【2024年5月刊】SMの思想史、「惑星的都市化」の重要書、ケアの倫理と政治学……デサイロが注目したい人文・社会科学の新刊10冊
「いま私たちはどんな時代を生きているのか」──人文・社会科学領域の研究者とともにこの問いを探り、研究のなかで立ち現れるアイデアや概念の社会化を目指すアカデミックインキュベーター「デサイロ(De-Silo)」。
2024年5月に刊行の人文・社会科学領域の新刊書の中から、デサイロとして注目したい10冊をピックアップしました。
気になるタイトルがあれば、読書リストにぜひ加えてみてください。
1.モラル・バウンダリー: ケアの倫理と政治学
概要(版元ウェブサイトより引用)
道徳性をめぐる議論におけるジェンダーに関する問題を明らかにし、ケアの政治学に関する考察を行った最初の体系的な著作を邦訳。
トロントは政治理論・政治哲学の学問的系譜においてケアの倫理を論じ、ケアの政治理論を確立した先駆的人物である。ケアの倫理をめぐる議論は、母子関係を起点にケアを女性と関連づけるところからスタートしたが、本書はケアをあらゆる人間の生や活動として拡張し、現在のケアの倫理の理論的土台を形作るものと評価されている。
著者
ジョアン・C・トロント(著)
1952年生まれ。ミネソタ大学政治学教授、ニューヨーク市立大学大学院およびハンターカレッジ政治学教授を経て両大学の名誉教授。専門はフェミニズム政治理論。著書に『ケアリング・デモクラシー』(2024, 勁草書房)、『ケアするのは誰か?』(2020, 白澤社)など。
杉本 竜也 (翻訳)
1974年静岡県生まれ。日本大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。博士(政治学)。日本大学法学部専任講師、アメリカ・ミネソタ大学客員研究員を経て、現在は日本大学法学部准教授。専門は政治学・西洋政治思想史・政治哲学。著書に『自由を考える: 西洋政治思想史』(2022, 日本経済評論社)がある。
発売日
2024年5月1日
版元
勁草書房
2.〈声なき声〉のジャーナリズム:マイノリティの意見をいかに掬い上げるか
概要(版元ウェブサイトより引用)
SNS時代のジャーナリズム論
誰もが情報を発信し、フェイクニュースが氾濫するこの時代に、
ジャーナリストは「真正性」をいかに担保し、
マイノリティの声を掬い上げ、活性化させるべきなのか。
本書は、現代のデジタル化するメディア環境において、言説がより個別に、より自然に、より親密になり、「真正性」(本物らしさ)を追い求めるなかで、ジャーナリズムをどのように再定義すべきかを論ずるものである。
『真相深入り!虎ノ門ニュース』や『ハートネットTV』、『クィア・アイ』といったTV番組の言説構造の分析から、情報の送り手と受け手の関係性を編み直し、ジャーナリズムが〈声なき声〉をいかに掬い上げ、活性化すべきかの方途を探る。
そして、ジャーナリズムの担い手が送り手と受け手の垣根を超え、等身大の自分自身として語り、自分たちの居場所としてのメディアについて考える。
そうした社会のかたちのイメージを描き出し、もっと幅広い文化的実践をジャーナリズムとして再評価していく。
著者
田中瑛(著/文)
実践女子大学人間社会学部専任講師
1993年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業(同メディア・コミュニケーション研究所修了)後、東京大学大学院学際情報学府社会情報学コース博士課程修了。博士(社会情報学)。日本学術振興会特別研究員(DC1)、九州大学大学院芸術工学研究院助教を経て、2024年より現職。主要論文に、「真正性の政治とジャーナリズム――ポピュラーな正当化の可能性と矛盾の考察」『メディア研究』102号、183-199頁。「公共放送における「声なき声」の包摂の葛藤――NHKの福祉番組『ハートネットTV』のソーシャルメディア活用を事例として」『マス・コミュニケーション研究』95号、125-142頁。日本計画行政学会・社会情報学会若手研究交流会優秀賞受賞、など受賞多数。共著書に、小熊英二・樋口直人編『日本は「右傾化」したのか』(慶應義塾大学出版会、2020年)、伊藤守編『東京オリンピックはどう観られたか――マスメディアの報道とソーシャルメディアの声』(ミネルヴァ書房、2024年)など。
発売日
2024年5月8日
版元
慶應義塾大学出版会
3.「モディ化」するインド―大国幻想が生み出した権威主義
概要(版元ウェブサイトより引用)
世界一の人口、急成長する経済、世界最大の民主主義、グローバルサウスの盟主……国際舞台で存在感を増す「大国インド」。だが、足元では権威主義化が急速に進む。2014年にナレンドラ・モディが首相に就任して以降、権力維持・拡大のために、実態と離れた「大国幻想」を振りまき、一強体制を推進しているからだ。本書は、政治・経済・社会・外交に至るまで「モディ化」が進行するインドの実像と問題を冷徹な視点から描き出す。
