太郎、小池真幸【声遊楽クロスダイアローグ #9】を開催
声をめぐる問いについて、人文社会系・理工系の研究者、声で人々に働きかける表現者、声による価値提供を目指す企業人が交じり合って対話を行い、「声」を題材に「未来の人間らしさ」「心の豊かさ」について多様な観点から問い続けていく「声遊楽クロスダイアローグ」。
4/8(水)に開催した第9回は、2025年度の全8回を振り返りつつ、2年目となる2026年度の展望をプロジェクト運営メンバーが語りました。
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「気候変動 × 都市」をテーマに、イノベーション創出の新手法「システミックデザイン」を学ぶ──「システムマップ」読み解きワークショップの開催
慶應義塾大学では、いま注目を集める「システミックデザイン」の方法論を活用し、社会性と経済性を両立する21世紀型企業へのシフトを支援する「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」の設立に向け、2025年12月から活動を開始。一般社団法人デサイロも、その立ち上げを伴走支援しております。
本プロジェクトは、サービスデザイン/システミックデザインの第一人者であり、『システミックデザインの実践』の監訳も務めた慶應義塾大学経済学部・武山政直教授を中心に、一般社団法人デサイロが企画・運営面で協力。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)傘下のプロジェクトとして、学術研究と社会実装を横断する研究・社会実装プラットフォームとして活動します。
2026年6月からは、約4か月間にわたって「気候変動 × 都市」課題をテーマとしたコンソーシアムを実施します。さまざまな産業分野を横断する企業の参画による共創を促すハブとなる活動であり、今後注目度が増していく「システミックデザイン」の手法を体験いただける場となります。
今回のイベントは、本コンソーシアムへの参加をご検討いただいている企業の方向けに、まずは「『気候変動 × 都市』をテーマとしたシステムマップの読み解き方」を体験いただける場として開催いたしました。
Academic Insights #24の開催
Academic Insights #24では、『「AIリスク」の解剖――決定と責任を社会学的に考える』を刊行したばかりの社会学研究者・AIガバナンス協会理事の佐久間弘明さん、『現代社会を生きるための AI×哲学』の共著者のひとりであるメタサイエンスコミュニケーターの丸山隆一さんをゲストにお招きし、以下のような視点について議論を深めました。
「AIリスク」をめぐる語りを、どのようなフレームワークで捉えることができるのか
直近で注目を集めたAIリスクのトピックを「解剖」してみる
AIのリスクや可能性に関する外来のナラティブを相対化し、自分たちのフレームをもつために何ができるのか
AIを「つくる」わけではない私たちが「AIについて語る」ことの意義は何か
研究と実践の両側から AIの最前線に向き合うおふたりと、「ナラティブ」をキーワードに来たるべきAI社会について考える機会となりました。
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その他Unknown Unknownで開催されたイベント
Unknown Unknownではデサイロ以外の団体が主催するさまざまなイベントが開催されました。詳細は下記リンクよりご覧ください。
あいまい会議 Vol.2 〜ことばと美〜
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社会にOSレベルの文化的変容をどう起こすか?── 「立ち止まれる社会」の実現における人文知の可能性を探る
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AI時代の人間らしさを考える 『AIという名の鏡』出版記念イベント
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■5月の活動
「2020s -twenty-twenties-」配信予定!
2020年代を形づくる思想やアイデアとは何か?
哲学者の柳澤田実さんとデサイロ代表の岡田弘太郎が、テックから哲学、カルチャーまでを横断し、「思想がリアルポリティクスを動かす時代」に迫っていくPodcast番組の配信を開始します。乞うご期待ください!
