【作品の詳細】感情資本遊戯 β
イスラエル=フランスの社会学者エヴァ・イルーズが2000年代に提唱した「感情資本」は、「経済的行為のエモーショナリゼーション」と「感情生活の経済化・合理化」が同時に進行する動的プロセスのことを示している。
「経済的行為のエモーショナリゼーション」とは、例えばマインドフルネスやレジリエンス、怒りのコントロールなど、自分の心身を「整える」スキルを介して生産性を上げたり、職場の人的資源管理やリスク管理をしたりする行為のこと。あるいは、「ファン」になってもらう仕掛けや物語を提供することで末永く愛用してもらうようなマーケティング手法などが、当てはまるとされている。
一方で「感情生活の経済化・合理化」とは、公正で公平な家事育児の分担、シャドウワークの可視化と支払い要求、家事育児のアウトソーシング、時短家電、教育投資とリターンの予測、マッチングアプリを介して効率良く相手を探す……「お金に換えられないもの」や「愛情」とみなされていたものが数量化され、交換される状態のことを指す。
メディアアーティスト/ゲーム開発者の木原共が開発した会話型ゲーム「感情資本遊戯 β」では、「感情資本化」が極端に進んだ、少し先の仮想の社会が舞台となる。その世界を生きる一人として、とある難しい決断を迫られた時、自分はどのように振る舞うのか──複数人との掛け合いを通して体験できる。展示は複数人で体験可能であるが、4月13日(DAY1)に行われるパフォーマンスでは観客の一部がステージに上がり、直接作品世界に参加できる仕掛けとなっている。
DE-SILO EXPERIMENT 2024
【4/13~14開催】小説から音楽、映像、メディアアートまで。研究者とアーティストのコラボレーションにより、研究知を起点に「生の実感とリアリティ」を探る2daysイベント
木原による作品は、4月13日(DAY1)に行われるパフォーマンスにて、観客の一部がステージに上がり、直接作品世界に参加するかたちで体験できる。参加希望の方は、下記ウェブサイトからDAY1の「Performance Ticket」の購入を。