著者
湊一樹(著/文)
1979年青森県生まれ。東北大学経済学部卒。2006年ボストン大学より修士号(政治経済学)を取得後、日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所に入所。現在、同地域研究センター研究員。専門はインドを中心とする南アジアの政治経済。共著に、『コロナ禍の途上国と世界の変容』(日経BP/日本経済新聞出版、2021年)、『これからのインド』(東京大学出版会、2021年)、『素顔の現代インド』(慶應義塾大学出版会、2021年)、『後退する民主主義、強化される権威主義』(ミネルヴァ書房、2018年)。翻訳に、アマルティア・セン/ジャン・ドレーズ著『開発なき成長の限界』(明石書店、2015年)がある。
発売日
2024年5月9日
版元
中央公論新社
4.新しい都市空間: 都市理論とスケール問題
概要(版元ウェブサイトより引用)
いま世界で最も影響力のある都市研究者ニール・ブレナーの初の邦訳単著。過去から現代にいたる都市研究の達成を、地理学・社会学・政治学・環境学・建築学の横断領域で網羅的に整理する最先端の探究。境界を持つ単位としての都市を超えて都市化を多スケールに構成されるプロセスと考える「リスケーリング」理論や、近年の社会科学を席捲する「惑星的都市化」の理論を解説・展開する代表的著作。
著者による紹介文
都市化をめぐるこれまでの研究アプローチのラディカルな再概念化。境界を持つ単位としての都市(シティ)への焦点化を問い直し、都市化を多スケールに構成されるものと考える論究。批判的都市研究の中心的課題は、資本主義的な都市組織体(capitalist urban fabric)をめぐり惑星的な規模で展開される、現代的なリスケーリングを解釈することにある。
著者
ニール・ブレナー(著)
シカゴ大学社会学部教授(Lucy Flower Professor of Urban Sociology)。代表的著作として単著New State Spaces(Oxford, 2004)、New Urban Spaces(Oxford, 2019)、編著Implosions/Explosions(Jovis, 2014)がある。1990年代いらい約30年間にわたり、スケール、リスケーリング、国家空間、資本主義的都市化、惑星的都市化といった概念を彫琢し、それらに基づく比較研究を行うことで、学際的・国際的な理論構築を旺盛に行ってきた。「都市理論(化)」というアプローチそのものの重要性を世界的に認知させ、また都市理論における批判的な方法論や地図作製を体系的にアップデートしてきた、都市研究分野の中心人物である。過去にニューヨーク大学やハーバード大学で教授職を歴任。Ph.D.(Political Science)
林 真人 (監修, 編集)[1・2・3・6・7章]
金城学院大学国際情報学部教授。代表的著作として単著Rescaling Urban Poverty(Wiley/Royal Geographical Society with IBG、2023)、『ホームレスと都市空間』(明石書店、2014)、“Any Labour geographies in urban theory?”(Antipode 55(2)、2023)がある。博士(社会学)。
玉野 和志 (翻訳)[10章]
放送大学教授。代表的著作として単著『東京のローカル・コミュニティ』(東京大学出版会、2005)、『創価学会の研究』(講談社現代新書、2008)、『実践社会調査入門』(世界思想社、2008)がある。博士(社会学)。
中澤 秀雄 (翻訳)[5章]
上智大学総合人間科学部社会学科教授。代表的著作として共著/復刻『戦後日本の出発と炭鉱労働組合』(御茶の水書房、2022)、共編著『炭鉱と「日本の奇跡」』(青弓社、2018)、単著『住民投票運動とローカルレジーム』(ハーベスト社、2005)がある。博士(社会学)。
齊藤 麻人 (翻訳)[4章]
横浜国立大学都市イノベーション研究院教授。代表的著作として共編著Locating Neoliberalism in East Asia(Blackwell、2011)、共著Struggling Giants(University of Minnesota Press、2012)、単著
“Recentralization of Tokyo”(International Journal of Japanese Sociology 30(1)、2021)がある。PhD(Regional and Urban Planning)
平田 周 (翻訳)[9章]
