【2025年12月刊】急逝の社会学者の遺稿集、感覚史入門、アルゴリズミックな親密性……デサイロが注目したい人文・社会科学の新刊14冊
一般社団法人デサイロ(De-Silo)は、『研究“知”とともに、次なる社会を構想する』を理念に、人文・社会科学分野の研究者とともに次なる社会を形づくる思想やアイデアを生み出すシンクタンクです。
2025年12月に刊行の人文・社会科学領域の新刊書の中から、デサイロとして注目したい14冊をピックアップしました。
気になるタイトルがあれば、読書リストにぜひ加えてみてください。
1.アルゴリズミックな親密性
AI時代の恋愛・友情・カウンセリング
概要(版元ウェブサイトより引用)
AI技術の進展は人間の親密性をどう変えるのか。出会い系アプリやチャットボットを通じ、恋愛・友情・感情がアルゴリズムにより再構成される過程を描く。デジタル時代における人間関係の構造的変化を捉えることで、AIと人間性の関係に新たな理論的地平を提示する。
著者
アンソニー・エリオット(著)
英国ケンブリッジ大学大学院にて社会学博士号を取得。現在、南オーストラリア大学社会学教授、同大学国際部部長(Dean of External Engagement)、同大学ホーク・ジャンモネEU研究センター(Hawke EU Jean Monnet Centre of Excellence)所長。専門は社会学。
発売日
2025/12/6
版元
明石書店
2.沖縄社会論
周縁と暴力
概要(版元ウェブサイトより引用)
暴走族のパシリにはじまり、沖縄で調査を続けた。
『ヤンキーと地元』を書いた伝説のフィールドワーカーによる遺稿集。
2024年12月9日に急逝した、社会学者・打越正行さんの遺稿集を一周忌に合わせて刊行。
『ヤンキーと地元』(2019年3月刊、2024年11月ちくま文庫化)で打越さんは、沖縄の暴走族の「しーじゃ・うっとう(先輩・後輩)」関係などをもとに、建設業で生きるリスク層の生活を描かれました。地元の人間でも調査できない領域にパシリとして入っていった著者の本は、ナイチャーの書いたものとして驚きをもって迎えられ、第六回沖縄書店大賞沖縄部門大賞を受賞するなど高い評価を得ました。
本書は打越さんの遺した、パシリ論、沖縄社会論、暴力論の3部からなり、石岡丈昇、上原健太郎、上間陽子、岸政彦各氏の解説を付す。
著者
打越正行(著)
1979年生まれ。社会学者。首都大学東京人文科学研究科にて博士号(社会学)を取得。和光大学現代人間学部専任講師、特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員などを歴任。広島と沖縄で、暴走族・ヤンキーの若者を対象とした参与観察調査をつづけた。単著に『ヤンキーと地元――解体屋、風俗経営者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』(筑摩書房、2019年、第6回沖縄書店大賞)、共著として『最強の社会調査入門』(ナカニシヤ出版、2016年)、『地元を生きる―沖縄的共同性の社会学』(ナカニシヤ出版、2020年)、『〈生活-文脈〉理解のすすめ――他者と生きる日常生活に向けて』(北大路書房、2024年)など。2024年12月9日、逝去。
発売日
2025/12/8
版元
筑摩書房
3.中国TikTok民俗学
スマホからはじまる珍神探訪
概要(版元ウェブサイトより引用)
戦争での殺人はなぜ許されるのか。そして正しい戦争はありうるのか。自衛や人道的介入から、テロリズム、ドローン、戦後処理等の最新の論点まで網羅し、正戦論と戦時国際法を問い直す複雑な議論を豊富な事例とともに分かりやすく解説。平和的解決か、それとも戦いへの備えか。答えを出す前に、まずは手にとるべき戦争倫理の入門書。
著者
大谷亨(著)
民俗学者。1989年、北海道生まれ。2012年、中央大学文学部卒業。2022年、東北大学大学院国際文化研究科修了。博士(学術)。現在、厦門大学外文学院助理教授、無常党副書記。専攻は中国民俗学。著書に、『中国の死神』(青弓社、2023年)。
発売日
2025/12/10
版元
NHK出版
4.感覚史入門 なぜプラスチックを「清潔」に感じるのか
概要(版元ウェブサイトより引用)
