「社会性」と「経済性」を両立するビジネスを生み出す、「システミックデザイン」の可能性──慶應義塾大学教授・武山政直
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)は、新たなるイノベーション創出手法「システミックデザイン」の研究および社会実装のための組織「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」の設立に向けて活動を開始しました。
本プロジェクトは、サービスデザイン/システミックデザインの第一人者であり、『システミックデザインの実践』の監訳も務めた慶應義塾大学経済学部・武山政直教授を中心に、一般社団法人デサイロが企画・運営面で協力。学術研究と社会実装を横断する研究・社会実装プラットフォームとして活動します。
活動開始にあたり、2025年12月10日(水)の14時より、イベント「『システミックデザイン』による新たなるビジネス機会の創出──『気候変動 × 都市』をテーマに考える」を開催します。イベントに先駆け、「システミックデザインの手法の概要や、今日のビジネスにおける重要性」について、武山先生にインタビューを実施しました。
武山政直(たけやま・まさなお)
慶應義塾大学経済学部教授/デザインストラテジスト。慶應義塾大学経済学部卒業。Ph.D.(カリフォルニア大学)。慶應義塾大学環境情報学部助手、東京都市大学准教授を経て、慶應義塾大学経済学部准教授(2003)、同教授就任(2008)。経済地理学、マーケティング論、行動科学を応用したサービスデザイン手法の研究や産学共同プロジェクトを推進中。Service Design Network 日本支部共同代表。ACTANT 共同創業者。
Interview & Edit by Kotaro Okada, Text by Daiki Nakatsuka
システムに働きかけ、好ましい未来へのシフトを促すイノベーション創出手法
──今回、慶應義塾大学では「システミックデザイン」の研究開発・社会実装に向けた活動が始まりました。武山先生がプロジェクト代表者に就任され、将来的には「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」の設立に向けて動いていきます。武山先生は『システミックデザインの実践』の監訳なども務められてきたと思うのですが、改めて、いまシステミックデザインへの注目が高まっている背景をお伺いできますか?
武山 システミックデザインは、社会や環境の問題、組織の課題などを、それを生み出す様々な要因やステークホルダーの関係性に注目して理解し、その関係性をシステムとして捉え、好ましい未来に向けてシフトさせる手法です。
社会の課題が複雑化し、その解決のために多様なステークホルダーとの共創が求められる現代において、人や環境に寄り添って具体的なソリューションを生み出す「デザイン思考」と、問題状況を包括的に把握する「システム思考※」の利点を融合させる手法として期待が寄せられています。
※システム思考:特定の事象だけに焦点を当てるのでなく、システムの全体的な構造や現象のパターンを含む広い視野から問題状況に対処する方法)
システミックデザインの手法には、「システムレベルでの変革を目指す」「複数の介入策を戦略的に構成するポートフォリオをつくり、多様なステークホルダーでの連携を促す」などの特徴があり、現在では北欧、イタリアやオランダなどの行政機関や公共機関をはじめ、ユニリーバ、フィリップスなどの企業での実践も始まっています。
──武山先生はもともと「サービスデザイン」を起点とした研究や産学連携に取り組まれてきたと思うのですが、そこからご関心が「システミックデザイン」へとシフトしたのはどのような背景からでしょうか?
