【12/3, 12/4開催】人文・社会科学の視点から新たな「食の価値循環」を探求する全8回のレクチャーシリーズ「FoodScopes」プログラム説明会
人文・社会科学の視点から新たな「食の価値循環」を探求する、全8回のレクチャーシリーズ「FoodScopes」が2025年1月開講!毎週3時間、気鋭の研究者13名と「食」の“根本”を問い直す3ヶ月のインテンシブ・プログラムです。この度、本プログラムの詳細について説明会を開催します。
本プログラムの受講をお考えの皆様、人文知x食というテーマに関心のある方、アカデミアとビジネスの融合に関心のある皆様、どなたでもぜひ奮ってご参加ください。*FoodScopesのプログラム詳細については本頁の下部をご参照ください。
概要
■日時
同内容にて2回開催いたします。
・第1回:12月 3日 (火) 19:00~
・第2回:12月 4日 (水) 15:00~
*各回1時間程度を想定しております。途中参加・途中退出でもOKです
*なお、今日・明日プログラムに参加出来なかった方は、後日アーカイブを公開予定です。 「説明会には参加できないがアーカイブを視聴したい」という方は、いずれかの日程にお申し込みくださいませ。
■説明会アジェンダ
1. WHO WE ARE: Introduction of De-Silo & UnlocX
2. 今なぜ人文知x食なのか
3. FoodScopesプログラム内容について
■開催方法
オンライン(ZOOM Meeting)
■参加費
無料
登壇者
岡田弘太郎(おかだ・こうたろう)
編集者。一般社団法人デサイロ代表理事。『WIRED』日本版エディター。クリエイティブ集団「PARTY」パートナー。スタートアップを中心とした複数の企業の編集パートナー。アーティスト・なみちえのマネジメントを担当。研究者やアーティスト、クリエイター、起業家などの新しい価値をつくる人々と社会をつなげるための発信支援や、資金調達のモデル構築に取り組む。1994年東京生まれ。慶應義塾大学にてサービスデザインを専攻。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」選出。Twitter: @ktrokd
小池真幸(こいけ・まさき)
De-Silo 編集統括。編集者。人文・デザイン・暮らしといった領域を中心に、研究者やクリエイターと協働しながら、ウェブメディアから紙媒体まで幅広くメディアづくりやコンテンツ制作に携わっています。最近の活動場所:PLANETS、designing、DIG THE TEA、MIMIGURIなど。
岡田 亜希子
株式会社UnlocX Insight Specialist。フードテックを社会実装していくためのインサイト構築に取り組む。ビジネス戦略の視点、テクノロジーの視点、人文知や哲学の視点を重ね合わせ、人類の未来にとって意義のあるフードテックの本質探究に挑む。McKinsey & Companyにてリサーチスペシャリストとして従事。2017年シグマクシスに参画しGlobal Food Tech Summit 「SKS JAPAN」を創設。現在はUnlocXのInsight Specialistとしてフードイノベーション関連のインサイト構築・発信に従事。共著書に「フードテック革命」(20年/日経BP)
FoodScopesとは
なぜ、いま「人文・社会科学」か?激変する「食」の「深層」を見通す強力な「Scope」を手にするために
「"フードテック”は私たちの何を満たすのだろうか?」──本講座の出発点には、そうした問いがあります。「植物性代替肉」「培養肉」「植物工場」、食領域のGAFAとも言われる「キッチンOS」「パーソナライゼーション」……「食」を取り巻くビジネスやテクノロジーは、日々目まぐるしい変化を遂げています。こうした変化の波を捉え、人々にとって価値あるサービスや商品を提供していくためには、もはや「フードテック」という一過性のトレンドを追い続けるだけでは不十分です。トレンドはすぐに陳腐化し、移り変わっていく「表層」にすぎません。グローバル資本主義、民主主義、国民国家、地球環境、技術環境、そして都市環境や生活様式、価値観……現代社会の「前提条件」となっているシステムの本質を根本から捉え直し、その現在形や未来を展望する。すなわち、いまの社会や人々の「深層」を捉え直す「Scope(レンズ・視点)」のもと、人類社会に不可欠な「食」という営みを問い直す必要があります。現代の「食」を取り巻く社会システムは、歴史的にどのような変遷を経て今に至るのか。過去に人類はいかなる理由から、どのように意思決定を積み重ねてきたのか。現在の私たちはどのような未来でありたいのか……そうしたトレンドの「深層」を多面的・根源的に捉える必要があると考えています。