におい、音、手ざわり、そして電子機器の画面の明るさまで──。資本主義と技術は五感を商品にし、日常の体験そのものを設計してきた。都市空間とデパートがもたらした新しい消費行動の感覚、ガラス、プラスチック、セロハンなどの新素材による衛生観の更新、パック旅行やテーマパーク、「パノラマ」やVRまで、身近な事例で百年超の軌跡をたどる、新しい学問分野「感覚史」の入門書。われわれが当然だと思っている「感じ方」は、いつ、だれによって作り替えられてきたのか。世界の見え方、聞こえ方をアップデートする、現代をとらえ直す一冊。
著者
久野愛(著)
歴史学者。東京大学教養学部卒業。デラウエア大学大学院歴史学研究科修了(Ph.D.、歴史学)。専門は感覚史、技術史、経営史。ハーバードビジネススクール・ニューコメンポストドクトラルフェロー、京都大学大学院経済学研究科講師を経て、現在東京大学大学院情報学環准教授、東京大学卓越研究員。著書に Visualizing Taste: How BusinessChanged the Look of What You Eat(Harvard UniversityPress)、『視覚化する味覚──食を彩る資本主義』(岩波新書)など。
発売日
2025/12/17
版元
平凡社新書
5.好みで満ちてゆく社会
聴く・遊ぶ・愛でる・移動する文化の社会学
概要(版元ウェブサイトより引用)
現代社会の「文化」は、高尚・教養といった規範的な意味合いから、個人の選択的なものへと変化した。ロックやJポップを「聴き」、格闘ゲームやRPGをプレイして「遊び」、アニメやカリスマホストのキャラクターを「愛で」、携帯を操作しショッピングモールを「移動する」─昭和から令和までの文化的な生活とその変容を描きだす。
著者
木島由晶(著)
1975年兵庫県生まれ。2006年大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。現在:桃山学院大学社会学部社会学科教授。分担執筆:「ショート動画で音楽を聴く若者はどう再帰的か──消費の液状化と美的再帰性をめぐって」(辻泉・浅野智彦編『リフレクシブ・ライブズ──青少年研究会調査にみる「曲がり角」の時代の若者たち』勁草書房,2025年),「趣味は自己の安定性に影響を与えるか──自己の安定性・不確かさと好きな音楽ジャンルの関係を探る」(小川豊武・妹尾麻美・木村絵里子・牧野智和編『「最近の大学生」の社会学──2020年代学生文化としての再帰的ライフスタイル』ナカニシヤ出版,2024年)主論文:“Cultural omnivorousness of young people in Japan, South Korea , and the United. States──using latent class analysis”, Japanese Journal of Sociology,34(1): 6-23.
発売日
2025/12/17
版元
勁草書房
6.エスニック・マイノリティの社会学
どのような「多文化共生」社会をめざすのか
概要(版元ウェブサイトより引用)
いま,日本は外国人をどのように受け入れ,どのような「多文化共生」社会をめざすのかが問われている。本書は,在日朝鮮人や外国人労働者,移民・難民等の生活課題を描き出し,受入れ政策に通底する日本の課題を社会学の視点で明らかにする,画期的な入門テキスト。
著者
山本かほり (愛知県立大学教授)(編)
李洪章 (神戸学院大学准教授)(編)
松宮朝 (愛知県立大学教授)(編)
発売日
2025/12/17
版元
有斐閣
7.多様性とどう向き合うか
違和感から考える
概要(版元ウェブサイトより引用)
多様性は大事だ。一方で、多様性を推奨する言説や態度にどこか違和感を覚えてしまう人も多い。多様性はむずかしく、面倒くさい? 多様性はきれいごとで逆差別? いま私たちに必要なのは、様々な違和感を起点にしながら、しかしその違和感に開き直ってしまうことなく、現実を直視して問い続けること。そのためのレッスン。
著者
岩渕功一(著)
早稲田大学法学部卒,ウェスタン・シドニー大学(オーストラリア)で博士号( Ph D.メディア・文化研究)を取得.その後,国際基督教大学助教授,早稲田大学国際学術院教授,メルボルンのモナシュ大学アジア研究所長などを歴任.