武山 私がもともと研究してきた「サービスデザイン」は、特定の顧客やユーザーを中心に据え、商品やサービスが提供され、使用された後に廃棄されるまでの体験や、それを促す組織のプロセス全体を設計する考え方です。ステークホルダーの参加や対話を通じた共創も特徴です。ただ、社会が複雑化するにつれて特定のユーザーやプロバイダーの視点に軸足を置くサービスデザインだけでは不十分だと感じる場面が増えてきたんです。
例えば、ヘルスケアのサービスを考えた場合、包括医療の考え方のように、医療機関と患者という二者の関係性だけでなく、それを取り巻く患者の家族、生活地域の様々なケアの提供者、住宅や施設の供給者などのアクターが重なり合って、ひとつの「ヘルスケアのサービスのエコシステム」を形づくっていると捉えられるようになりました。
つまり、これまで提供者と利用者といった範囲の関係で見ていたものが、時代の変化に伴って、より視野を広げて、サービスやビジネスを成り立たせているさまざまな直接的・間接的なアクターとの関係性や、それを支える暗黙のルールや文化、環境といった「土台」がどうなっているのかまで見ていく必要が出てきたんです。
しかしサービスやプロダクトのデザインは、どうしても提供するモノや体験のほうに重点が置かれ、それを取り巻き、支えているシステムそのものを動かすことを意識するアプローチではありません。それに対して、「システミックデザイン」はシステムを変化させ、システムとして価値を生み出すことを強く意識しているため、より複雑で、社会が共有する課題に対処しやすくなります。このような背景からシステミックデザインに注目するようになりました。
『学習する組織 ― システム思考で未来を創造する』で知られる米国の経営学者ピーター・センゲは、「今日の問題の多くは、昨日のソリューションから生まれている」と表現していますが、これまでさまざまな製品やサービスのデザインが意図せず生み出してきた悪影響に対応するため、デザインの対象を組織や産業、国家や地球全体へと拡大して捉える必要があると考えています。
プロジェクトが関連領域のサービスや制度・慣習と整合するかどうか、また産業や国全体、グローバルなレベルでどう機能するのか。システミックデザインは、ミクロ、メゾ、マクロの視点で、自分たちのプロジェクトを理解して進めることで、大きな変化につながる可能性を生み出す手法です。
課題の構造を捉え、介入策を考えることが「ビジネス機会の創出」につながる
──ビジネスにおけるシステミックデザインの意義についても、もう少しお聞きしたいです。昨今、企業活動においても「社会性と経済性の両立」が重視されていますが、そのこと自体が「企業が負わなけれならない責任範囲が広がっている」という認識をもつケースもあると思います。システミックデザインについても、自社がまだ気づけていない課題発見の側面があると思うのですが、どう思われますか?
武山 まず、私はビジネスにおけるシステミックデザインの意義を次の5つに整理しています。
武山 いまお話があったように、企業が責務として社会課題に取り組むだけでなく、システミックに事業の可能性を捉えていくことで、さまざまな機会やポテンシャルが見つかるのではないかと思っています。
その際に有効なのは、いきなり大きな社会課題と向き合い、社会変革を考えることではなく、「顧客の課題をシステミックに捉える」ことだと考えています。社会の土台レベルの変化のなかで、顧客も変わらざるを得ない状況に置かれています。
企業であれ生活者であれ、これまでとは異なるいろんな困りごとやコンフリクトが起こるなか、顧客を幸せにするためには顧客を取り巻くシステムに変化が求められており、そこに自社事業が役立つ……という発想で考えることは、企業の方も受け入れやすいのではないかと考えています。
また、「オープンイノベーション」と呼ばれるような企業間連携による新たな事業エコシステムの創出や、事業間の連動・相乗効果が期待できます。システムマップや変革のシナリオは、組織変革への合意形成や従業員のウェルビーイング・パフォーマンス向上にもつながるのではないでしょうか。
──その規模や社会的なインパクトが大きな取り組みほど、その全体像の把握が難しいですから、共通認識やお互いの役割や、共創のポイントが明確になるということですよね。
武山 そうです。「三方よし」の考えをより広い視野で捉えて多様なステークホルダーを巻き込むことが重要ですし、持続可能なシステムを考えるためには関係性を重視して、産業分野を超えた共創が必要な場合もあります。ただ、そうして生まれた事業は、これまで自社が捉えていなかった市場機会や社会性をもつ可能性があり、従業員にとってのやりがいや効力感にもつながると思います。
システミックデザイン実践のための7つのステップ解説
──具体的にどのような手法なのか、もう少し詳しく教えていただけますか?
