【10月22日開催】人文/社会科学領域の研究をエンパワーするには?──社会との接続、資金調達の方法を考える【De-Siloローンチ記念イベント】
人文/社会科学領域の研究者を支援するアカデミック・インキュベーター・プログラム「デサイロ(De-Silo)」のローンチを記念して、10月22日10:00よりイベント「人文/社会科学領域の研究をエンパワーするには?──社会との接続、資金調達の方法を考える」を開催します。
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Session 01「石田健×久能祐子×成田悠輔×和田夏実|アカデミアの『再起動』のために。社会との接続のあり方を考える」
日本の大学は「死」を迎えつつある──大学のあり方についてその歴史的起源から現状まで幅広い提言を重ねてきた社会学者・吉見俊哉氏は、日本の大学の現状をこう表現しています。不可避の人口減少、低下する国際評価、疲弊する教員、逼迫する資金、ポスドク問題……アカデミアが抱える課題は山積してゆく一方です。
とりわけ人文/社会科学領域においては、2015年にメディアを賑わせた「文系学部不要論争」をはじめ、より一層厳しい状況に置かれていると言えるでしょう。しかし、人文/社会科学の研究は、「いま私たちはどんな時代を生きているのか」という問いに示唆を与え、現代社会を生きるための縁となってくれる重要な営みであるはず。そんな問題意識から、人文/社会科学領域の研究者を支援するアカデミック・インキュベーター・プログラム「デサイロ(De-Silo)」は立ち上がりました。
本セッションでは、アカデミアの窮状を打破するため、社会と再接続するための方法を議論します。アカデミアの知を活かしたニュース解説メディアを運営する石田健さん、データサイエンスや社会科学をバックグラウンドに幅広く社会提言や事業創造に取り組む成田悠輔さん、視覚身体言語の研究と「インタープリター」としての実践を行き来し、デサイロにも研究者として参画する和田夏実さん、そして長きにわたりアカデミアと産業界の振興に尽力してきた社会起業家/フィランソロピストであり、デサイロ理事の久能祐子……既存の枠組みにとらわれずアカデミアの未来を切り拓く4名が集い、アカデミアの現在地、そして「再起動」する方法を考えます。
■ 登壇者
石田健(いしだ・けん)
The HEADLINE編集長。ニュース解説の The HEADLINE で編集長を務める他、TV や雑誌、YouTube などに多数出演。日テレ系『スッキリ』月曜日コメンテーター、『ABEMAヒルズ』月次コメンテーター。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程(政治学)修了後、2015年に創業した会社を東証プライム上場企業に売却して、現職。関心領域は政治思想、東アジアの近代史、テクノロジー時代の倫理と政治。
久能祐子(くのう・さちこ)
社会起業家、フィランソロピスト。京都大学工学部で1000人中6人の女子学生の一人として学部、修士、博士課程を修了。1982年に京都大学工学博士を取得する。在学中にミュンヘン工科大学の研究員として1年間の留学を果たす。専攻した生化学、生物化学の分野で基礎研究者を目指すが、偶然出会った発見を基に新規医薬品の創成を目指すためキャリアチェンジを決断し、以後、バイオベンチャーの共同創業者兼CEO等として、日米で研究開発、会社経営を経験する。これらの事業を通して、1994年に世界初のプロストン系緑内障治療薬を商品化に成功。その後、2006年には慢性特発性便秘症及び過敏性腸症候群治療薬-世界初のクロライドチャネルオープナーの商品化にも成功した。これら二つの医薬品は世界中で1兆円を超える大ヒット商品となった。2012年には、新型ワクチン開発を目指すVLPセラピューティクスを、2014年には、滞在型社会起業家インキュベーターHalcyon(ワシントンDC)を、2017年には、滞在型企業内起業家支援インキュベーター、フェニクシー(京都)を共同創業した。現在は、ワシントンDCで社会起業家、フィランソロピストとして活動している。京都大学理事(2022年9月30日まで)のほか、ジョンズホプキンス大学医学領域評議員、ヘンリー・L・スティムソンセンター理事、お茶の水女子大学、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の評議。
成田悠輔(なりた・ゆうすけ)
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想株式会社代表。専門は、データ・アルゴリズム・ポエムを使ったビジネスと公共政策の想像とデザイン。ウェブビジネスから教育・医療政策まで幅広い社会課題解決に取り組み、企業や自治体と共同研究・事業を行う。混沌とした表現スタイルを求めて、報道・討論・バラエティ・お笑いなど多様なテレビ・YouTube番組の企画や出演にも関わる。東京大学卒業(最優等卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。内閣総理大臣賞・オープンイノベーション大賞・MITテクノロジーレビューInnovators under 35 Japan・KDDI FoundationAward貢献賞など受賞。著書に『22世紀の民主主義:選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』など。
和田夏実(わだ・なつみ)
