【11/26開催】技術開発に潜むバイアスを排除するために。「ジェンダード・イノベーション」から考える──科学技術論研究者 渡部麻衣子【Academic Insights #7】
レクチャーシリーズ「Academic Insights」の最新回が参加申込スタート。第7回は、科学技術論研究者の渡部麻衣子さんが登壇。11/26(火)20時より、オンラインにて無料開催する。
人文・社会科学領域における「概念」や「アイデア」をよすがに、気鋭の研究者とともに、いま私たちが生きている時代あるいは社会がこれから直面する課題を読み解いていくレクチャーシリーズ「Academic Insights」。気鋭の人文・社会科学領域の研究者に、いまの時代を読み解くカギとなる「概念」や「アイデア」を提示していただき、来たるべき社会の探索と構想のヒントを探究します。
第7回に登壇するのは、ジェンダーをめぐる認識の歪みを排除するための戦略として、近年注目を集めている概念「ジェンダード・イノベーション」の研究に取り組んでいる、科学技術論研究者の渡部麻衣子さんです。
車を運転中に事故を引き起こすあるいは事故に遭う割合は男性の方が高いにもかかわらず、運転中の事故で怪我を負う割合そしてそれが重症である割合は、女性の方が男性よりも高いことをご存知でしょうか?
男女のステレオタイプに陥ることなく性差を知的創造と技術革新に組み込んでいくことで、新たな開発や発見を実現するという概念であるジェンダード・イノベーションは、こうした状況を是正しうる可能性があります。
11/19に本ニュースレターで配信予定の寄稿記事では、渡部さんは「ジェンダード・イノベーション」についてこう論じてくれました(強調:編集部)。
(前略)女性の被る不利益は、大抵、「我慢」を美徳とする規範によって覆い隠されるか、女性の能力の低さという偏見に基づく理由付けで説明され、研究開発や設計の段階にある問題は見過ごされてきた。
ジェンダード・イノベーションはそうした、研究開発や設計の段階に生じるジェンダーの不均衡を体系的に是正することを目指す取り組みである。
ジェンダード・イノベーションは、研究開発や設計のプロセスの中で、既存の規範や認知の傾向のために歪みがちな私たちの視座を是正し、そのことによって、人間を「主流とそれ以外」としてではなく、「多様な存在」として認識することを可能にする。つまり、ジェンダード・イノベーションは、社会における「人間への視座」を革新(イノベート)するための契機の一つなのである。
そもそも「ジェンダード・イノベーション」とは何なのか? 「ジェンダード・イノベーション」というレンズから見えてくる未来像とは? ──この概念の現代的意義や可能性について、本イベントでは渡部さんより直接レクチャーいただきます。
「技術開発におけるジェンダーの不均衡」という論点について、これから議論を深めていくためのレンズを共有していくような時間にできればと思っておりますので、ぜひふるってご参加ください。
■イベント日時
2024年11月26日(火) 20:00〜21:30@Zoomウェビナー
■イベント参加申し込み(無料)
以下のGoogleフォームより、必要事項を記入のうえ、参加申込をお願いいたします。
▶▶▶11/26 Academic Insightsの参加申込はこちら
※イベント参加にはニュースレターへの登録が必須となります※
※配信リンクに関しては、お申込みフォームに記入いただいたメールアドレスに、後日お送りいたします※
■イベント内容
20:00-20:05:イントロダクション
20:05-20:35:渡部さんによる「ジェンダード・イノベーション」概念のレクチャー
20:35-21:20:ディスカッション(モデレーターによる深堀り、参加者の皆様からの質疑応答)
21:20-21:30:クロージング
■登壇者プロフィール
渡部麻衣子(わたなべ・まいこ)
京都出身。国際基督教大学卒。2002年より英国Warwick大学社会学部博士課程にて、社会認識論者のSteve W. Fullerに師事。2005年に帰国し、NPO法人市民科学研究室、公益財団法人共用品推進機構に勤めた後、北里大学、東京大学に勤務。20011年に日本学術振興会PDに採択され、2014年より東京大学教養学部特任助教講師に着任。20016年より家族の留学に帯同し、ハーバード大学科学史研究科に研究留学。Sarah S. Richardsonの『性そのもの』を翻訳。2019年に自治医科大学専任講師。2023年から再び家族の赴任に帯同し、現在ウプサラ大学ジェンダー研究所に研究留学中。
■モデレータープロフィール
小池真幸(こいけ・まさき)
De-Silo 編集統括。編集者。人文・デザイン・暮らしといった領域を中心に、研究者やクリエイターと協働しながら、ウェブメディアから紙媒体まで幅広くメディアづくりやコンテンツ制作に携わっています。最近の活動場所:PLANETS、designing、DIG THE TEA、MIMIGURIなど。
■主催:一般社団法人デサイロ
一般社団法人デサイロ(De-Silo)は、人文・社会科学分野の研究者を伴走支援し、社会との多様な接点をつくるアカデミックインキュベーターです。「いま私たちはどんな時代を生きているのか」を研究者とともに探り、そのなかで立ち現れるアイデアや概念を頼りに、来るべき社会の探索と構想を目指します。
団体の概要や活動の詳細は以下ページをご参照ください。