【作品の詳細】NANA
バンド「んoon」は、「私たち性 we-ness」というテーマに応答するかたちで「NANA」という楽曲を生み出した。制作プロセスでは、次のようなことが重視されたという。
・作品の説明がなくても、耳を委ねられるような強度があること(ノリノリであること)
・作品の説明を経ると聴くものの聴取の体験がさらに変化すること(ノリノリであること)
んoonは、ボーカル、ベース、キーボード、ハープというユニークな編成にて活動しており、そのジャンルを定義しにくいバンドだ。その状態を「崩壊したアンサンブル」と指摘されたこともある同バンドの輪郭は、メンバー個々=「私性 I-ness」ではなく、「彼/彼女たち性 they-ness」でもないものである。今回の楽曲「NANA」は、そんなバンドの在り方や佇まいそのものの構造が反映された楽曲になっている。
同バンドのリーダーを務めるベーシストの積島直人は本楽曲の特徴を次のように記述する。
「『7拍のベースリフ』『4小節で円環するハープ』『3拍+4拍のキーボード』『28小節で一周するリズム』『2文字/3文字の言葉とメロディ』といった、輻輳する各パートの音が寄る辺なく並走していく。どれを聞いてもどれかとはズレていく感覚が常にあるが、かといって並走音と全く切り離されてもいない(並走音がなければズレの感覚もない)。全く異なっているのでもなく、全く同じところを見ているのでもないので、演奏中はなにをやりとりしているのかわからなくなる。無理やり楽譜に起こせないこともない、無理やり解読できないこともないテクスト群にある『掬いとれなさそうな澱の部分』を『私たち性 we-ness』と呼べるのかもしれない」
本イベントのDAY2(4/14)で、んoonはライブパフォーマンスとトークセッションへの登壇を行う。積島はイベント当日について「会場で聞く際は、んoonのそれぞれの楽器に(どれでもよいです)耳をそばだてて私の輪郭が剥落しながらも、複数形になる感覚を体験していただきたい」と言葉にしている(ちなみに、楽曲のリリースは4月10日となる。ぜひ視聴のうえで会場に足を運んでほしい)。
DE-SILO EXPERIMENT 2024
【4/13~14開催】小説から音楽、映像、メディアアートまで。研究者とアーティストのコラボレーションにより、研究知を起点に「生の実感とリアリティ」を探る2daysイベント
んoonによるライブパフォーマンスと、柳澤を交えたトークセッションを通じて、「we-ness」の輪郭に迫っていく。参加希望の方は、下記ウェブサイトからDAY2の「Performance Ticket」の購入を。