ろう者の両親のもとで手話を第一言語として育ち、大学進学時にあらためて手で表現することの可能性に惹かれる。視覚身体言語の研究、様々な身体性の方々との協働からことばと感覚の翻訳方法を探るゲームやプロジェクトを展開。東京大学大学院 先端表現情報学 博士課程在籍。同大学 総合文化研究科 研究員。
Session 02「高橋祥子×濱田太陽|『DeSci(分散型サイエンス)』がひらく世界──窮乏する研究資金、調達のための次の一手」
人文/社会科学領域の研究をエンパワーしていくにあたり、重要な論点の一つが「資金調達」です。短期的な実益に結びつきづらい領域の研究資金を確保するための最適解は、未だ見つかっていないのが現状でしょう。
そんな中で一つの道標となる可能性があるのが、新たな研究資金の調達手段として昨今注目が集まっている「DeSci(Decentralized Science:分散型サイエンス)」です。
インターネットの登場以降、サイエンスの民主化活動である「オープンサイエンス」の基盤は確実に進歩してきました。世界中どこでも情報のやりとりができるようになったことで論文へのアクセスは容易になり、共同研究のハードルも下がりました。しかし、査読や出版には多額のコストがかかり、研究を完全にオープンにできないのも実情です。そんな中DeSciは、ブロックチェーン技術による分散的な意思決定やインセンティブの再設計によって、「オープンサイエンス」が抱える問題を解決するとして期待されていています。
本セッションでは、DeSciの可能性について研究・実践を重ねている神経科学者の濱田太陽さん、研究室発ベンチャーの経営者として研究と社会の接続を模索するジーンクエスト代表の高橋祥子さんをゲストに招待。DeSciの現在地と、その人文/社会科学領域への応用方法を議論しながら、研究者から市民にまでひらかれたアカデミアの可能性を探ります。
■ 登壇者
高橋祥子(たかはし・しょうこ)
1988年生まれ、大阪府出身。2010年京都大学農学部卒業。2013年6月東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程在籍中に、遺伝子解析の研究を推進し、正しい活用を広めることを目指す株式会社ジーンクエスト(https://genequest.jp/)を起業。2015年3月、博士課程修了。2018年4月、株式会社ユーグレナ執行役員バイオインフォマティクス事業担当に就任。2021年7月より東北大学特任教授(客員)就任。
生活習慣病など疾患のリスクや体質の特徴など300項目以上におよぶ遺伝子を調べ、病気や形質に関係する遺伝子をチェックできるベンチャービジネスを展開。受賞歴に東京大学大学院農学生命科学研究科長賞、テクノロジー&ビジネスプランコンテスト優秀賞、リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー、経済産業省「第二回日本ベンチャー大賞」経済産業大臣賞(女性起業家賞)、「日本バイオベンチャー大賞」日本ベンチャー学会賞など。その他「科学技術への顕著な貢献2015(ナイスステップな研究者)」に選定、世界経済フォーラム「ヤング・グローバル・リーダーズ2018」、Newsweek「世界が尊敬する日本人100」に選出など。著書に「ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか?」。
濱田太陽(はまだ・ひろあき)
神経科学者(博士)。シニアリサーチャー(株式会社アラヤ)。沖縄科学技術大学院大学(OIST)科学技術研究科博士課程修了。2022年より、Moonshot R&Dプログラム (目標9)「逆境の中でも前向きに生きられる社会の実現」(山田PMグループ)のPrincipal Investigatorとして前向き状態に関するモデル化に従事している。研究テーマは好奇心の神経計算メカニズムの解明や大規模神経活動の原理解明。教育やサイエンスの新たな可能性を模索している中で、分散型サイエンスに注目している。
■モデレーター
岡田弘太郎(おかだ・こうたろう)
デサイロ(De-Silo)代表。編集者。1994年東京生まれ。2018年より『WIRED』日本版の編集者として、雑誌やWeb連載における編集、カンファレンスやイベントの企画・モデレーター、Sci-Fiプロトタイピング事業におけるプログラム開発・ファシリテーターなどを担当。『WIRED』日本版にて、多分野の研究者や科学者とイベントやシンポジウムの企画、情報発信のサポートをするなかで、人文/社会学領域の研究の意義に触れる。19年よりクリエイティブ集団「PARTY」パートナー。「GRAZE GATHERING」編集統括。スタートアップを中心とした複数の企業の編集パートナーを務める。慶應義塾大学にてサービスデザインを専攻。
■ 日時
10月22日(土) 10:00〜12:00
※Zoomウェビナーにて生配信
■ タイムスケジュール
10:00〜:デサイロについてのプレゼンテーション
10:10〜:Session 01「アカデミアの『再起動』のために。社会との接続のあり方を考える」
11:10〜:Session 02「『De-Sci』(分散型サイエンス)』がひらく世界──窮乏する研究資金、調達のための次の一手」
12:00:イベント終了
■ 参加費
無料
■ 参加方法
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■ ご注意事項
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