その際、「人文・社会科学」の知が強力なコンパスとなるでしょう。哲学、倫理学、美学、宗教学、人類学、歴史学、文学……「人文学」と呼ばれる分野は、人間あるいは人々が織りなす社会のあり方を根源的に問い直してきました。政治学、経済学、経営学、社会学……「社会科学」と呼ばれる分野は、人間を取り巻く社会システムの構造や成り立ちを分析し続けてきました。
こうした人文・社会科学の知を横断的・多角的に参照することで、既存の食の価値循環のあり方を根源的に問い直し、これから求められるあり方へと再構築していくことが可能になるはずです。本プログラムでは、人文・社会科学領域の気鋭の研究者13名の導きのもと、「食」を身体、家族・パートナーシップ、コミュニティ、都市・ローカル(地域)、(ジオ・)ポリティクス、共生という6つのスケールで問い直します。
基本は週1回、各3時間、2名の研究者を招聘。この濃密な知のシャワーを浴びる2ヶ月間の末には、表層のビジネストレンドやテクノロジートレンドを追いかけているだけでは見えてこない「深層」を捉える強力な「Scope」を手にすることができるはずです。
講座の特徴
①短期的なトレンドではなく、食という営みの「深層」を探る
人文・社会科学とは、「人間とは何か?」「社会とは何か?」という問いを徹頭徹尾ラディカルに、その「深層」から問い直し続ける営為です。ここ十数年で急激な技術発展や家族観の変化など人々の暮らしが大きく変わるなかで、「食」をめぐるトレンドは目まぐるしく移り変わっていますが、こうした変化の波を捉え、人々にとって価値あるサービスや商品を提供していくためには、一過性のトレンドを追い続けるだけでは不十分でしょう。
本講座では、人文・社会科学という強力なコンパスの導きのもと、一般的なビジネスやテクノロジーのトレンドからは見えてこない、「食」という営みの「深層」を問い直します。「深層」を問い直す「Scopes」を得ることで、表面的なトレンドに踊らされず、どんなトレンド変化に対しても対応し得る“土壌”を耕していきます。
また本講座のカリキュラムは、ミクロからマクロまで、食を見る視点を切り替える6つのスケールによって構成されています。従来の「食の教科書」等ですでに体系化されている知を学ぶのではなく、物事の見方を獲得することで、あらゆる場面で応用が効くようになるはずです。
②気鋭の研究者たちによる濃密な“知のシャワー”
本講座には全13名の気鋭の研究者たちが揃い、週1/3時間×8回の集中プログラムで受講者たちの「視点」や「視座」、「ものの見方」そのものを根底から揺さぶっていきます。
また、単に「食」にかかわるニッチな専門知を身につけるだけのプログラムではなく、「食関連の専門家」と「他領域の専門家」の知をかけ合わせることで、食の内側/外側の両面から問うことも特徴です。従来の食に対する研究知、あるいはフードテックといった特定の技術を超えて、複眼的な視野・思考を身につけます。
③社会実装を見据えた「Scopes」を獲得する
とはいえ本講座は、現実から遊離した抽象論ばかりを展開するものではありません。いわゆる教養講座とは異なり、社会実装を念頭に置きながら、人文・社会科学の知を通じて「深層」に迫っていくという点も、本講座の大きな特徴の一つです。
具体的には、研究者と受講者のみなさまの間の媒(なかだち)として、フードイノベーション領域を牽引してきたUnlocXと、人文・社会科学の研究者と多様なプロジェクトを生み出してきたアカデミックインキュベーターのデサイロがコーディネート。常にアカデミアの知とと社会実装や事業開発の架橋を念頭に置きながらプログラム設計・運営を行い、また「食」にかかわるビジネスに取り組む受講者のみなさま同士のネットワーキングの機会も設定することで、今後の事業推進への中長期的なインパクトをもたらしていきます。
講座スケジュール
・第1回「いまなぜ人文・社会科学なのか? 「食」の「深層」をラディカルに問い直すための方法
2025年1月22日(水) 19:00-22:00(都内にて開催)
「食」を人文・社会科学から問い直すとは、どういうことなのでしょうか? そもそも人文・社会科学とは? 初回はイントロダクションとして、トレンドではなく「深層」を問い直す人文・社会科学のレンズから食について考えるという態度、意義、方法論、近年の注目トピックについて、食にかかわる人文学と社会科学、それぞれの気鋭の研究者の方々に語っていただきます。
ゲスト:下川哲(農業経済学)、湯澤規子(人文地理学)
・第2回 食と「身体」──食べ物への「印象」や「感覚」はいかにして形づくられてきたか?
2025年1月30日(木) 19:00-22:00(オンライン)
わたしたちは食べる時、必ず「身体」を介します。食べ物は身体感覚を変容させ、身体のあり方に応じて食のあり方も変わっていく。そんな食の裏表とも言える「身体」とはそもそもどういった存在なのか? あるいは「身体」と食はいかなる関係にあるのでしょうか?文化人類学と感覚史の視点から考えます。
ゲスト:磯野真穂(文化人類学)、久野愛(感覚史)
・第3回食と「家族・パートナーシップ」──私たちは誰と食べてきたのか? これから誰と食べるようになるのか?
