【2024年1月刊】気候がもたらす「視差」、〈長期主義〉倫理学、町工場の民族誌……デサイロが注目したい人文・社会科学の新刊10冊
「いま私たちはどんな時代を生きているのか」──人文・社会科学領域の研究者とともにこの問いを探り、研究のなかで立ち現れるアイデアや概念の社会化を目指すアカデミックインキュベーター「デサイロ(De-Silo)」。
2024年1月に刊行の人文・社会科学領域の新刊書の中から、デサイロとして注目したい10冊をピックアップしました。
気になるタイトルがあれば、読書リストにぜひ加えてみてください。
1.田中彰吾ほか『自己の科学は可能かー心身脳問題として考える』
概要(版元ウェブサイトより引用)
自己は脳によって作られるのか? 身体性に規定されるのか? 記憶と物語から構築されるのか? 21世紀に展開されてきた「自己の科学」を振り返り、最先端の研究を紹介するとともに、「心身脳問題」という観点から未来を展望する熱いアンソロジー。
著者
田中彰吾(たなか・しょうご) (編集/著)
東海大学文化社会学部教授/文明研究所所長。理化学研究所客員研究員。博士(学術)。専門は現象学的心理学、身体性哲学。これまで一貫して、身体性の観点から心の科学の基礎理論を刷新する研究に取り組んできた。本書は、身体性に深い関心を寄せつつ心の科学を探究する研究仲間との議論を取りまとめた初の書籍となる。単著に『生きられた〈私〉をもとめて――身体・意識・他者』(2017,北大路書房)、『自己と他者――身体性のパースペクティヴから』(2022,東京大学出版会)など。
今泉修(いまいずみ・しゅう)(著)
お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所准教授。博士(学術)。専門は実験心理学、認知心理学。身体運動と認知の関係に関心を持ち、特に主体感・時間知覚・記憶について研究している。主要論文に「主体感の認知神経機構」『精神医学』61(5),541-549,2019(共著)など。
金山範明(かなやま・のりあき)(著)
産業技術総合研究所(AIST)主任研究員。博士(心理学)。専門は生理心理学。頭皮上脳波を用いた主観的状態の計測方法を研究している。主著に『脳波解析入門――EEGLABとSPMを使いこなす』(2016,東京大学出版会,共編著)など。
浅井智久(あさい・ともひさ)(著)
国際電気通信基礎技術研究所(ATR)主任研究員。博士(学術)。専門は実験心理学,認知神経科学,精神病理学。ブレイン・マシン・インターフェースやニューロフィードバック技術などの研究開発を行う一方で,行動実験や脳計測を駆使して私たちの「主観」をどう取り出せるかについても長らく苦闘中。主要論文に「主観主義的精神病理学――自己と世界と幻覚・妄想」『心理学評論』62(1),5-15,2019(単著)など。
弘光健太郎(ひろみつ・けんたろう)(著)
国際電気通信基礎技術研究所(ATR)研究員。博士(心理学)。専門は神経心理学、実験心理学、認知神経科学。脳損傷者における自己の障害の研究や非侵襲的脳刺激法による脳機能介入研究に従事。主要論文にMeasuring the sense of self in brain-damaged patients: A STROBE-compliant article. Medicine, 97(36), e12156, 2018(共著)など。
発売日
2024年1月5日
版元
新曜社
2.ウィリアム・マッカスキル『見えない未来を変える「いま」――〈長期主義〉倫理学のフレームワーク』
概要(版元ウェブサイトより引用)
