【12/10開催】「治療的思想」から自己啓発の “セラピー”性を読み解く──応用哲学研究者 藤井翔太【Academic Insights #8】
レクチャーシリーズ「Academic Insights」の最新回、参加受付中。第8回は、応用哲学研究者の藤井翔太さんが登壇。12/10(火)20時より、オンラインにて無料開催する。
人文・社会科学領域における「概念」や「アイデア」をよすがに、いま私たちが生きている時代や社会が直面する課題を読み解くレクチャーシリーズ「Academic Insights」。気鋭の人文・社会科学領域の研究者に、いまの時代を読み解くカギとなる「概念」や「アイデア」を提示していただき、来たるべき社会を構想するヒントを探究します。
第8回に登壇するのは、「治療的思想」という概念から、「自己啓発」の中に潜む“セラピー”性や政治性を明らかにしようとする、応用哲学研究者の藤井翔太さんです。
AI時代のサバイブ術、リスキリング、FIRE(アーリー・リタイア)……こうした多種多様な自己啓発書が書店に平積みされる光景を目にしたことがある方も少なくないでしょう。
こうした自己啓発の浸透は、現代のいかなる社会的風潮を表しているのでしょうか?
現代における自己啓発の考え方が私たちの人間性への捉え方をいかに変えるのかを考える際に、手がかりとなるのが「治療的思想」という概念です。
12/7に本ニュースレターで配信予定の寄稿記事では、藤井さんは「治療的思想」の例として「ミニマリズム」を挙げながら、こう論じてくれました(強調:編集部)。
近年主流の自己啓発書は、現実的かつ具体的なビジネススキルや金融知識などを伝授するものが多い。一方で、古くからよくあるタイプの自己啓発書は、コミュニケーション能力やストレスに対処するための心の持ちようを心理学者が指南する類のものが少なくなかった。これらはどちらも、読者が抱えている漠然とした不安の解消を目的とした、合理的・科学的装いをまとった問題解決法の提供をうたっている点において、通俗的書籍として同じカテゴリーに属するものだと言えるだろう。
件の書籍群に通底しているのは、〈治療的思想〉とでもいうべき発想ではないか、というのが私の見立てである。そして、この思想は、自己啓発書の多くにとってインスピレーション源となっている哲学・思想の歴史においても、反復して見られる一種の類型だと考えられる。
本稿では、その〈治療的思想〉という発想の由来を簡単に紹介した上で、それが纏いうるイデオロギー性を指摘し、さらにその現代的な発露の一例として、ライフスタイルとしてのミニマリズムについて考察していく。
そもそも「治療的思想」とは何なのか? 「治療的思想」というレンズから見えてくる未来像とは? ──この概念の現代的意義や可能性について、本イベントでは藤井さんより直接レクチャーいただきます。
これまで光を当てられてこなかった、自己啓発の“セラピー”性という考え方や、今後の「治療的思想」の異なるあり方について、これから議論を深めていくためのレンズを共有していくような時間にできればと思っております。ぜひふるってご参加ください。
■イベント日時
2024年12月10日(火) 20:00〜21:30@Zoomウェビナー
■イベント参加申し込み(無料)
以下のGoogleフォームより、必要事項を記入のうえ、参加申込をお願いいたします。
▶▶▶12/10 Academic Insightsの参加申込はこちら
※イベント参加にはニュースレターへの登録が必須となります※
※配信リンクに関しては、お申込みフォームに記入いただいたメールアドレスに、後日お送りいたします※
■イベント内容
20:00-20:05:イントロダクション
20:05-20:35:藤井さんによる「治療的思想」概念のレクチャー
20:35-21:20:ディスカッション(モデレーターによる深堀り、参加者の皆様からの質疑応答)
21:20-21:30:クロージング
■登壇者プロフィール
藤井翔太(ふじい・しょうた)
1987年生まれ。関心領域は応用哲学・教育哲学。北海道大学文学部哲学・文化学コース卒業、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、テンプル大学大学院教育学研究科修士課程修了。現在、都留文科大学専任講師/テンプル大学ジャパンキャンパス特任講師。訳書にナンシー・スタンリック『アメリカ哲学入門』(勁草書房、2023年)、ドナルド・ロバートソン『認知行動療法の哲学:ストア派と哲学的治療の系譜』(共監訳、金剛出版、2022年)、共著に『徳の教育と哲学―理論から実践、そして応用まで』(東洋館出版社、2023年)等がある。
■モデレータープロフィール
小池真幸(こいけ・まさき)
De-Silo 編集統括。編集者。人文・デザイン・暮らしといった領域を中心に、研究者やクリエイターと協働しながら、ウェブメディアから紙媒体まで幅広くメディアづくりやコンテンツ制作に携わっています。最近の活動場所:PLANETS、designing、DIG THE TEA、MIMIGURIなど。
■主催:一般社団法人デサイロ
一般社団法人デサイロ(De-Silo)は、人文・社会科学分野の研究者を伴走支援し、社会との多様な接点をつくるアカデミックインキュベーターです。「いま私たちはどんな時代を生きているのか」を研究者とともに探り、そのなかで立ち現れるアイデアや概念を頼りに、来るべき社会の探索と構想を目指します。
団体の概要や活動の詳細は以下ページをご参照ください。