南山大学外国語学部フランス学科准教授。代表的著作として単著「尋問、モラル・エコノミー、罰の不公平な配分」(『予測と創発』春風社、2022)、共編著『惑星都市理論』(以文社、2021)がある。博士(哲学)。
金澤 良太 (翻訳)[8章]
東洋大学社会学部社会学科助教。代表的著作として単著「市街地再開発事業における周辺住民への対応」(『せたがや自治政策』26、2019)、「都市間競争とイデオロギーとしての創造都市」(『年報社会学論集』26、2013)共著「二子玉川の再開発過程」(『人文学報』513、2017)がある。修士(社会学)。
発売日
2024年5月13日
版元
法政大学出版局
5.SMの思想史: 戦後日本における支配と暴力をめぐる夢と欲望
概要(版元ウェブサイトより引用)
サディズム、マゾヒズム、フェティシズム、同性愛や異性装などのセクシュアリティをもつ人々が集った雑誌「奇譚クラブ」は、「その表紙に触れるだけでも戦慄が走る一種危険な雑誌」「戦後の裏文化の帝王」などと語られ名前だけは広く知られてきたが、雑誌の特色や内容に関する本格的な研究がなされてこなかった。
本書では、「奇譚クラブ」を含めた1950年代の戦後風俗雑誌7誌を全号通覧のうえ、類似雑誌の系譜・模倣関係を検証、「奇譚クラブ」の史料的特質とその重要性を浮き彫りにする。
吾妻新、沼正三、土路草一、古川裕子という4人の「奇譚クラブ」作家/思想家に着目する。戦後民主主義・近代化の潮流のなかで、サディスト・マゾヒストを自認した人々は、支配と暴力をめぐる欲望について何を考え、どう語ったのか。「家畜人ヤプー」「夜光島」などのポルノ小説やエロティックな告白手記から、主体性、自立、同意、愛をめぐる論点を取り出し、近代的な人間性をめぐる規範の限界をあぶり出す。
著者
河原 梓水 (著)
1983年、岡山県生まれ。福岡女子大学国際文理学部国際教養学科准教授。専攻は日本史、サディズム・マゾヒズム・SMを中心とする近現代日本の性文化・思想。共編著に『狂気な倫理――「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』(晃洋書房)、論文に「現代日本のSMクラブにおける「暴力的」な実践――女王様とマゾヒストの完全奴隷プレイをめぐって」(「臨床哲学ニューズレター」第3号)など。
発売日
2024年5月14日
版元
青弓社
6.意識と目的の科学哲学
概要(版元ウェブサイトより引用)
進化論的アプローチで「意識の難問」に挑む
科学哲学、生物学、心の哲学の学際領域への招待
私たちの主観的経験に結びつけられる意識。この意識は脳・神経系という物理的な存在から発生するにもかかわらず、科学的な解明が難しいとされる。本書は「意識の難問」に対して進化論的アプローチから挑み、意識科学の方法論の再構築を目指す。
著者
田中泉吏 (著)
慶應義塾大学文学部准教授。専門は科学哲学。著作に『生物学の哲学入門』(共著、勁草書房、2016年)など。
鈴木大地 (著)
筑波大学生命環境系助教、北海道大学人間知×脳×AI研究教育センター(CHAIN)客員研究員。専門は進化形態学、神経行動学、動物意識研究。訳書にファインバーグ&マラット『意識の進化的起源』(勁草書房、2017年)、ギンズバーグ&ヤブロンカ『動物意識の誕生』(勁草書房、2021年)など。
太田紘史 (著)
筑波大学人文社会系准教授。専門は心の哲学、倫理学。編著書に『シリーズ新・心の哲学』(全3巻、勁草書房、2014年)。
発売日
2024年5月21日
版元
慶應義塾大学出版会
7.ノット・ライク・ディス トランスジェンダーと身体の哲学
概要(版元ウェブサイトより引用)
「真理はあなたのなかに存在する。私たちは自分を曲げなくていい」
身体とは何か。ほかならぬ、誰もが生きているこの「私の身体」とは何か。本書は、トランスジェンダーの身体経験の分析を通し、そのトランスの身体を(シスジェンダーに対して)「特殊な」身体、「特殊な」経験とみなすのでなく、かつ、そのトランスジェンダーに対する既存の病理学的な認識図式を批判し、「トランスにとっての身体とは何か」のみならず、誰もが生きているこの「私の身体」とは何かを問いかける。
病理学的図式、デカルト的図式、構築主義的図式という「心身二元論」から発する「神話」を解体し、そのアポリアを問うとともに、オルタナティヴな理論的枠組みの提示を試みる。
著者
藤高 和輝(著)