「タイムトラベルの物語では、過去の小さな行動が現在の極端な変化につながることが多い。しかし、今日の小さな行動が、未来に劇的な影響を及ぼす可能性について考えることはめったにない」(本文より)
本書の主眼は、こんな可能性を真剣に捉えるべき理由を提示することだ。そしてさらに、いまを生きる一人ひとりが「いますぐ」行動するよう説得することにある。
気候変動、高度なAIや全面核戦争がもたらす脅威・リスクについて、できるだけ正確なデータ、〈長期主義〉的フレームワーク、そして数学的ツールで詳細に検討し、数世紀から100万年先までの不確実な未来の形をできるだけ正確に描き出していく。そのうえで、「そもそも人類の絶滅は悪いことなのか?」「幸福とは何なのか?」といった根源的な問いにまで踏み込むことで、議論は深みを増している。
科学をはじめ、歴史、哲学と使える知見は何でも使い、熱意にあふれた筆致で読者を巻き込んでいく若き哲学者、マッカスキルの説く、未来のための思想。
著者
ウィリアム・マッカスキル(William MacAskill)(著)
オックスフォード大学哲学准教授、オックスフォード大学世界優先事項研究所の上級研究員。道徳的な不確実性、功利主義、効果的利他主義、未来世代の倫理に焦点を当てた研究を行う。〈効果的な利他主義〉運動の立ち上げに尽力し、ギビング・ワット・ウィー・キャン、80,000アワーズ、効果的利他主義センター、世界優先事項研究所などの組織を共同設立してきた。そうした組織の活動を通じ、これまで慈善団体に3億ドル以上を寄付している。著書に『〈効果的な利他主義〉宣言!』(みすず書房、2018)がある。
千葉敏生(ちば・としお)(翻訳)
翻訳家。早稲田大学理工学部数理科学科卒業。訳書にマッカスキル『〈効果的な利他主義〉宣言!』(みすず書房、2018)、ホワイト&スティーン『キッチンの悪魔』(みすず書房、2019)、バーネット&エヴァンス『スタンフォード式人生デザイン講座 仕事篇』(早川書房、2022)、ワークマンパブリッシング『アメリカの中学生が学んでいる14歳からのプログラミング』(2022)、ミラー『半導体戦争』(2023、以上ダイヤモンド社)、ゴフ&ダッドリー『津波』(みすず書房、2023)ほか。
発売日
2024年1月12日
版元
みすず書房
3.新倉久乃『在日タイ女性の高齢期と脆弱性――トランスナショナルな社会空間と埋め込まれたジェンダー規範』
概要(版元ウェブサイトより引用)
在日タイ女性に焦点を当て、日-タイの越境的な家族関係、それぞれの社会・制度に埋め込まれたジェンダー規範による、高齢期に向けた選択における制約と、彼女たちが抱える脆弱性を明らかにする。高齢期を迎えるニューカマーの実相に迫った嚆矢となる研究成果。
著者
新倉久乃(にいくら・ひさの)
和光大学現代人間学部非常勤講師・客員研究員、立教大学異文化コミュニケーション学部非常勤講師など。フェリス女学院大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。文学博士。2022年度国際ジェンダー学会研究奨励賞を受賞。研究関心:国際社会学、ジェンダー、貧困と社会保障、在日タイ女性の高齢化、多文化共生。
経歴:特定非営利活動法人女性の家サーラー、寿・外国人出稼ぎ労働者と連帯する会カラバオの会(神奈川県)とThai Community Development Center(Los Angeles, US)で、在外タイ人の人身取引被害者、生活困窮に直面する女性および母子を対象とした福祉・生活相談のケースワーカーを経て現職。