現在―シドニー工科大学名誉客員教授(Adjunct Professor)
著書―『トランスナショナル・ジャパン――ポピュラー文化がアジアをひらく』(岩波現代文庫),Recentering Globalization(Duke University Press),『文化の対話力――ソフト・パワーとブランド・ナショナリズムを越えて』(日本経済新聞出版社),Resilient Borders and Cultural Diversity(Lexington Books),『多様性との対話――ダイバーシティ推進が見えなくするもの』(編著,青弓社)など
発売日
2025/12/19
版元
岩波書店
8.巨大建築はどうつくる?日建設計をひもとく
概要(版元ウェブサイトより引用)
都市はスター建築家だけがつくっているわけではない。多くの建物は、ゼネコン、組織設計が建てている。日建設計は世界でも最大規模の組織設計事務所であり、東京・渋谷や大阪・梅田の再開発、東京スカイツリー、中野サンプラザなど、誰もが知る巨大プロジェクトを数多く手がけてきた。
1000人を超える建築家が所属する日建設計には巨大組織ならではの強みと弱みがある。語られることのなかった「集団で設計する組織の全貌」を気鋭の建築家・建築史家が解き明かす!
著者
五十嵐太郎(著)
1967年、パリ生まれ。建築史・建築批評家。1990年、東京大学工学部建築学科卒業。1992年、東京大学大学院修士課程修了。博士(工学)。現在、東北大学大学院教授。せんだいスクール・オブ・デザイン教員を兼任。あいちトリエンナーレ2013芸術監督。第11回ベネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示コミッショナーを務める。『現代日本建築家列伝』(河出書房新社)、『被災地を歩きながら考えたこと』(みすず書房)、『3.11/After』(監修・LIXIL出版)ほか著書多数。
発売日
2025/12/19
版元
南洋堂
9.日本人の幸せ
ウェルビーイングの国際比較
概要(版元ウェブサイトより引用)
国や地域別の幸福度ランキングが、しばしば注目を集める。だが、そもそも幸せの基準は文化によって異なる事実を文化心理学が実証した。一例として幸福感は、欧米では個人的な達成感、日本では対人関係と関連する。本書は国際比較を通し、日本社会における幸せの特徴を探る。また、個人の一時的な感情にとどまらず、地域コミュニティ、職場、学校などの現場における持続的な幸福(ウェルビーイング)についても考える。
著者
内田由紀子(著)
京都大学 こころの未来研究センター教授。専門は社会心理学・文化心理学。特に幸福感や対人理解、対人関係について研究。1998年京都大学教育学部教育心理学科卒業、2003年同大学院人間・環境学研究科博士課程修了。ミシガン大学、スタンフォード大学などの客員研究員を経て、08年こころの未来研究センターへ。19年より現職、スタンフォード大学行動科学先端研究センターフェロー。10〜13年内閣府の「幸福度に関する研究会」委員を務める。
発売日
2025/12/23
版元
中公新書
10.どうしてそうする「べき」といえるのか
規範性をめぐるメタ倫理学
概要(版元ウェブサイトより引用)
奇妙で重要な言い回しの正体
今日の夕飯は何を食べるべきか、目の前の他者を助けるべきか、どの職業を選ぶべきか――。
大小を問わず私たちは日々「べき」という指針に基づき無数の選択をしながら生きている。
「べき」という言葉によって表されているものは一体何か。
私たちの生を貫いている言葉の核をていねいに解きほぐす、気鋭による入門書。
著者
鴻浩介(著)
1986年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教務補佐員、千葉工業大学ほか非常勤講師。専門は分析哲学、特にメタ倫理学と行為論。主な論文に、「理由の内在主義と外在主義」(『科学哲学』第49巻2号)、「道徳の批判者アンスコム」(『思想』第1181号)など。訳書にリサ・ボルトロッティ『現代哲学のキーコンセプト 非合理性』(岩波書店)がある。
発売日
2025/12/25
版元
青土社
11.ポスト・ヒューマニティ時代の宗教
〈宗教概念批判〉以降の宗教と人間
概要(版元ウェブサイトより引用)
「宗教」という概念を批判的に捉え直す「宗教概念批判」の視点は、現代の思想状況の中でどのようにアップデートできるのか。多神教やポスト世俗、グノーシス主義、パレスチナなどの概念の再考と、フーコー、バトラー、レヴィナス等への考察を通して、現代の宗教や社会が抱える諸問題を論じ、宗教学・宗教哲学の可能性を提示する。
著者
古荘匡義(著)
1980年生まれ。龍谷大学社会学部准教授。京都大学大学院文学研究科思想文化学専攻宗教学専修修了。博士(文学)。専門は宗教哲学、日本宗教思想。著書に『綱島梁川の宗教哲学と実践』(法藏館、2022年)他。翻刻として、「姉崎正治フランス関係資料紹介――ポール・クローデル、シルヴァン・レヴィ、マルセル・モースらからの書簡――」(伊達聖伸、アレクシ・カブリエ、田中浩喜との共著、『東京大学宗教学年報』41号、2024年)他。
発売日
2025/12/25
版元
勁草書房
12.芸術をカテゴライズすることについて
批評とジャンルの哲学
概要(版元ウェブサイトより引用)
批評は創造的な社会実践だ!