武山 書籍『システミックデザインの実践』で詳しく解説されていますが、この手法の手続き的な特徴は次の7つのステップで理解できます。
出典:ピーター・ジョーンズ、クリステル・ファン・アール『システミックデザインの実践 複雑な問題をみんなで解決するためのツールキット』(高崎拓哉訳、武山政直監修),ビー・エヌ・エヌ,2023年
ステップ1:システムをフレーミングする
ステップ2:システムの声を聴く
ステップ3:システムを理解する
ステップ4:望ましい未来を思い描く
ステップ5:可能性の空間を探索する
ステップ6:変革のプロセスをプランニングする
ステップ7:移行を促進する
例えば、「ファストファッションの流行がもたらす衣服の大量廃棄問題」をテーマにすると、まずステップ1の「システムのフレーミング」では、その問題の影響や要因をシステムとして理解するための範囲を定めます。原材料から廃棄までのマテリアルフローや、サプライチェーンをはじめ、ファッションの社会や文化との繋がり、地域の広がりや変化を捉える時間軸など、関係するものを見ていくと際限なく広がってしまうので、選択が必要です。現状を変えようとする取り組みのゴールや、そこに参加するアクターの関心や能力なども踏まえて、注目する対象や境界を設定していきます。
──同じシステムでも、見る立場や価値観によってどんな要因に注目するか、どの範囲で問題を理解すべきか解釈が異なりますよね。ものの見方を揃えるとは、システムを見る立場や価値観、重要だと考える範囲について認識を揃えること。まさに“フレーミングする”ステップですね。
武山 その通りです。関心の対象や範囲がとりあえず定まったら、ステップ2「システムの声を聴く」に進みます。業界レポートや論文などのデスクリサーチや、システムに関連するステークホルダー(事業者や消費者、識者など)へのインタビューなどの調査を通じて、衣類の廃棄問題やその要因に関連する現状を把握します。情報の正確さも重要ですが、ここでの狙いは、問題状況を多様な視点から理解すること、そしてシステムを変えようとする人々の認識を共有化していくことにあります。

続くステップ3「システムを理解する」では、望ましくないシステムの振る舞い(衣類の廃棄量の増加など)が続く原因や負の現象に回帰してしまうフィードバックループがどこにあるのか、システムのマップを描きながら、問題の現状を理解するのと同時に、システムを変えるために介入すべき「レバレッジ・ポイント」を見つけていきます。
因果ループ図などのシステムマップは、廃棄物の増加といったシステムの挙動を生み出す要因が繋がり合う構造を視覚化しますが、他にも氷山モデルと呼ばれるフレームワークを使って、その構造を温存させている人々の認識や価値観の前提も掘り起こしていきます。衣類の廃棄問題の場合なら、ハイスピードの流行を追う意識や、低価格の歓迎、大量生産型の合理性の追求といった傾向が浮かび上がるかもしれません。
──システムマップを描くなかで、氷山モデルの下層部に当たる、ステップ2で得た深い理解が重要になりそうですね。
武山 はい。“センスメイキング”と呼ぶのですが、システムを淡々と分析するだけでなく、理解を深めたステークホルダーの立場からもシステムの意味を見出し、プロジェクトメンバーで学びを得ることが大切です。ここまでが複雑なシステムを分析するシステミックデザインの前半部分になります。
ステップ4以降では、システムに対する介入策を検討していきます。まずステップ4「望ましい未来を描く」では、理想のファッションやアパレル産業のビジョンを描き、経済、環境、社会、心理などの側面で生み出したい多様なシステム価値をマッピングします。具体的な方法は次のステップで考えるので、ここでは未来に実現したい価値提案に集中します。個人や組織や地球生態系までのすべてのステークホルダーのためにどんな価値が共創できるかの理想をシステム変化の方向性として導きます。
続くステップ5「可能性の空間を探索する」では、望ましいシステムへ向かういくつかの道筋のなかからシナリオを定め、影響力のある介入にふさわしい場所(特定の変数、変数間の因果関係、ループ構造、システムのゴールやルール、背後のパラダイムなど)と、そこへの戦略を発想します。
介入方法の特定には、できるだけ小さなコストで大きなインパクトを生み出すレバレッジの高さを意識することが重要ですが、特定のソリューションに絞り込むのでなく、さまざまな介入策をポートフォリオとして導くことを重視します。企業に取り組めること、消費者の行動変容、新たな規制の導入、効果的な情報のフィードバックのためのITソリューションなどを、どのような組み合わせで、どんな主体が実行しうるのか可能性を探索するのです。