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声遊楽クロスダイアローグ #10の開催
声をめぐる問いについて、人文社会系・理工系の研究者、声で人々に働きかける表現者、声による価値提供を目指す企業人が交じり合って対話を行い、「声」を題材に「未来の人間らしさ」「心の豊かさ」について多様な観点から問い続けていく「声遊楽クロスダイアローグ」。
今回のテーマは「『文化』はどのようにできるのか?――人々が生み出し、育み、伝えるもの」です。
2026年度の声遊楽クロスダイアローグでは、「文化」を通底する軸に据え、さまざまな観点から対話を重ねていきます。第10回では、それぞれ異なるフィールドで「人々が関わり、育てていく場」に取り組んでこられた3名をお迎えし、以下の観点から議論を深めます。
「文化」が創られ、醸成されていく上で、人々が何かをただ受け取るだけでなく、生み出し、育み、周りや後の世に伝えていくことは、どのように関わり、どのような意味を持つのか
そのような活動が生じる「場」とはどのようなものか。いかにしてそうした「場」をつくり、育んでいくことができるのか
異なるバックグラウンドや関心、観点を持つ人々が、1つの傘の下で集まり、交流しながら活動が育まれていく「場」は、いかに構築され維持されうるのか。その多様性と同質性の適切なバランスとは
人々の「俗」と関わる文化は、どのように広まり、愛されていくのか
趣味的な活動(効率や経済性を度外視した、個々人の内的なものに根差した活動)は「俗」な文化につながりうるのか
「面白い」「楽しい」から「ふしぎ」「どうしてだろう」、そして「知りたい」「やりたい」へと、それぞれの人の関心にしたがった探求へつなげていくことは、いかにして可能か
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「神保町をリデザインする―新しいまちづくりモデルの創造」への登壇
2026年5月30日(土)、東京・神保町の岩波神保町ビルにて開催の、東京文化資源会議(会長:吉見俊哉)が主催するシンポジウム「神保町をリデザインする―新しいまちづくりモデルの創造」にデサイロ代表理事の岡田弘太郎が登壇いたします。
本イベントでは、千代田区の最新施策の共有に加え、神保町に関わるさまざまなプレイヤーの方々が、神保町の何を変え、何を変えないかを議論していきます。
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Unknown Unknownで開催予定の展示・イベント
神保町に新たなコンテンポラリーアートギャラリー「MOVO GALLERY」開廊。こけら落としとして、品川はるな/木原共による二人展を開催
デサイロが運営する知と文化のインキュベーション拠点「Unknown Unknown」で初となる展示が、2026年5月2日(土)〜5月13日(水)の会期で開催されます(主催:MOVO GALLERY/共催:一般社団法人デサイロ、Unknown Unknown)。
▼ 展示コンセプト「もしも -What if-」
アートは、ときとして私たちの社会や人間を映し出す鏡にもなります。いま、大規模言語モデル(AI)の発達により、予測がますます高度になる社会を私たちは生きています。こうした時代において、予測からはみ出す〈ありうる複数の可能性〉や、偶然性を考えることの意味はどのように変わっていくのでしょうか。
MOVO GALLERYのこけら落としとなる本展では、日本政府の統計データに基づいて生成される別人の人生をプレイヤーが選択しながら体験する、木原共による《ありうる人生たちのゲーム》と、キャンバスに塗られた絵の具の膜を剥がすことで、鑑賞者のなかに多様な風景や記憶を立ち上げる、現代美術家・品川はるなの絵画作品を展示します。
▼ 関連イベント
5月9日には、木原共と哲学者の柳澤田実によるトークセッションを実施いたします。
展示およびイベントの詳細は、以下よりご確認ください。
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Academic Insights #25「アフォーダブル住宅」 を考える──都市に「住み続ける」ための、 住宅政策・ファンド・建築の実践
東京都心部において住宅価格の高騰が進むなか、東京都は2026年2月、日本ではじめて「アフォーダブル住宅を供給する官民連携ファンド」を創設しました。
「アフォーダブル住宅」とは、所得が平均的な層や子育て世帯でも「無理なく支払える(手頃な)家賃・価格」で提供される良質な賃貸・分譲住宅を意味します。本ファンドは、子育て支援や空き家活用、ひとり親支援などのテーマごとに4つのファンドが組成され、総額200億円以上のうち、100億円を東京都が出資します。この取り組みを通じて約350戸を供給し、子育て世帯の都外への流出を防ぐことを目指しており、住宅政策の新しい動きとして注目を集めています。
今回のAcademic Insightsでは、「アフォーダブル住宅」を入口に、都市圏全体での居住のアフォーダビリティの確保に向けた包括的なアプローチまで議論を発展させることで、これからの住まいと都市について考えます。ぜひ議論に加わっていただければ幸いです。
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■今月の1冊
『危機の三十年─冷戦後秩序はなぜ崩壊したか─』(著者・細谷雄一)
<内容(版元紹介より)>
冷戦終結で平和が訪れるはずだったのに、なぜ再び戦争の時代となってしまったのか。国際政治学の古典『危機の二十年』を下敷きに、ユートピア主義とリアリズムの相克という視座から、ソ連の解体、アメリカの傲り、NATOの東方拡大、そしてロシアによるウクライナ侵攻へ至る三十年を検証する。戦争回避のための必読書。
<一言コメント>
「時代が変化するシグナルをいかにして見つけるのか?」を考える機会が増えています。これまで自明なものとして捉えていた「リベラルな国際秩序」が、冷戦後の約30年のなかでいかにして崩れていったのか。本書では、ユートピアニズムが浸透する前半の15年と、そのようなユートピアニズムが後退し、パワーポリティクスやナショナリズムを基礎とするリアリズムが復権していく後半15年が分析されています。現代史を俯瞰する視座を求めている方におすすめの一冊です。
政治学者・鈴木一人さんによる『地経学とは何か─経済が武器化する時代の戦略思考─』や、 国際ジャーナリスト・川北省吾さんによる『新書 世界現代史 なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか』などと合わせて読むと、激変する国際情勢への理解が深まるはずです。(岡田弘太郎)
■プロジェクトのご依頼・ご相談について
デサイロでは、さまざまな企業・大学向けに以下のようなソリューションを提供しています。プロジェクトのご依頼・ご相談について検討いただける方は、お気軽にお問い合わせください。
1.Academic Incubation|企業・大学の研究/実装プロジェクトのインキュベーション
2.Research & Consulting|“研究”知を起点とした企業変革支援
3.Designing Co-Creation|“研究”知を起点とした共創の場づくり