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。博士(人間科学)。京都産業大学准教授。著書に、『ジュディス・バトラー――生と哲学を賭けた闘い』(以文社)、『〈トラブル〉としてのフェミニズム――「とり乱させない抑圧」に抗して』(青土社)。共著書に、『フェミニスト現象学入門――経験から「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)、『フェミニスト現象学――経験が響き合う場所へ』(ナカニシヤ出版)、『クィア・スタディーズをひらく3――健康/病、障害、身体』(晃洋書房)など。翻訳書に、ゲイル・サラモン『身体を引き受ける――トランスジェンダーと物質性のレトリック』(以文社)。
発売日
2024年5月25日
版元
以文社
8.マイノリティ・ライツ: 国際規準の形成と日本の課題
概要(版元ウェブサイトより引用)
マイノリティ・ライツに向き合わない社会で、「多民族共生」や「多文化共存」社会は達成できない。
なのに、日本では「在日特権」や「アイヌ特権」などと唱え、マイノリティを攻撃する憎悪の扇動が横行している。
マイノリティ・ライツは人類社会の中で、なぜ必要とされ、どのように国際規準として確立してきたのか。
本書では、その確立に至った経緯と当事者の取り組みをあきらかにすることによって、日本の課題を考えながら、不当な言説や差別構造に対抗しようとする人々に、広くマイノリティ・ライツの正当性を主張する根拠を提供する。
著者
岡本雅享 (著/文)
1967年出雲市生まれ。明治学院大学国際学部卒業、横浜市立大学大学院国際文化研究科修士課程、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了(国際学修士、社会学博士)。中央民族大学(北京)留学、サンフランシスコ州立大学客員研究員で中国(1990~93年)、米国(2008~09年)滞在。1989 年より在日韓国人問題研究所(RAIK)国際人権部会。IMADR(反差別国際運動)事務局員(1993~96年)や移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)事務局次長(2004~14年)なども歴任。現在、福岡県立大学人間社会学部教授、明治学院大学国際平和研究所(PRIME)研究員。専門は政治社会学・民族学(Ethnic Studies)。著書に『日本の民族差別』(明石書店、2005年)、『中国の少数民族教育と言語政策』(社会評論社、2008年)、『民族の創出』(岩波書店、2014年)など。
上村英明 (著/文)
1956年熊本市生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了(法学士、経済学修士)。メルボルン大学客員研究員(2015 ~17年)。1982年市民外交センターを設立して代表(~2019年)。現在、恵泉女学園大学名誉教授。市民外交センター共同代表、新時代アジアピースアカデミー(NPA)代表理事、森川海アイヌ先住権研究プロジェクト代表、ソーシャル・ジャスティス基金運営委員長。専門は、国際人権法〈先住民族の権利〉・平和学。著書に『新・先住民族の「近代史」』(法律文化社、2015年)、『社会が変わるとはどういうことか?』(共著、有信堂高文社、2019年)、『考えてみよう先住民族と法』(共著、信山社、2022年)、『平和学事典』(共同執筆、丸善出版、2023年)など。
窪誠 (著/文)
1959年東京生まれ。京都大学法学部卒業、京都大学大学院法学研究科修士課程公法専攻(国際法)修了(法学修士)、同博士課程公法専攻(国際法)単位修得退学。フランス・ストラスブール・ロベールシューマン大学より法学博士学位取得。現在、大阪産業大学経済学部教授、IMADR(反差別国際運動)監事、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)評議員、とよなか国際交流協会評議員、四條畷市人権文化をはぐくむまちづくり審議会委員。単著に『マイノリティの国際法』(信山社、2006年)、『人権法・人権政策のダイナミズム』(信山社、2023年)。共著に『人権の法構造と救済システム――人権政策論の確立に向けて』(法政大学出版局、2023年)、『国際人権法の歴史(新国際人権法講座 第1巻――国際人権法学会創立30周年記念)』(信山社、2023年)ほか。
朴金優綺 (著/文)
1984年岡山市生まれ。在日朝鮮人3世。朝鮮大学校外国語学部卒業、同大学校研究院総合研究科前期課程及びお茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科ジェンダー社会科学専攻博士前期課程修了(学術修士)。2010年より在日本朝鮮人人権協会事務局員及び朝鮮大学校講師を務める。2015年より歌手活動も行う。2017年以降、母父の両姓(朴金)を名乗っている。主な論文に「現代日本における『上下』からの差別と排外主義――朝鮮学校への差別、ヘイトスピーチ・ヘイトクライムと国連の是正勧告」『広島平和研究』第6号(2019年)、「在日朝鮮人女性の苦悩の交差点を考える――ハラスメント被害実態調査報告」『部落解放』2021 年5月号など。