2025年2月5日(水) 19:00-22:00(オンライン)
「孤食」という言葉があえて取り上げられるように、あるいは「食卓」という言葉に象徴されるように、食はつねに共同体、とりわけ家族・パートナーシップと切っては切り離せません。食と「家族」「パートナーシップ」はいかなる関係性にあるのでしょうか?そして、従来の家族やパートナーシップ像が変容しつつある中で、食はいかなる方向へと変わっていくのでしょうか?
ゲスト:湯澤規子(人文地理学)、本多真隆(歴史社会学)
・第4回食と「コミュニティ」──食はいかにして「集団」をかたちづくるのか?
2025年2月12日(水) 19:00-22:00(オンライン)
移民街でエスニック料理店が発展し、注目を集めるようになったイノベーティブ・レストランは、一部の界隈から「ファンダム」と形容されるような熱狂的な人気を集めます。すなわち、食のあり方は、食べる人、つくる人の属するコミュニティのあり方に大きく左右されると言えるでしょう。今回の講義では、「移民」や「ファンダム」の観点から、これからの食とコミュニティのあり方について考えます。
ゲスト:安井大輔(フードスタディーズ)、柳澤田実(哲学)
・第5回 食と「都市・ローカル(地域)」──私たちはどんな場所で、何を食べてきたのか?
2025年2月19日(水) 19:00-22:00(東京都内にて開催)
今後ますます都市への人口集中が進むことが予想される一方で、地方移住も珍しいことではなくなりつつあります。都市や地域のあり方に応じて、人々の食はどのように変わっていくのでしょうか。〈迂回する経済〉やガストロノミーの観点から考えていきます。
ゲスト:吉江俊(都市論・都市計画学)、藤田周(文化人類学)
・第6回 食と「(ジオ・)ポリティクス」──国家はいかにして食を規定するのか?
2025年3月5日(水) 19:00-22:00(オンライン)
食のあり方は、国家のあり方に大きく左右され、食料安全保障など「政治」の問題にも大きくかかわります。食と国家、そして地政学的な条件はいかなる関係にあるのでしょうか。「給食」といったミクロな観点から、「アンチ・ジオポリティクス」といったマクロな地政学の観点まで横断して考えます。
ゲスト:藤原辰史(農業史)、北川眞也(地理学者)
・第7回 食と「共生」──マルチスピーシーズな食はいかにして可能か?
2025年3月12日(水) 19:00-22:00(オンライン)
食というのは、人間ならざる大地や動植物と関係性を切り結ぶ営みでもあります。昨今は「マルチスピーシーズ」という言葉など、人間以外の存在との共生のあり方も検討が進められていますが、これらの考え方は私たちの暮らしと切り離せない「食」から考えるアプローチは有効なはずです。
ゲスト:福永真弓(環境倫理学)、太田和彦(食農倫理学)
・第8回総括:食をめぐる価値循環の再構築に向けて
2025年3月19日(水) 19:00-22:00(東京都内にて開催)
ここまでの6回の講義でのインプットを踏まえて、最終回では自社製品や商品のバリューチェーンの再構築を試みます。最終発表の内容は、ゲストに講評も担当いただきます。
ゲスト:下川哲(農業経済学)、藤田周(文化人類学)
■運営
共催:一般社団法人デサイロ、株式会社UnlocX
一般社団法人デサイロ(De-silo)は、人文・社会科学分野の研究者を伴走支援し、社会との多様な接点をつくるアカデミックインキュベーターです。
研究により生み出される知は、いま私たちが生きている時代を読み解く、あるいは社会がこれから直面する課題発見のための重要なリソース(資源)であるはず──。こうした視点に基づき、「いま私たちはどんな時代を生きているのか」を研究者とともに探り、そのなかで立ち現れるアイデアや概念を頼りに、来るべき社会の探索と構想を目指します。また、そうした研究“知”を豊かにするために、大学、研究所、企業、行政、出版メディア、そして生活者といった多様なステークホルダーと連携しながら、社会のコモンズとしての「研究」とそれを取り巻くエコシステムを支えていきます。
https://de-silo.xyz/
株式会社UnlocXは、志あるChange Maker & Food Innovatorの方々と共に、技術と集合知で食の価値をUNLOCKしていく共創型プロジェクトを10”X”のインパクトとスピードで具現化し、食の新たなエコシステムづくりを目指す集団です。
食の可能性を信じ・新たな挑戦を志すあらゆるプレイヤーの方々と共に、これからの時代に求められる新たなバリューネットワークを共創し、食産業のグローバル化に貢献します。
https://unlocx.tech/