主な業績:「移住女性の安全な定住と福祉・法制度に埋め込まれたジェンダー規範――ひとり親となった在日タイ女性の事例から」『国際ジェンダー学会誌』(17号、2019年)、「子育て期を終えた在日タイ女性の帰国という選択――社会保障制度と越境家族の紐帯維持の狭間で」『経済社会とジェンダー:日本フェミニスト経済学会誌』(5巻、2020年)。
発売日
2024年1月18日
版元
明石書店
4.加藤英明『ひとつとして同じモノがない――トヨタとともに生きる「単品モノ」町工場の民族誌』
概要(版元ウェブサイトより引用)
現代工業社会においてモノをつくるとはどのようなことか。
従来ほとんど光が当たることがなかった「単品モノ」町工場へのフィールドワークから、愛知県西三河地域の町工場がどのような技術や工夫、誇りをもってモノづくりをおこない、どのようにトヨタとともに関係し合いながら発展してきたのか、そのダイナミズムを明らかにする。
著者
加藤英明(かとう・ひであき)(著)
南山大学人類学研究所プロジェクト研究員。専攻・専門は、文化人類学、技術研究。
主な著作に、「金属切削加工に従事する町工場の技術──シェーン・オペラトワール論を分析視座として」(『物質文化』 96 、2017年)、「「公差」におさめる──システム、技術的実践、企業間関係 」(『年報人類学研究』12、2021年)、「新旧の工作機械の使用をめぐる町工場のモノづくり──デジタル・物質性・技能の観点から」(後藤明監修、大西秀之編『モノ・コト・コトバの人類史――総合人類学の探求』、雄山閣 、2022年)。
発売日
2024年1月22日
版元
春風社
5.柿並良佑/難波阿丹『「情動」論への招待: 感情と情動のフロンティア』
概要(版元ウェブサイトより引用)
情動論的転回以降、多分野で展開する研究と理論的思潮を紹介し多彩な議論を拓く。「触発し触発される」思考の多元的前線へようこそ。
なぜ今「情動」なのか? 90年代以降、英米圏を端緒とし多領域において情動が主要な問題系として浮上している。理性と感情、主体と客体といった二元論的思考を乗り越え、動態的な生の輪郭に接近するために。哲学・批評、メディア文化、フェミニズム、認知科学等の気鋭の論者12名が、感情と情動が切りひらく最前線を展望する。
著者
柿並良佑(かきなみ・りょうすけ)(編集/著)
山形大学人文社会科学部准教授。1980年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。共(編)著に『ジャン= リュック・ナンシーの哲学』(読書人、2023年)、Jean-Luc Nancy. Anastasis de la pensee(Hermann, 2023)ほか。訳書にラクー= ラバルト&ナンシー『文学的絶対』(共訳、法政大学出版局、2023年)ほか。
難波阿丹(なんば・あんに)(編集/著)
聖徳大学聖徳ラーニングデザインセンター・情報教育センター(兼任)准教授。慶應義塾大学ほか非常勤講師。東京大学大学院 情報学環・学際情報学府博士課程修了、博士(学際情報学)。主な論文に「拡張する表皮―複数化するスクリーンから透明なインターフェイスへ」『現代思想』2015年5月(単著)、「情動の出来事性―インターフェイス・ライブ性・交感」『情報学環紀要』2017年4月(共著)、「ユニクロのAir-Rhythm―インターフェイシング〈相互調整〉と触覚的価値の再創出」『vanitas 005』2018年3月(単著)。共著書に『ソーシャルメディア・スタディーズ』(北樹出版、2021年)ほか。
発売日
2024年1月23日
版元
勁草書房
6.Jean Lin『帰属の美学――板前の国籍は寿司の味を変えるか』
概要(版元ウェブサイトより引用)
あなたは作品だけを見てその価値を判断できますか?