朴君愛 (著/文)
1957年大阪市生まれ。在日コリアン3世。大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部朝鮮語学科卒業。卒業後「トッカビ子ども会」(大阪府八尾市)の専従スタッフとなり、国際人権規約や難民条約を梃にした民族差別撤廃運動に参加してきた。現在、(一財)アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大 阪)上席研究員。在日コリアンかつ女性であるゆえに被る「複合差別」を解決すべく「アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク」で活動を進めている。著書として、『ひとり親のエンパワメントを支援する――日韓の現状と課題』(共著、現代書館、2023年)、『第3回在日コリアン女性実態調査――「子育て」「介護」「コロナと仕事」を中心にして見えたもの』(共著、アプロ・未来を 創造する在日コリアン女性ネットワーク〔自費出版〕、2021年)など。
発売日
2024年5月27日
版元
現代人文社
9.エブリデイ・ユートピア
概要(版元ウェブサイトより引用)
トマ・ピケティ絶賛! ユートピアは夢物語ではない。プラトンから現代まで、多様な共同体の豊富な実例を参照しながらより幸福な暮らしのあり方を考える、閉塞感に満ちた時代の希望の一冊。
著者
クリステン・R・ゴドシー (著/文)
ペンシルベニア大学教授(ロシア・東欧学学科長)。2012年にグッゲンハイム・フェローを獲得。記事や論説は世界25か国語以上に翻訳され、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ミズ・マガジン、ディセント、フォーリン・アフェアーズなど国内外の多数の紙誌に登場。これまでに11冊の著書があり、話題作『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』は15か国語で翻訳出版された。
高橋 璃子 (翻訳)
翻訳家。京都大学卒業、ラインワール応用科学大学修士課程修了。訳書にゴドシー『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』、マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』、ノーデル『無意識のバイアスを克服する』、バークマン『限りある時間の使い方』、マキューン『エッセンシャル思考』など多数。
発売日
2024年5月28日
版元
河出書房新社
10.産後の〈風〉―病いの語りからみる韓国社会とジェンダー
概要(版元ウェブサイトより引用)
韓国の民俗病「産後風(サヌプン)」をめぐる人びとの語りから、その病いが1980年以前、女性たちが置かれた劣等な地位、経済的貧困と過度な労動による心理的、肉体的苦痛という社会・文化的背景から構築され、いまなお〈風〉は、弱者として生きてきた韓国女性全体に「苦しみのイディオム」として共有され続けていることを、人類学的に論究する。
著者
諸 昭喜 (著/文)
奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。国立民族学博物館グローバル現象研究部助教。韓国、台湾、バングラデシュでの妊娠中と出産時の女性の疾病と治療について研究を行っている。主な著作に、共著『痛みからみえてくること』(韓国語、Humanitas, 2021年)や『尊厳と生存』(法政大学出版局、2022年)、論文「韓国女性のソーシャル・サファリングの身体化―「産後風」の語りを中心に」(『日本ジェンダー研究』、2018年)、「東洋医学における疾患の社会的構築―韓国の産後風を事例として」(『人体科学』、2018年)ほか。
発売日
2024年5月31日
版元
春風社
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https://www.youtube.com/@DE-SILO
また先日開催した「DE-SILO EXPERIMENT 2024」にて、アーティストたちとの協働プロセスの中で、研究テーマを深めていった4名の研究者による最終成果をまとめた書籍を限定1,000部で出版します。一般販売はせず、サポート(寄付)への返礼としてみなさまのお手元にお届けするものとなっており、詳細やご予約は下記リンクをご確認ください。
https://de-silo.notion.site/De-Silo-c1433663965045c0ac638cdee5ebe442