【ご報告】クラウドファンディング達成。リサーチレポートの公開に向けて制作を開始します。
一般社団法人デサイロが実施していたクラウドファンディングは、無事に目標金額を達成し、1月31日をもって終了いたしました。
最終的に210万円以上のご支援が集まり、リサーチレポートの制作に取り組めることとなりました。応援いただいた皆様、誠にありがとうございました。
すでにリサーチレポートは今月から調査・制作チームが立ち上がり、プロジェクトが走り始めています。ご協力いただいた資金は、執筆やデザインに加えて、文献購入費や有識者へのヒアリング費などに充て、レポート内容を拡充するために使用してまいります。
引き続き、応援をよろしくお願いいたします。
▼立ち上げの背景
2015年にメディアを賑わせた「文系学部不要論争」に象徴されるように、日本社会における人文・社会科学は、昨今厳しい状況に置かれているといえるでしょう。
「何の役に立つのかわかりづらい」「評価指標が明確でないために社会的意義が示しづらい」──ふだん人文・社会科学に関わる機会が多くない人の中には、こうしたイメージを持たれるケースも少なくないのではないでしょうか。
実際に、文系学問を取り巻く環境をみると、常勤職のポスト減少やキャリアパスの不透明さを背景に2021年の大学院進学率が人文科学4.1%、社会科学2.2%に留まるなど、社会的意義が認められにくく、予算獲得も難しい現状があります。
しかしながら、私たち一般社団法人デサイロ(De-Silo)は、文系学問のなかには、いまの社会から一定の距離を置き、社会を相対化しながらも真理を探ろうとする営為があると考えています。
人文社会科学領域の豊かな知が生まれる土壌を耕すことで、“文系学問”とともに「次なる社会」を探索していきたい──。その第一歩として文系学問を取り巻く課題解決に向けた支援者を募集します。
▼本プロジェクトの目的
今回のプロジェクトでは人文・社会科学分野における課題と機会領域を探り、体系化して公開する「リサーチレポート」の制作に取り組みます。
リサーチレポートは、次のような内容を想定しています。
【レポート概要】
現在、人文・社会科学分野の知見を社会に還元しようとする動きが進んでいます。経済学の知見を生かしたコンサルティングを提供する企業や、人類学の知見から調査・マーケティング、課題発見をサポートする企業などが生まれ始めました。日本学術振興会などのファンディング・エージェンシーも、未来社会が直面するであろう諸問題に係る有意義な応答を社会に提示することを目指す研究テーマを支援するプログラムを立ち上げ、研究者とNPOや行政、産業界などの多様なセクターでのコラボレーションを促進しようとしています。
こうした背景を踏まえ、本調査では既存の文献調査に加えて、このようなアカデミアの内外で研究知の社会実装を試みる実践者や当該領域の専門家へのヒアリングを行うことで、人文・社会科学の知が生み出すインパクトの体系化や課題解決に向けた機会領域の提示を行います。また、制作したレポートはオープンソースとして広く公開します。
【ヒアリング対象者(予定)】
※具体名が出ている方は既に許諾をいただいております※
<人文・社会科学領域における専門家の方々>
人文・社会科学を対象に研究を進めている有識者の方
ex.標葉隆馬様(大阪大学・社会技術共創研究センター・准教授)、南了太様(京都精華大学 国際文化学部 准教授)など
<国・行政にかかわるプレイヤー>
行政として人文・社会科学の振興に携わる担当者
公募により優れた研究開発課題を選定し、研究資金を配分する「ファンディング・エージェンシー」の担当者
大学経営や運営に携わる機関・担当者、国公立大学のURA(リサーチ・アドミニストレーター)部門の担当者様など
<民間のプレイヤー>
人文・社会科学の知の“活用”に取り組む企業
ex.株式会社アイデアファンド様など人文・社会科学の研究のエコシステム支援に取り組む企業様、財団様など
<課題の当事者である研究者の方々>
新たなキャリアパスを模索している研究者の方
人文・社会科学領域の現役大学院生の方
【レポート構成】
※あくまでも現状の想定であり、調査プロセスの中でブラッシュアップ予定です※
はじめに
人文・社会科学を取り巻く課題マップ
人文・社会科学の現在地
人文・社会科学の意義にまつわる議論
人文・社会科学の歴史的経緯
人文・社会科学が置かれている現状(大学/民間/国・行政)
人文・社会科学の知の“活用”や支援におけるトレンド
研究知の活用
企業や実践する研究者の紹介
研究のエコシステム支援
企業や実践する研究者の紹介
人文・社会科学のこれから
人文・社会科学の役割
デサイロがインキュベーションしたい機会領域
おわりに
将来的にはリサーチ・レポートで得られたインサイトを活用し、研究知を生かした社会課題の解決を目指した「アカデミックインキュベーション・プログラム」の立ち上げを計画しています。「研究知を生かした社会課題の解決を目指す」ことを中心テーマとして掲げ、研究者(やプロジェクト)の支援を通じて、家族や子ども、まちづくりなどの領域の課題解決に貢献していきたく考えています。
▼人文・社会科学を取り巻く課題マップ
人文・社会科学における人文・社会科学分野における機会領域を探るための第一歩として、デサイロでは「人文・社会科学を取り巻く課題マップ」を制作しました。
本マップはあくまでも、制作過程の仮説となっています。今後、マップをもとに識者や当事者の方々にインタビューを重ねることでアカデミアを取り巻く構造的課題の全体像を解き明かしていきます。
※課題マップ制作には監修協力として、標葉隆馬さん(大阪大学・社会技術共創研究センター・准教授)と南了太さん(京都精華大学 国際文化学部 准教授)にお力添えいただきました。
標葉隆馬(しねは・りゅうま)
大阪大学・社会技術共創研究センター・准教授。専門社会調査士。専門分野:科学社会学、科学技術社会論(STS)、科学技術政策論、科学計量学。特に、生命科学と社会、遺伝子組換えや幹細胞を巡る議論、科学技術に関するメディア言論動向分析、Public Engagement、科学技術イノベーション政策のための科学、東日本大震災を巡る構造的課題など。
南了太(みなみ・りょうた)
京都精華大学国際文化学部准教授。1980年、京都市生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科 技術・革新的経営専攻修了。博士(技術・革新的経営)(博士論文「人文社会系産官学連携の普及と定着」)。
▼お問い合わせ
改めて、クラウドファンディング詳細は以下になります。
■“文系学問"とともに「次なる社会」をつくる──人文・社会科学を取り巻く課題解決に向けた支援者を募集!(CAMPFIREページへ移動)
プログラムへのお問い合わせについては、下記メールアドレスにご連絡ください。
De-Silo事務局
E-Mail:contact@de-silo.xyz