その後のステップ6「変革のプロセスをプランニングする」では、介入策のポートフォリオを前提に、実行すべき複数の施策を具体化し、それぞれのプロトタイピングや介入実験を連携して進めるプランニングと準備を行います。ITソリューションの導入のように比較的短期の効果が期待できる施策もあれば、システムゴールやパラダイムチェンジのように長い時間をかけてじっくりと変革を促す施策もあり、それらの相乗効果を狙うのがコツです。
そしてステップ7「移行を促進する」では、介入効果を評価する指標や体制を整え、介入実験の結果からの学びをさらなるシステムの理解や介入策の改善へと繋ぎ、継続的にシステムの移行を促進していきます。大まかなプロセスは以上です。
「ゼロプラスチック都市」へのシステム変革プロジェクト
──いま7つのステップをご説明いただきましたが、実際に「システミックデザイン」の手法が活用されたプロジェクト事例についても教えていただけますか。
武山 今回は、国連開発機構(UNDP)とユニリーバ・パキスタンによる「ゼロプラスチック都市へのシステム変革プロジェクト」を紹介させてください。
年間330万トン以上のプラスチックが廃棄されているパキスタンでプラスチック廃棄物管理のための循環経済システムを構築し、新たな経済モデルや、産業、消費者の行動、政策の転換、さらには民間セクターやその他の従来とは異なるパートナー連携の可能性を検証するプロジェクトです。
詳細はレポートが公開されているのでそちらに目を通してもらえればと思うのですが、このプロジェクトは大きく3つのフェーズ、①システムの現状調査フェーズ、②システムの分析と変革戦略の策定フェーズ、③介入策の実証実験フェーズ、で実施されました。
まず①システムの現状調査では、関連領域の専門家の知見をまとめ、フィールドワークや当事者へのヒアリングを行い、先ほど紹介した氷山モデルで分析。リサーチ結果を通してまとめた現状のシステムマップと、望ましい未来のシステムマップを描き、どのようにギャップを埋められるか、を検討しています。
システムマップを通して見出した介入策が実際にどれだけ有効かがその段階ではわからないことがあります。このプロジェクトでは、3つのカテゴリーからなる「実験ポートフォリオ」を作成し、介入策同士の位置付けや役割も分析しながら、実行に移す計画を立てています。
これらの成果が認められ、最終的には国家プロジェクトとして、数年をかけてインダス川全域でプラスチックゴミの回収する取り組みにつながっていきました。
──こうしたステップは通常は数ヶ月から数年をかけて実行されるものだと思うのですが、すべてのステップを順番に進めなければならないのでしょうか。
武山 決してそうではありません。実際には、ステップを飛ばしたり、行き来したりしながらテーマや対象地域、目指すゴールや使える資源、参加者の状況などに応じてプロセスは臨機応変に調整されます。『システミックデザインの実践』でもさまざまなツールキットが紹介されていますが、適切なものを選んで柔軟にカスタマイズできます。
ただ、システミックデザインは一般的なプロジェクトのような短期的な成果や目標達成を重視するものではなく、継続的なラーニングやアプローチの進化を重んじるので、そうしたアプローチと事業活動や組織構造がいかに馴染む状態をつくれるかが重要になると思います。
とはいえ、短期成果か長期目標かという対立した捉え方をするのではなく、それらは繋がっていることを前提に、長期的目標を目指しつつ、短期間でも目に見える成果を出していく姿勢で、システミックデザインと既存のモノやサービスのデザインの良さを活かすように両立していくべきだと捉えるとよいでしょう。
慶應内の学知を結集し、企業の課題解決にも貢献
──将来的には「慶應システミックイノベーション・センター(仮称)」の設立に向けて活動を発展させていくと思います。センターの構想についても教えてください。
武山 システミックデザインの研究開発・社会実装によって、企業の課題解決に貢献できる場をつくっていければと考えています。ご紹介した事例のように共同研究として取り組む場合もあれば、企業向けのコンサルティングサービスの提供、あるいは「気候変動 × 都市」などのテーマを設定し、複数の企業とコンソーシアムのような形式で、マルチステークホルダーでの課題解決に取り組むことも視野に入れています。
──「システミックデザイン」の方法論に注目する民間企業も増えてきていると思うのですが、大学発で新たなるセンターをつくる意義をどのように考えていますか?