異国の食べ物はどのようにエキゾチックなのか。そのファッションはどうして革新的なのか。文化的盗用はなぜ問題となるのか。
ある対象をその文脈をふまえながら美的に判断する際のメカニズムについて、芸術作品を含むさまざまな文化現象を例とし考察する。
著者
Jean Lin(ジーン・リン)(著)
筑波大学芸術系 助教。専門は美学、芸術学
ミシガン大学アート・デザイン学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程・博士課程修了。博士(文学)。
主な著作に、Multiple Identities of Borderline Cases in Art(The Nordic Journal of Aesthetics, 65, 2023)、On Appreciating Artworks Involving Cultural Properties(Aesthetics, 23-24, 2021)、「創造的なカテゴリにおける真正性の問題――芸術と料理をめぐって」『美学芸術学研究』38、2020)がある。
発売日
2024年1月26日
版元
春風社
7.マーガレット・J・スノウリング『ディスレクシア』
概要(版元ウェブサイトより引用)
ディスレクシアに関わる生物学的、認知的、環境的要因とは何か
ディスレクシアの教育やサポートに携わる全ての人々に、ディスレクシアを正しく理解し、改善するための効果的な支援への出発点を示す
ディスレクシアがあるからといって、現行の教育制度から取り残されていいはずがない。親たちは、自分の子どものニーズを認めてもらおうと闘う必要などない。ディスレクシアが存在することには、確固たる科学的裏付けがある。(「第7章」より)
原書:Margaret J. Snowling, Dyslexia : A Very Short Introduction、 Oxford University Press, 2019.
著者
マーガレット・J・スノウリング(著)
Margaret Jean Snowling/1955年生まれ、イギリスの心理学者。ブリストル大学卒業後、ロンドンのUCLのMRC発達心理学部門にて博士号を取得。2022年までオックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジの学長兼実験心理学科教授を務めた。ディスレクシアを含む言語障害の世界的研究者。Philip Kirby との共著に、Dyslexia: A History(McGill Queens Univ, 2022)、Charles Hulme、Kate Nation との共編にThe Science of Reading: A Handbook(Wiley-Blackwell, 2022)。邦訳に、チャールズ・ヒュームとの共著『発達的視点からことばの障害を考える――ディスレクシア・読解障害・SLI』(原惠子監訳、ぎょうせい、2016年)など。
関あゆみ(せき・あゆみ)(監訳)
島根県松江市出身。北海道大学教育学部教授。鳥取大学医学部卒業、同博士課程医学系研究科修了、博士(医学)。鳥取大学地域学部准教授、北海道大学教育学部准教授を経て、2021年より現職。専門は学習障害の脳機能と支援方法に関する研究。主な著書として、小枝達也との共著による「T式ひらがな音読支援の理論と実践―ディスレクシアから読みの苦手な子まで」(中山書店)。
屋代通子(翻訳)
兵庫県西宮市生まれ。札幌市在住。出版社勤務を経て翻訳業。主な訳書に『シャーマンの弟子になった民族植物学者の話 上・下』『虫と文明』『馬の自然誌』『外来種のウソ・ホントを科学する』『木々は歌う』(以上、築地書館)、『ナチュラル・ナビゲーション』『日常を探検に変える』(以上、紀伊國屋書店)、『数の発明』『ピダハン』『マリア・シビラ・メーリアン』(以上、みすず書房)など。
発売日
2024年1月26日
版元
人文書院
8.ディペシュ・チャクラバルティ『一つの惑星、多数の世界: 気候がもたらす視差をめぐって』
概要(版元ウェブサイトより引用)
人新世における生存可能性への問い
温暖化、豪雨、山火事、パンデミックなど、加速する異常気象による数々の出来事は、地球という一つの惑星システムと、政治的分断を抱える人間世界との間に、深刻な亀裂をもたらしている。この危機に向き合うためには、人間と人間ならざるもの、そして自然に関する認識すべてを根幹から再考し、新たな存在の関係性を立ち上げる必要がある。人文科学研究の立場から人新世の議論を牽引する著者が、ラトゥール、ハラウェイ、デ・カストロなどとの対話的関係のなかで示す、新たな思想の結晶。
「多様で対立し合う人間の集団が、提示された惑星的な行動の行程表のまわりで一緒になるとしたら、それはどのようにしてであろうか。私は、対立している立場との類縁関係を作り出し、誰であれ他の人とは完全には一緒にならないだろうということを理解するという思想が、こういったわけのわからない時代において私たち自身を導くにあたって何らかの役にたつことを期待する。」(本書より)
