【11/12開催】ニューロテックは自由意志を脅かすか?「認知過程の自由」から考える──神経法学研究者 小久保智淳【Academic Insights #6】
レクチャーシリーズ「Academic Insights」の最新回が参加申込スタート。第6回は、神経法学研究者の小久保智淳さんが登壇。11/12(火)20時より、オンラインにて無料開催する。
人文・社会科学領域における「概念」や「アイデア」をよすがに、気鋭の研究者とともに、いま私たちが生きている時代あるいは社会がこれから直面する課題を読み解いていくレクチャーシリーズ「Academic Insights」。気鋭の人文・社会科学領域の研究者に、いまの時代を読み解くカギとなる「概念」や「アイデア」を提示していただき、来たるべき社会の探索と構想のヒントを探究します。
第6回に登壇するのは、「神経法学(neurolaw)」の領域、とりわけ「認知過程の自由」という概念から昨今の技術発展などを検討することに取り組んでいる、神経法学研究者の小久保智淳さんです。
2010年代以降、神経科学技術の研究が進んだことで、それらを適切に統制できる法理論の構築が課題になりました。UNESCOや国連人権理事会、OECDなどでの議論や、各国での神経科学技術に注目した法改正や新法制定の加速は、その象徴的な事例だと言えるでしょう。
他方で、神経科学の知見や神経科学技術は、近代社会が前提としてきた「自由意志」「個人」「自律」「人格」といった概念に重大な影響を及ぼす可能性があります。
そんな中で、神経科学の知の発展が私たちの人間性への捉え方をいかに変えるのかを考える際に手がかりとなるのが、「認知過程の自由」という概念です。
11/7に本ニュースレターで配信予定の寄稿記事では、小久保さんは「認知過程の自由」についてこう論じてくれました(強調:編集部)。
MetaやAppleといったジャイアントテックから、イーロンマスク率いるNeuralinkのようなバイオベンチャーまで、様々なテック・カンパニーが神経科学技術の実用化を目指していることに鑑みれば、まさに今日における情報技術やSNSのように、気づいた時には私たちの日常生活に不可欠なものとして、広く・深く浸透している事態も、あながちあり得ないことではない。
そうであるとすれば、事実上の不可侵性を失ってしまった私たちの内心という領域に、規範的に(ルールとして)不可侵とすべき領域を設定することは、法学に課された喫緊の作業と言えるだろう。
このような国際的な議論動向を支える理論的な背景には、神経法学において主張されてきた神経権(neurorights)と認知過程の自由(cognitive liberty)という2つの新しい権利・自由概念が存在する。
筆者は、このうち、認知過程の自由に着目し、その研究を深めてきた。本稿では、今なぜ認知過程の自由を論ずる必要があるのか、その先にどのような展望を描くのかについて、技術的な背景も含めながら論じることにしたい。
そもそも「認知過程の自由」とは何なのか? 「認知過程の自由」というレンズから見えてくる未来像とは? ──この概念の現代的意義や可能性について、本イベントでは小久保さんより直接レクチャーいただきます。
これまで光を当てられてこなかった、「神経科学領域の知の発展が、私たちの人間性への捉え方をいかに変えるのか?」という点について、これから議論を深めていくためのレンズを共有していくような時間にできればと思っておりますので、ぜひふるってご参加ください。
■イベント日時
2024年11月12日(火) 20:00〜21:30@Zoomウェビナー
■イベント参加申し込み(無料)
以下のGoogleフォームより、必要事項を記入のうえ、参加申込をお願いいたします。
▶▶▶11/12 Academic Insightsの参加申込はこちら
※イベント参加にはニュースレターへの登録が必須となります※
※配信リンクに関しては、お申込みフォームに記入いただいたメールアドレスに、後日お送りいたします※
■イベント内容
20:00-20:05:イントロダクション
20:05-20:35:小久保さんによる「認知過程の自由」概念のレクチャー
20:35-21:20:ディスカッション(モデレーターによる深堀り、参加者の皆様からの質疑応答)
21:20-21:30:クロージング
■登壇者プロフィール
小久保智淳(こくぼ・まさとし)
東京大学大学院情報学環 助教。1995年、東京都生まれ。
慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修及び同理工学研究科修士課程修了後、同法学研究科博士課程単位取得退学。職歴に、慶應義塾大学博士課程教育リーディングプログラム(オールラウンド型)RA、慶應義塾大学KGRI所員、慶應義塾大学大学院法学研究科研究員、国立国会図書館調査及び立法考査局憲法課 非常勤調査員、新潟大学、横浜国立大学非常勤講師など。2022年度科学技術社会論・柿内賢信記念奨励賞、第13回日本学術振興会育志賞を受賞。神経科学と法学の融合領域である神経法学、特に「認知過程の自由」を重点領域として研究を行う。
■モデレータープロフィール
小池真幸(こいけ・まさき)
De-Silo 編集統括。編集者。人文・デザイン・暮らしといった領域を中心に、研究者やクリエイターと協働しながら、ウェブメディアから紙媒体まで幅広くメディアづくりやコンテンツ制作に携わっています。最近の活動場所:PLANETS、designing、DIG THE TEA、MIMIGURIなど。
■主催:一般社団法人デサイロ
一般社団法人デサイロ(De-Silo)は、人文・社会科学分野の研究者を伴走支援し、社会との多様な接点をつくるアカデミックインキュベーターです。「いま私たちはどんな時代を生きているのか」を研究者とともに探り、そのなかで立ち現れるアイデアや概念を頼りに、来るべき社会の探索と構想を目指します。
団体の概要や活動の詳細は以下ページをご参照ください。