武山 大きな利点として上げられるのは、企業と一緒に取り組むテーマごとに最適な大学の研究者がプログラムに参加し、学知を提供できることにあります。大学と連携したいと考えていても、誰にどのように声をかけたらいいのかわからないと感じている方もいるかもしれませんが、このセンターがそうした連携の促進剤になれればと考えています。
例えば、12月10日のイベントでは「気候変動×都市」がテーマですが、都市交通や都市デザイン、サステイナブルファイナンス、食のサプライチェーンなどの多分野の研究が関連してきます。そうした方々が学問分野を超えて学知を終結し、課題解決に取り組めることが理想です。
──先生はこれまでもサービスデザインの手法や方法論を用いて、産学連携プロジェクトに取り組まれてきたかと思います。企業と大学は立場が異なるがゆえに、よりよいコラボレーションのための調整が必要になるケースもあると思うのですが、連携のためのコツはありますか。
武山 お互いに柔軟性をもつことが大事だと考えています。研究としての面白さや発見と、企業としてのインパクトや目的をうまく重ね合わせていく。私自身も、学術的な発見が事業のなかで具体的に使われたり、役立ててもらったりすると嬉しいですし、企業の方の話を聞くなかで困りごとの勘所がわかってくることもあります。
プロセスのなかで、手法のカスタマイズや方向性を変えることで、よい成果につながるケースも多くあります。私自身も柔軟に意思決定する、調整することを大切にしていますが、同じようなスタンスで取り組んでいただける方とご一緒できるのが理想的ですね。
私たちの取り組みに関心を持ってくれた方は、まず12月10日のワークショップに参加し、本手法を体験していただければと思います。イベントに参加されない方も、お気軽にご相談いただければ有り難いです。
今後、産業や企業間を超え、研究者も専門分野を超えてマルチステークホルダーでの共創に取り組んでいきたいと考えています。「システミックデザイン」をハブとした新たなる共創の場に、ぜひ参加ください。
【WORKSHOP】「システミックデザイン」による新たなるビジネス機会の創出──「気候変動 × 都市」をテーマに考える
■イベント概要
地球温暖化の進行や国際情勢の不安定化など、私たちが直面する課題はより複雑化する一方、企業にも事業活動を通じた社会課題の解決が求められるようになってきました。
そうした背景のもと、慶應義塾大学ではいま注目を集めるイノベーション創出手法である「システミックデザイン」の方法論を活用し、社会性と経済性を両立する21世紀型企業へのシフトを支援する「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」の設立に向けて活動を開始します。
「システミックデザイン」とは、複雑な社会システムや環境問題、組織の課題などに対して、関係性に着目して根本的な変革を目指す手法です。社会の課題が複雑化し、その解決のために多様なステークホルダーとの共創が求められる2020年代において、「デザイン思考」と「システム思考」を融合させた本手法への期待が寄せられています。
システミックデザインの手法には、「システムそのものを動かす、システムレベルでの変革を目指す」「複数の介入策を戦略的に構成するポートフォリオをつくり、多様なステークホルダーでの連携を促す」などの特徴があり、以下のような課題を抱える企業・行政関係者が取り入れるケースが出てきています。
企業経営において「社会性」と「経済性」の両立が求められるなかで、自社がどのような社会課題に今後対応していくべきか、中長期的なありたい姿を描けていない
自社のビジネスを循環(サーキュラー)型にシフトしたいが、その方法がわからない
「社会性」と「経済性」の両立というテーマを、研究企画におけるロードマップ策定や、研究開発に反映できていない
社会の課題が複雑化するなかで、従来のデザイン手法ではイノベーション創出に限界があると感じている
社外との共創やオープンイノベーションの仕組みを検討しているが、対象とすべき課題やプログラム設計に難しさを感じている