著者
ディペシュ・チャクラバルティ(Dipesh Chakrabarty)(著)
1948年生まれ。インド出身の歴史学者。シカゴ大学教授。ベンガル地方の労働運動史やサバルタン研究から出発。主著に、Provincializing Europe: Postcolonial Thought and Historical Difference (2000)、The Climate of History in a Planetary Age (2021)など。地球規模の気候変動や人新世をめぐる議論の世界的先駆者である。2014年トインビー賞、2019年タゴール賞受賞。邦訳に『人新世の人間の条件』(早川健治訳、晶文社、2023年)。論文に「急進的歴史と啓蒙的合理主義」(臼田雅之訳、『思想』1996年1月)、「マイノリティの歴史、サバルタンの過去」(臼田雅之訳、『思想』1998年9月)、「気候と資本」(坂本邦暢訳、『思想』2018年3月)など。
篠原雅武(しのはら・まさたけ)(翻訳)
1975年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定准教授。著書に『公共空間の政治理論』(人文書院、2007年)、『空間のために』(以文社、2011年)、『全‐生活論』(以文社、2012年)、『生きられたニュータウン』(青土社、2015年)、『複数性のエコロジー』(以文社、2016年)、『人新世の哲学』(人文書院、2018年)『「人間以後」の哲学』(講談社選書メチエ、2020年)。訳書に『いくつもの声』(ガヤトリ・C・スピヴァク著、共訳、人文書院、2014年)、『社会の新たな哲学』(マヌエル・デランダ著、人文書院、2015年)、『自然なきエコロジー』(ティモシー・モートン著、以文社、2018年)、『ヒューマンカインド』(ティモシー・モートン著、岩波書店、2022年)など。
発売日
2024年1月26日
版元
人文書院
9.宮入恭平/増野亜子ほか『コンクール文化論 競技としての芸術・表現活動を問う』
概要(版元ウェブサイトより引用)
私たちは音楽を演奏し、ダンスを踊り、それら表現を見ることで日々の彩りを豊かにし、ときに癒やされ、励まされもしている。本来、優劣をつける必要がないにもかかわらず、人はなぜコンクールの場を設けて、芸術やパフォーマンスで競い合うのか。
ショパンコンクールからK-POPのオーディション番組、ダンススポーツ、民謡、伝統音楽、古典芸能、そして学校のコンクール、バレエ教室の発表まで、多種多様なコンクールの事例を紹介して、パフォーミングアーツを競い合うことの多様性と共通点、魅力やダイナミズム、問題点を浮き彫りにする。
演者や表現者が認められるべく努力し、審査員が真剣な眼差しを向け、観客が歓声を上げ、称賛を送る――コンクールという場で創造される表現の可能性、そこに生じる演者のキャリアや挫折、そして社会的な意義に多面的に迫るユニークな論考集。
著者
宮入恭平(みやいり・きょうへい)(著/編集)
立教大学ほか非常勤講師。専攻は社会学、ポピュラー文化研究、カルチュラル・スタディーズ。著書に『音楽と政治』(人文書院)、『ライブカルチャーの教科書』『ライブハウス文化論』(ともに青弓社)、『J-POP文化論』(彩流社)、編著に『発表会文化論』(青弓社)、共編著に『「趣味に生きる」の文化論』(ナカニシヤ出版)、翻訳書にスージー・J・タネンバウム『地下鉄のミュージシャン』(朝日新聞出版)など。
増野亜子(ましの・あこ)(著/編集)
東京藝術大学・明治大学・国立音楽大学ほか非常勤講師。専攻は民族音楽学、音楽人類学。著書に『声の世界を旅する』、編著に『民族音楽学12の視点』(ともに音楽之友社)、共著に『音楽の未明からの思考』(アルテスパブリッシング)、論文に「バリの歌舞劇アルジャにおける有形と無形」(「国立民族学博物館研究報告」第46巻第2号)など。
神保夏子(じんぼう・なつこ)(著/編集)
日本学術振興会特別研究員RPD(東京大学)、東京藝術大学ほか非常勤講師。専攻は演奏文化史、近代フランス音楽史。著書に『マルグリット・ロン』(アルテスパブリッシング)、共訳書にカンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』(青土社)、論文に「国際音楽コンクール世界連盟の成立とその初期の活動(1956~69)」(「桐朋学園大学研究紀要」第45集)など。
小塩さとみ(おしお・さとみ)(著/編集)
宮城教育大学教授。専攻は音楽学(民族音楽学)。著書に『日本の音 日本の音楽』(アリス館)、共編著に『現代日本社会における音楽』(放送大学教育振興会)、共著に『ビジュアル日本の音楽の歴史 ②近世』(ゆまに書房)、『唱歌で学ぶ日本音楽』(音楽之友社)、『音をかたちへ』(醍醐書房)など。
発売日
2024年01月30日
版元
青弓社
10.ディミトリス・クシガラタス『RITUAL(リチュアル): 人類を幸福に導く「最古の科学」』
概要(版元ウェブサイトより引用)
世界を変えるための「最古の科学」が「儀式」だった!