絵画や音楽や映画をどう“ジャンル分け”するか? 分析美学の観点から批評という実践を再考し、単なる分類ではないカテゴライズのダイナミクスを解明する
芸術作品をどう理解し、評価するか、その鍵は「カテゴリー」にある。本書は、分析美学の観点から芸術批評という実践を再検討し、作品のカテゴライズが判断に与える影響について考察する。批評は単なる好き嫌いではなく、鑑賞のルールをめぐる社会的相互作用であり、制度的文脈を構成する創造的営みであることを明らかにする。「批評の哲学」を更新する意欲作。
著者
銭清弘(著)
1995年生まれ。2024年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。現在、日本学術振興会海外特別研究員としてブリティッシュコロンビア大学に滞在中。専門は、美学・芸術哲学。
著作に、”Genres as Rules,” Inquiry: An Interdisciplinary Journal of Philosophy(近刊)、”That’s Beyond My Imagination!” Contemporary Aesthetics, 22 (2024)など。
発売日
2025/12/25
版元
慶應義塾大学出版会
13.「キャンセル・カルチャー」パニック
パニックを生み出す言説空間
概要(版元ウェブサイトより引用)
とある大学教員、トランプ、プーチン、ローマ教皇——。
「キャンセル」をめぐる物語は、いまやアメリカからヨーロッパ、そして世界中のさまざまな不安と結びつきながら肥大化している。「キャンセル・カルチャー」批判は、「ポリティカル・コレクトネス」批判の再来でありながらも、アテンション・エコノミーの力を借りつつますます広く拡散されている。この集団的熱狂に火をくべているものは何か——巨大化したバズワードを解体する。
著者
アドリアン・ダウプ(著)
1980 年、ケルンで生まれる。アメリカのスワースモア大学卒業。ペンシルベニア大 学で博士号取得。現在は、スタンフォード大学で比較文学を教える。専門は 19 世紀のドイツ文学およびドイツの地域研究。ジェンダー問題を中心に社会的発信を行なっていることでも知られており、著書『シリコン・バレーは何を思考と呼ぶのか』(What Tech Calls Thinking, FSG Originals, 2020)は、ドイツ語をはじめ多くの言語に翻訳されて いる。
発売日
2025/12/26
版元
青土社
14.住む権利とマイノリティ
住まいの不平等を考える
概要(版元ウェブサイトより引用)
都市部でのマンション価格や家賃の高騰が報じられる一方、部屋を借りることが難しい人たちの存在が可視化され、住まいをめぐる格差の問題は近年ますます注目を集めている。2020年に新型コロナウイルス感染症が感染拡大した際には、ホームレスやネットカフェ難民の問題など、住まいの格差が顕在化した。
現在の日本では、住む権利/住まいの権利が全員に保障されているとはいいがたい。入居を断られる、シェルターに入れない、入ったとしても環境が悪く落ち着いて暮らせない。「住宅弱者」「住宅確保要配慮者」などの言葉が広まり、住宅を確保するための法整備が進んできているが、安定した住まいから排除され不安定な生活を余儀なくされる人たちも存在している。
本書は、DV被害者や外国籍者ほかマイノリティに焦点を当て、住まいをめぐる現況と課題を詳述する。さらに、ホームレス支援に取り組むNPOと、住まい探しの状況改善に取り組む企業が、それぞれの視点から改善策を提示する。最も身近な「住まい」の問題を多角的に捉え、住まいの権利をマイノリティの視点から照射する。
著者
青弓社編集部(編著)
執筆者:金井 聡/杉野衣代/大澤優真/志村敬親/岡部 茜/植野ルナ/永井悠大/龔軼群
発売日
2025/12/29
版元
青弓社
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