【10/15開催】人新世時代に「代謝の撹乱」を“牡蠣”から考える──文化人類学者 吉田真理子【Academic Insights #4】
レクチャーシリーズ「Academic Insights」の最新回が参加申込スタート。第4回は、文化人類学者の吉田真理子さんが登壇。10/15(火)20時より、オンラインにて無料開催する。
人文・社会科学領域における「概念」や「アイデア」をよすがに、気鋭の研究者とともに、いま私たちが生きている時代あるいは社会がこれから直面する課題を読み解いていくレクチャーシリーズ「Academic Insights」。気鋭の人文・社会科学領域の研究者に、いまの時代を読み解くカギとなる「概念」や「アイデア」を提示していただき、来たるべき社会の探索と構想のヒントを探究します。
第4回に登壇するのは、海洋酸性化や高水温による生態系への影響、食消費の変化、水産養殖におけるバイオテクノロジー利用など、人新世(資本新世)と呼ばれる時代で連関する生の不安定性にかかわる研究に取り組んでいる、文化人類学者の吉田真理子さんです。
あらゆる領域で“人間中心”なあり方を省みる議論が沸き起こっている昨今、人類学においてもマルチスピーシーズ人類学が勃興しています。「人間外」のものたちとの“共生”をいっそう強い前提とする必要のある現代、わたしたちはいかなる「生」のあり方を紡いでゆけばよいのでしょうか?
この問いについて考えるうえで示唆を与えてくれるのが、吉田さんが“牡蠣”のサプライチェーンなどを題材に議論を練り上げている「代謝の撹乱」という概念です。
この概念にフォーカスして行われる本イベントに関して、吉田さんは下記のようにコメントを寄せてくれました。
人新世(文化人類学の視点でよりクリティカルに言うならば「資本」新世)の時代に空間を越え連なりあい、不均衡に拡がり、商品や社会関係の価値づけに関わる不確実性・不安定性とは何でしょうか。
本レクチャーでは、水産養殖の各局面でさまざまなスケールで立ち現れている物質代謝の撹乱−海洋酸性化・高水温・病害など−を、牡蠣と人間の関係性から考えます。
海洋変化に対処するマガキ生産者・通年流通を図る市場関係者・牡蠣の斃死を分析する海洋生態学者・育種技術に取り組むバイオテクノロジー企業・周縁化される先住民や人種化される異種・ウイルス……人間と非人間の相互関係にもとづいたマガキの商品流通網に焦点をあて、それらを取りまく代謝の撹乱を、近代以降の複数の時間を横断しながら読み解きます。
これらの実践を通じて再文脈化される〈自然〉とは何か考えたいと思います。
そもそも「代謝の撹乱」とは何なのか? 「代謝の撹乱」というレンズから見えてくる現代の展望とは? ──「代謝の撹乱」という概念、そしてその現代的意義や可能性について、本イベントでは、吉田さんより直接レクチャーいただきます。
「人新世」と呼ばれる時代の生のあり方ついて、これから議論を深めていくためのレンズを共有していくような時間にできればと思っておりますので、ぜひふるってご参加ください。
■イベント日時
2024年10月15日(火) 20:00〜21:30@Zoomウェビナー
■イベント参加申し込み(無料)
以下のGoogleフォームより、必要事項を記入のうえ、参加申込をお願いいたします。
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■イベント内容
20:00-20:05:イントロダクション
20:05-20:35:吉田さんによる「代謝の撹乱」概念のレクチャー
20:35-21:20:ディスカッション(モデレーターによる深堀り、参加者の皆様からの質疑応答)
21:20-21:30:クロージング
■登壇者プロフィール
吉田 真理子(よしだ・まりこ)
広島大学大学院人間社会科学研究科助教。専門は文化人類学(博士・オーストラリア国立大学)。研究の関心は、水産コモディティチェーン、気候変動(海洋変化)の知識生成、フェミニスト科学技術社会論。おもな論文に“Cultivating the Ocean: Reflections on Desolate Life and Oyster Restoration in Hiroshima” (In Nurturing Alternative Futures: Living with Diversity in a More-than-Human World, ed. Muhammad Kavesh and Natasha Fijn. London: Routledge)、“Scaling Precarity: The Material-Semiotic Practices of Ocean Acidification”(Japanese Review of Cultural Anthropology Vol. 21, No.1)、共編著に『新型コロナウイルス感染症と人類学――パンデミックとともに考える』(水声社)、『食う、食われる、食いあう マルチスピーシーズ民族誌の思考』(青土社)などがある。
■モデレータープロフィール
小池真幸(こいけ・まさき)
De-Silo 編集統括。編集者。人文・デザイン・暮らしといった領域を中心に、研究者やクリエイターと協働しながら、ウェブメディアから紙媒体まで幅広くメディアづくりやコンテンツ制作に携わっています。最近の活動場所:PLANETS、designing、DIG THE TEA、MIMIGURIなど。
■主催:一般社団法人デサイロ
一般社団法人デサイロ(De-Silo)は、人文・社会科学分野の研究者を伴走支援し、社会との多様な接点をつくるアカデミックインキュベーターです。「いま私たちはどんな時代を生きているのか」を研究者とともに探り、そのなかで立ち現れるアイデアや概念を頼りに、来るべき社会の探索と構想を目指します。
団体の概要や活動の詳細は以下ページをご参照ください。