火渡りの祭礼から卒業式まで、儀式の秘密と活用のヒントを探究する空前の書
生活や価値観が猛スピードで変化する現代。昔からある「儀式」は単調で、退屈で、無意味にみえる。でも、ほんとうに? 認知人類学者の著者は熱した炭の上を歩く人々の心拍数を測り、インドの祭りでホルモンの増減を測定。フィールドに実験室を持ち込んで、これまで検証されてこなかった謎めいた儀式の深層を、認知科学の手法で徹底的に調査する。ハレとケの場、両方にあふれる「儀式」の秘密と活用のヒントを探究する空前の書。
ジョセフ・ヘンリック(人類学者、ハーバード大教授)
「ギリシャの火渡りからアマゾンの恐ろしい祭礼まで、認知人類学者の著者は、リズム、ダンス、音楽、苦痛、犠牲などから成る、一見すると無意味で反復的で因果関係が不明瞭な〈儀式〉を、人類がどのように、なぜ行うのかを探求する。民族学的なデティール、個人のナラティヴ、認知科学の成果が盛り込まれた本書は、QOLや健康状態の改善、地域社会の構築のために、古代からの知恵であり最新の科学でもある〈儀式〉をどのように活用できるかを教えてくれる」
著者
ディミトリス・クシガラタス(著)
コネチカット大学・実験的人類学研究室長。認知人類学者。南ヨーロッパとモーリシャスで数年間のフィールドワークを行ったのち、プリンストン大学、オーフス大学で役職を歴任し、マサリク大学・宗教実験研究研究所の所長を務める。 コネチカット大学では実験的人類学研究室を指揮。その活動は、ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、PBS、ヒストリーチャンネル、その他の多くの媒体でも取り上げられている。
田中恵理香(翻訳)
東京外国語大学英米語学科卒、ロンドン大学ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士課程修了。訳書に『むずかしい女性が変えてきた――あたらしいフェミニズム史』(みすず書房、2022年)、『ヴィクトリア朝医療の歴史――外科医ジョゼフ・リスターと歴史を変えた治療法』(原書房、 2021年)などがある。
発売日
2024年1月31日
版元
晶文社
デサイロでは、ニュースレターやTwitter、Instagramなどを利用して、プロジェクトに関わる情報を継続的に発信中。Discordを用いて研究者の方々が集うコミュニティも運営しています。ご興味のある方はニュースレターの登録や各SNSのフォロー、あるいはDiscordにぜひご参加ください。
■Discord:https://discord.gg/ebvYmtcm5P
■Twitter:https://twitter.com/desilo_jp
■Instagram:https://www.instagram.com/desilo_jp/
■バックナンバー:
【2023年12月刊】マネジメントの思想史、「現代人」の奇妙な心理、カリブ海思想入門……デサイロが注目したい人文・社会科学の新刊10冊