本研究&社会実装活動では、サービスデザイン/システミックデザインの第一人者であり、『システミックデザインの実践』の監訳も務めた慶應義塾大学経済学部・武山政直教授を中心に、慶應義塾内外の研究者との連携によって、方法論の開発や企業向けのコンサルティングサービスの提供に取り組んでいきます。
活動の第一弾として、イベント「『システミックデザイン』による新たなるビジネス機会の創出──『気候変動 × 都市』をテーマに考える」を12月10日に開催します。システミックデザインの手法を通じて「気候変動 × 都市」分野における課題の特定や介入点の特定、新しいソリューションについて検討していくワークショップです。
■日時:2025年12月10日14:00-18:30(開場13:30)
■会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 東館6階 G-Lab
アクセス:キャンパスマップはこちら(東館はキャンパスマップ⑬の建物です)
■対象:
・事業開発にシステミックデザインの手法を活かしたいと考えている新規事業開発、研究企画・開発部の方々
・会社の中長期的な方針に手法を活かしたい経営企画部の方々
・新たなるイノベーション手法の導入に関心のあるビジネスパーソン
・システミックデザインの手法を業務に活かしたいと考えている事業会社のデザイナー
■参加費:無料
■参加登録:参加登録はこちら
※申込締切 2025年12月3日
■プログラム:
14:00-14:20 本活動のご紹介
14:20-14:50 武山政直教授による「システミックデザイン」に関するレクチャー
14:50-17:50 システミックデザインの手法を体験するワークショップ
17:50-18:00 まとめ
18:00-18:30 懇親会(※最大19時まで延長の可能性あり)
講師:
武山政直(たけやま・まさなお)
慶應義塾大学経済学部教授/デザインストラテジスト。慶應義塾大学経済学部卒業。Ph.D.(カリフォルニア大学)。慶應義塾大学環境情報学部助手、東京都市大学准教授を経て、慶應義塾大学経済学部准教授(2003)、同教授就任(2008)。経済地理学、マーケティング論、行動科学を応用したサービスデザイン手法の研究や産学共同プロジェクトを推進中。Service Design Network 日本支部共同代表。ACTANT 共同創業者。
ファシリテーター:
津久井かほる(つくい・かほる)
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)客員所員、株式会社ACTANT デザインリサーチャー。慶應義塾大学経済学部卒業、イタリア Domus Academy大学院サービスデザイン修士課程修了。2013年ACTANTを共同設立。様々な領域のプロジェクトにてリサーチ/デザインディレクションを担当。慶應義塾大学では研究員として、サービスデザインや行動デザイン手法の開発にも従事し、研究と実践を繋ぐ。
岡田弘太郎(おかだ・こうたろう)
一般社団法人デサイロ代表理事。2022年、人文・社会科学分野の研究者を中心としたシンクタンクである一般社団法人デサイロを設立し、産官学の多様なステークホルダーとの連携によるプロジェクト創出や知の拠点づくり、企業向けのコンサルティングサービスの提供などを行なう。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」選出。慶應義塾大学在学中は武山政直研究会に所属し、サービスデザインを専攻。
■主催(本件に関するお問い合わせ先):
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)
課題ワンストップ受入解決ユニット事務局
kgri-ianda@adst.keio.ac.jp
https://www.kgri.keio.ac.jp/
■運営サポート:
一般社団法人デサイロ
contact@de-silo.xyz
https://de-silo.xyz
Top Image : Patrick Perkins on Unsplash











